14.王様への謁見
遂に王様との謁見です。
「ノルン。あなたひどい顔よ。何かあったの?」
ぼくをわざわざ迎えに来てくれたレイリィおねーちゃんが、ぼくの顔を見て心配してくる。
「うん……。ちょっと嫌な夢を見たせいで寝られなくって」
「そう……。ノルンが寝られないなんて相当嫌な夢だったのね」
ぼくは寝付きが良い方で、小さい頃寝かしつけるのは楽だったって、おねーちゃんもパパ達も口を揃えて言う位。
だからおねーちゃんは心配そうな顔で、ぼくの顔を見る。
「流石にこのままじゃまずいわね……。そこのあなた。ちょっと遅れるって報告してきて」
おねーちゃんがここまで一緒に連れてきていた、兵士のおじさんにそう指示を出した。
それからおねーちゃんとおばーちゃんに、王様の前に出ても問題ないよう、顔の処置とか色々してもらい、当初の予定より一時間ほど経ってから、お城に向かったのだった。
☆
「この度の働き誠に見事であった。勇者ラインハルト殿。聖女ノルン嬢。そなた達こそ真の勇者と聖女!!そなた達の偉業は未来永劫語り継がれるであろう!!」
レイリィおねーちゃんのパパでもある、この国の王様が勇者様からの邪神討伐の報告を受けて、そう高らかに宣言する。
謁見の間で兵士のおじさんやおにーさん達が祝福のラッパを鳴らした。
なんだか、照れくさいや……。
ぼくとライ様は二人仲良く、王様の前で膝を付きながら、お互いの顔をちらりと見つめあい微笑んだ。
王様の隣で王妃様が扇子を片手に微笑み、おねーちゃんもドレス姿で王様のすぐ隣で笑ってる。
ちなみに皇帝であるガリアードさんは、自分の国に帰っていてここにはいない。
報告も無事に終わったし、このあとは凱旋パレードと祝勝パーティー。
凱旋パレードはともかく、祝勝パーティーはあんまり気乗りしないなあ……。
コルセットをぎゅうぎゅうに締め付けられて、ドレスを着せられて貴族の人達とか大勢、相手にしなきゃいけないんだもん。
おばーちゃんの淑女教育の賜物で、一応ダンスも踊れるけどね。
でもまあ、少しの間余計な事を考えなくていいかな……。
そんな事を考えていたら、王様が勇者様に話しかけてきた。
「おお、そうそう。忘れる所であった。我が国に伝わる伝説の神剣で世界に平和をもたらしてくれた勇者殿に、何か褒美を与えねばならんな。何か望みはあるかな?勇者殿」
「いえ。特にありません」
「そなたは謙虚なのだな」
「私はただ、自分に与えられたこの力で、人々が笑顔で暮らせるこの世界を守れるのなら、と戦いました。ですから富や名声は必要ありません」
かっこいい!!
それでこそ勇者様!!
まあ、冒険の旅で宝物を見つけたり、魔物達が旅人から奪って集めてた金銀財宝なんかを回収したりで、ライ様の財産はかなりの物になってるしね。
ぼくの知る限り多分、4世代か5世代位先の子孫まで、余裕で遊んで暮らせる位あったはず。
「うむ。気に入った!!しかし何も褒美を与えない訳にもいかんしのう……。そうだ。勇者殿。わしの弟の娘と見合いをするのはどうじゃ?」
王様は良い人ですが王妃様と娘のレイリィに頭が上がりません。
王様と王妃様はノルンの事を赤ちゃんの頃から知ってます。
立場上、会う事が少なかっただけで、娘から良くノルンの事を聞かされてました。
王様一家の家族仲は良好です。