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26.女神の杖

聖女誕生回。

 俺が神剣を手にした翌日、俺は姫騎士のレイリィとノルンの父である聖騎士団長と、その部下達に連れられて、ミリシャル神殿へとやってきた。


 神剣の封印こそ解かれた物の、突然現れた悪魔の事も、これから何を為すべきかもわからないので、何かわからないかと調査に来たのだ。

 何か古代の記述が記された遺物なり書物なりがどこかにあるかもしれない。


 神殿を管理しているノルンの祖母に出迎えられ、俺達は神殿へ招き入れられた。

 そう言えば、ノルンはどうしてるんだろう。

 俺が彼女の欲しがってた神剣を抜いてしまったから、もしかして落ち込んでるのだろうか。

 ノルンの姿が見当たらなかった。


 「こちらへどうぞ」


 ノルンの祖母に案内されながら、大聖堂から神剣の祀られていた部屋に向かい、彼女が扉を開けるとそこにノルンがいた。

 ほうきを手に掃除をしてたのだろう。

 ノルンは俺達に気付いてないようだ。


 「もー!!ぼくがあんなにがんばっても抜けなかったのにー!!どうしてあんな簡単にあの人には神剣あげちゃうのー!!」


 どうやらかなりご立腹らしい。

 ノルンが手にしたほうきで女神像の頭を叩いた。

 おいおいおいおい。


 ぷるぷると体を震わせるノルンの祖母。横顔を見ると、額に青筋がビキィっと浮き上がっていた。

 これはあとが怖いぞ、ノルン。

 レイリィ達はと言うと皆、額に手を当てて首を振り、ノルンの素行に呆れていた。


 「……えっ?」


 急にノルンが上げた、素っ頓狂なその声に視線を戻すと、女神像が突然ボロボロと膝の辺りまで崩れていき、中から銀色に輝く神々しい杖がその姿を表した。


 「……」


 ノルンは一瞬、目を見開いてから、無言のまま壊れた女神像に刺さっている杖を手に取る。

 杖を手にした瞬間、ノルンの体が眩い光に包まれ、様子を伺っていた全員が思わず、手で目を覆い隠した。

 やがて光が収まると、ノルンは杖を両手に持ちその場に立っていた。


 「ーー女神の杖。まさか、失われたはずの女神の杖が隠されていたなんて」


 ノルンの祖母がそう呟く。

 聞けば太古の昔、神剣の勇者と共に邪神と戦った光の聖女が使っていた、女神から授かりし聖なる杖だと言う。

 いつしかその所在がわからなくなったその杖は、本当に存在したのかさえ、あやふやになっていたらしい。


 伝説の勇者と聖女は後に結ばれたらしく、もしかしたら勇者が妻である聖女を守っていたように、神剣が女神の杖を隠して守っていたのかもしれないと、ノルンの祖母は言った。


 そう説明する彼女の表情は、孫娘が伝説の聖女の後継者になった事が誇らしいのと、ノルンのこれからを心配するのと、両方の感情が入り混じったような、複雑な表情だった。

つづく。

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