22.勇者まだまだ語る
書けた分だけ更新します。
前回のライの推測どうり、ノルンは神殿をこっそり抜け出しわざと誘拐されました。
「ちょっと待って。それ初耳なんだけど!!」
俺とノルンの出会いを語っていたら、レイリィが俺の話を遮って憤慨する。
「あの子ったらまさか、そんな事してたなんて……。なんで今まで教えてくれなかったのよ!!」
なんでと言われても、単に話す機会がなかっただけだ。
そもそもノルンは、素の自分を俺に知られてないとずっと思ってるからなあ。
今までずっと一緒に旅してたのにノルンが嫌がりそうな、そんな話題そう都合良く出せるもんか。
「というか、おっそろしいガキだったんだな、ノルンは……」
ガリアードが眉間を抑えながら呟く。
「俺のノルンの悪口を言うな」
俺がそう言って睨むと、ガリアードは肩を竦めて言う。
「まだお前のもんじゃないだろう。つーか、お前酔っ払ってないか?
「俺は酔ってなどいない。なんだか少し体が火照ってきたが、それはノルンを想う、この純粋な気持ちがそうさせているだけだ」
これが想いの力という物だ。うむ。
「それを酔ってると言うのよ」
「やれやれ。しかしアレだ。話を聞く限り、当時のノルンを女として見て尚且惹かれるとか、お前の女の趣味はどうなってるんだ?」
なんだと、この野郎。ノルンのかわいらしさがわからないとは、脳みそ腐ってんじゃないのか?
「ちょっと!!人のかわいい妹を貶さないでくれる?」
「いや、まあ、見た目は極上だとは思うがな、中身がちょっとな……。ここ半年ほどの間に大分落ち着いたとは思うが」
レイリィとガリアードのそんなやりとりをジト目で見つつ、俺はガリアードの野郎に言ってやる。
「ノルンのかわいらしさがわからないとは……。ならノルンの魅力をもっと聞かせてやろう。あれは誘拐犯をノルンが退治した次の日の事だった……」
俺はノルンとの思い出の日々を語り始めた。
「え?まだ続けるのか?」
続けるんだ。まだまだ語り足りない。
3話目と5話目にライ、ガリアード、レイリィの容姿に関する部分を付け足しました。
読まなくても物語に支障はありません。