12.冷たい瞳
「あ、あれ……?ここ、どこなの……?」
気がつくと、ぼくは真っ暗な闇の中に一人立っていた。
「誰か、どなたか、いらっしゃいませんか?」
誰かいないか暗闇の中に声をかけながら歩き続ける。
「あ……。あっちに光が見える……」
ぼくはこの暗闇の中に射し込む、一筋の光の方へ歩いていく。
しばらく歩き続けた先に、光に照らされた白い空間があった。
「勇者様……!!」
ライ様が白い空間と闇の丁度狭間で、こちらに背を向けて立っていた。
ライ様を見つけてぼくが駆け寄ると、彼はこちらに振り返る。
「勇、者……様……?」
ぼくの顔を見るその瞳は、まるで汚い物を見るような、そんな冷たい瞳だった。
「ノルン」
まるでこちらを蔑むような、冷たい声。
「どうして君は嘘をつくんだ」
「わ、私、勇者様に嘘なんてついてません!!」
「何を白々しい。ずっと嘘をつき続けているじゃないか。初めて会った時から、今もずっと」
そう言って、彼はぼくを冷たく嘲笑する。
「どうして……!?どうして、そんな酷い事を言うんですか……!?」
ぼくが泣きそうになりながら尋ねると、ライ様は心底不愉快そうに言った。
「酷い?どっちが……。ノルン。君は俺にずっと、本当の自分を見せてくれないじゃないか」
「そ、それは……」
だって、今更ホントのぼくなんて見せられないよ……。
もしかしたら、嫌われちゃうかもしれないもん……。
長いので分割します。




