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21.炸裂!!防御陣(プロテクション)ぱんち!!

 なんだ、あの技は?

 初めて見た技に飛び出すタイミングを見失ってしまった。


 「な、な、な、なんだそりゃあああっ!?」


 ノルンの放った攻撃でふっ飛ばされた男達のリーダー格が困惑の叫びを上げる。


 「ふっふーん。これぞぼくの開発した必殺技!!任意の場所に任意の形状で発生させた防御陣プロテクションを好きな形にして撃つ!!これこそがアサルト防御陣プロテクション!!」


 そんな事が出来るのか?そもそも防御陣プロテクションってそういう使い方する防御魔法だったっけ?

 今目の前で繰り広げられた、信じられない光景に俺も困惑する。


 「ぼくの作った必殺技で悪党をやっつけてレベルアップ!!そしたら神剣もきっとぼくを認めて抜けるはず!!さあ、大人しくぼくの経験値かてになあれ!!」


 ノルンはドヤ顔でそう言うと、両拳を頭上に掲げて、先程よりも巨大な光り輝く拳を二つ作り出した。


 「待て!!待て待て待て!!壁に当たってる!!天井に当たってるぞ!!」


 男達が顔を真っ青にしてノルンにそう訴えかける。

 ノルンの作り出した巨大な拳が壁を破壊し、天井にもめり込んでいた。

 これをこのまま、奴等に降り下ろしたら間違いなく、この廃墟は崩れる。


 「うん。それがどーしたの?」


 ノルンはそう言ってこてん、とかわいらしく首を傾げる。


 「だから!!この建物が崩れるって言ってるだろ!!気付けよ!!」

 「別に崩れたっていいでしょ?誰ももう使ってないから廃墟なんだし。むしろ解体工事する手間が省けるよね?」


 ノルンはそう言って笑うと、無情にも巨大な拳を男達に振り下ろした。


 「ひっさーつ!!だぶる防御陣プロテクションぱんち!!」


 巻き込まれないよう、俺は全力でその場を離脱した。


 「うぎゃああああああっ!!」✕3


 俺が悲鳴のした方へ振り返ると、男達は巨大な拳に殴り潰された挙げ句、崩れ落ちた瓦礫の山の下敷きになっていたのだった……。


 「んーしょっ、と」


 ノルンが自分の頭の上に展開した、巨大な手のひらを横薙ぎに払うと手のひらの上に積もった大量の瓦礫が、大きな音を立てて山になる。

 ノルンは下敷きになって失神している男達に近づいていくと、男達が死なないように回復魔法ヒールをかけてから、瓦礫で圧死せず身動きが取れない程度に防御陣プロテクションで作った手で、器用に男達を押し潰している瓦礫の量を調節していく。


 そして男達の頭だけが瓦礫の山から出てる状態にすると、ノルンはポケットからペンを取り出し、並んで伸びてる三人の男達の顔に、私達は卑劣で惨めな誘拐犯です、と大きく書いてから満足そうにうんうんと頷いて、背を向けて去っていった。


 ……かわいい顔してえげつないな、おい。

 おまけに良く見ると、額には肉と書かれていた……。

 ノルン。こいつらの肉なんて何の価値もないだろ……。


 ノルンの後を追いかけていくと、外はいつの間にか既に真っ暗になっていた。

 先程まで俺達がいた廃墟跡には、野次馬達や騎士団が集まってきていた。

 俺はノルンをこのまま一人で帰すのも不安だったので、こっそり彼女のあとを追っていく。

 もしも万が一、危険が迫るようであれば助けよう。


 ……さっきのあれを見る限り、必要なさそうな気もするが。

 そんなこんなでミリシャル神殿に着くと、ノルンは神殿の裏口から、開いていた窓を使って中に入っていく。

 ……まさか、こっそり神殿を抜け出して、わざとさっきの男達に誘拐されたんじゃないだろうな?


 そう思いつつ、こっそりと中を覗いてみると、そこは剣を持った女神像が置かれた部屋だった。

 部屋の中央では、ノルンが台の上に乗って、女神像の持つ剣を何とか引き抜こうとしていた。

 だが一向に抜ける気配はない。


 「なんで!?せっかく悪人達を懲らしめてきたのに、なんでぼくを認めてくれないのーっ!?」


 思いどうりにならなかった事に腹を立てたのか、ノルンが女神像を思いきり蹴った。

 おいおいおいおい。


 「いったーい!!」


 つま先を思いきりぶつけたのが痛かったらしく、ノルンが涙目で女神像を蹴った足を持って、その場でぴょんぴょん跳ね回る。

 ノルン。そんな事するから罰が当たったんだよ……。


 俺がそう思っていると、奥のドアがバンっと音を立てて開き、ノルンの祖母が女神像のある部屋に入ってきた。


 「ノルン!!今何時だと思っているの!!いったい何を騒いでたの!?」


 祖母に怒鳴られ、ノルンは両手の人差し指を合わせ、モジモジしながら口籠る。


 「な、なーんにもしてないよお…」


 だが、そんなのが通用する訳もなく。


 「ノルン!!この台はなに!?それに女神像に付いたこの足跡はなんなの!?」


 ノルンが何をしていたのか察したノルンの祖母が、両目を釣り上げながら、ノルンを怒鳴る。

 俺はそこまで見届けてから、神殿に背を向けて宿に帰る事にした。


 「おばーちゃんごめんなさーい!!うわあああああああん!!」


 背後から聞こえるノルンの泣き声に、俺は思わず笑ってしまうのだった。

 なんなんだ、あの子は。

 あんな子と一緒にいたら、きっと退屈しないな。

 この時俺はそう思ったのだった。

陰鬱な状態で引きはどうかと思ったので少し更新しました。

ノルンの特技は無詠唱で好きな形、好きな向きに発生させた防御陣プロテクションをブロック玩具のLaQのように好きな形に結合する事です。

ノルンの想像力次第でどんな物も作れます。

これがノルン独自の能力になります。

これを真似できる人はいません。

ノルンの防御陣プロテクションは某勇者王のバリアのように、光線系の攻撃はそっくりそのまま相手に跳ね返す特性を兼ね備えてます。

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