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18.俺に天使が舞い降りた日

 15才の誕生日を迎えた翌日、物心つく前に両親を流行り病で亡くした俺を、ずっと育ててくれた祖母に祖父の形見の剣と、幾許かの路銀を手渡され家を追い出された。


 「アンタももう15だ。そろそろ独り立ちしな。世界を見て回りいい子を見つけるんだ」


 早くに夫と娘夫婦を亡くした魔族と人間のハーフである祖母は、そう言って笑いながら俺を送り出した。

 俺は一人気の向くまま、色々な場所を旅して歩いた。

 旅の道中、何人かの女の子との出会いもあった。

 だがどの子もピンと来なかった。


 そもそも俺は子供の頃から女の子とろくに接した事がない。

 おまけに俺の祖母は俺という孫がいるにも関わらず、求婚してくる魔族達がいるほどの美女だった。

 半魔族で年齢どうりの見た目をしていない祖母を、幼い頃から見て育ったからか、旅の道中で知り合った女の子達を見ても何とも思わなかった。


 人は見た目じゃないのはわかってる。内面を知れば好きになるかもしれない。

 それでもあの子達と生涯を共にしたいかと言われたら頷けなかった。

 向こうもきっとそうだろう。


 そんなこんなで旅を続けて、辿り着いたのはラギアン王国だった。

 ラギアン王国に辿り着く前、野盗に襲われていた姉妹を助けたのは良いものの、ラギアン王国までの道中、ふと油断したすきに姉妹に路銀と食料をすべて盗まれてしまった。

 表面上は人当たりの良い姉妹だったので、ショックだった。

 女性不信になりそうだった。


 やっと辿り着いたラギアン王国の周辺は、魔物一匹見かけない位整備が行き届いていた。

 そのせいか、食べられそうな木の実すら生えていなかった。

 空腹でふらふらになりながら、この状況をなんとかしようと俺は街を彷徨った。


 「腹が減りすぎて死にそうだ……」


 空きっ腹を手で抑えながら、住宅街の壁にもたれかかる。

 このまま餓死するのかとぼんやり考えてると、どこからか女の子の声が聞こえてきた。


 「仔猫ちゃん、どうしたの?高くて下りられないの?」


 周囲を見渡しても誰もいない。


 「ちょっと待っててね。ぼくが助けてあげるから。よいしょっと……」


 腹をすかせた俺はこの時、注意力散漫になっていた。


 「よしよし。こわくないよ。うーん。この位の高さなら、このまま飛び降りても平気かなぁ……」


 こうしてても仕方ない。何か日雇いの仕事をしてその金で何か食事をしよう……。

 そう思い、もたれかかっていた壁から体を起こして歩き出したその時だった。


 「……えっ!?きゃああっ!!」


  ドンッと俺は背中に衝撃を受けてそのまま倒れ、額を地面に打ちつけた。

 そして次の瞬間、腰の辺りに何か柔らかい物がドスンと勢いよく乗ってきた。


 「ぐええっ!?」

 「きゃあああっ!?ごめんなさいごめんなさい!!大丈夫ですか!?」


 俺の上に落ちてきたらしい女の子が、慌てて飛び退いて俺に語りかけてくる。

 痛みと空腹でイライラしながら、自分をこんな目にあわせた相手に一言文句を言ってやろうと視線を向けると、そこには俺が今まで見た事もない、ものすごくかわいらしい女の子が、泣きそうな顔でこちらを見ていた。


 俺はこの時、天使に出会ったのだと思った。

ライは魔族の血を引いてますが、見た目は人間と変わりません。

金髪で翠色の目をしたRPGの主人公みたいな容姿をしてます。

普通にかっこいいけど、イケメン枠は他にいて決してヒロイン以外にはモテない。

そんな感じのキャラです。

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