1.はじめまして。ぼくノルン。聖女です。
前世と転生とTSという人気ジャンルを見て思いついた作品です。
もし恋する少女が好きな人とのハッピーエンド直前で前世が男の子だったのを思い出したら?
そんなおはなし。
一応全年齢男女両方向けのつもりですが、内容的に少女向け寄りかもしれません。
基本主人公目線で話が進みますが、必要に応じてヒーロー目線に変わります。
はじめまして。
ぼくはノルン。ノルン・フォルシオン。
これでも一応、聖女やってます。
自分の事をぼくと言ってるけど、これでももうすぐ15才になる女の子だよ。
ぼくの実家はね、ラギアン王国にある、ミリシャル神殿の管理をしてるの。
癒やしの聖女と呼ばれる、ぼくのおばーちゃんが管理するこの神殿には、太古の昔にとある一人の勇者様が戦いの神様から授かって、破滅の邪神を倒した伝説の神剣が祀られてたんだよ。
……えっと、確かね。今から1年半位前だったかな。
邪神の復活を企む悪魔達が、伝説の神剣を奪いにラギアン王国を襲撃してきたの。
その時、冒険の旅の途中にラギアン王国に立ち寄っていた一人の若者が、伝説の神剣に選ばれて勇者として覚醒したんだ。
元々、まだ若いのに凄腕の剣士だった勇者様は、悪魔達を見事やっつけたんだ。
ただ、うちの受けた被害は結構甚大だったけどね!!
当時のぼくは父方の実家であるこの神殿で、厳しいおばーちゃんに育てられながら、神官見習いをしてたの。
それで勇者様が神剣を手にした後、後片付けをしてる時に神剣が飾られてた女神像の中から、もうひとつの伝説の武器、女神の杖が出てきたんだ。
いやあ、あの時はぼくびっくりしちゃったよ。
それまでずっと誰にも取り外せない神剣を手に持ってた女神像が、神剣が勇者様の手に渡ってから、ぼくが掃除の為に触れた途端、ぼろって壊れて中から杖が出てきたんだもん。
まさか、失われたはずの伝説の武器がもうひとつ、女神像の中に隠されてたなんて、もうびっくりだったよ。
なんとなく声が聞こえた気がして、杖を手に取ったらぼくは光に包まれたの。
なんと、ぼくは女神の杖の使い手に選ばれたんだ。
TSとありますが、話を転がす為の一要素でしかないので、今後ノルンが乱暴な男言葉を使ったり男の仕草をしたりはしません。
恋する少女のかわいらしい恋の行方を描いていきます。