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占戦術学校の愚か者ども  作者: 蒼骨 渉
第一章 サテラプレティツィガーレ占戦術学校一年生前期
8/17

第一章6 一触即発の入学式?

 サテラプレティツィガーレ占戦術学校は国で唯一の占戦術師育成学校であり、その目的は優秀な占い師を発掘することにある。もちろん優秀な占い師とは占戦術に強い者のことを指す。そもそも占戦術自体、可視化できない占い師の能力を測るために作られたのだから当然のことだろう。であれば、この学校における生徒の評価に占戦術が起用されるのは至極真っ当なことで――――寧ろそれ以外の評価など存在していなかった。

 学校で行われる授業には占戦術以外にも、占いの知識や歴史、占戦術で使うタロットカードを学ぶ機会など多岐に渡るが、最終的に求められるのは占いの実力。それら基盤はあくまでも技術を高めるための土台でしかないため、評価するに能わないと学校は判断しているというわけだ。

 サテラプレティツィガーレ占戦術学校ではその占戦術の評価を分かりやすく、さらには生徒の能力を引き出し優秀な占戦術師を生み出すという学校の本懐を満たす仕組みとして、占術ポイントと占術ランクという二つの制度を起用していた。


 占術ポイントとは占戦術の強さを表わす数値のことで、主な入手方法は二つ。ひとつは、年に二回行われる学期末テストや二学期初頭に行われる大占術大会などの学校行事で、好成績を修めた時に学校から振り分けられるパターン。そしてもうひとつが、ここサテラプレティツィガーレ占戦術学校の醍醐味ともいえるであろう、生徒同士で繰り広げられる【占戦術バトル】だ。

 校内では連日のように占術ポイントを賭けたこの占戦術バトルが行われている。賭ける占術ポイントや使用する占戦術の内容など、その一切が生徒等に委ねられており、とにかく勝った方が優れた占い師として賭けたポイントを取ることができる。至ってシンプルな構造となっている。占術ポイントを沢山稼いでいる生徒ほど、占戦術に強い優秀な占い師と評されるというわけだ。

 もう一つの仕組みである占術ランクとは、占術ポイントに応じた階級のことを言う。星0の愚者ランク~星Ⅲの法皇ランクまでの四段階に分れており、各ランクの幅は500占術ポイントごとに設定されている。

 このランク制度は各学年の生徒に求められる占い師としての能力、いわば基準値のような役割を担っており、進級ないしは卒業する際の条件として活用されている。例えば二年に進級する時には占術ポイントが500ポイント以上――――星Ⅰランク(男の場合は魔術師、女は女教皇の称号)が必要であり、もし到達していなければ進級することができない。留年するということだ。ちなみに各ランクと条件は次のようになっている。



占術ランク


星0(初期ランク)   【称号】愚者            

星Ⅰ(二年生進級条件) 【称号】男――魔術師 女――女教皇 

星Ⅱ(三年性進級条件) 【称号】男――皇帝  女――女帝  

星Ⅲ(卒業条件)    【称号】法王 


*500占術ポイントごとに昇格 



 留年回数は在学中に一度のみしか認められておらず、二度目の留年が確定した時点でその者は退学。また占術ポイントが0ポイントになった時点でも退学措置が執られる。

 占術ポイントと占術ランク。この二つの仕組みがあることによって、学校側が余計な手出しをせずとも生徒同士で勝手に切磋琢磨し合い、結果として優良な占戦術師だけが残り、国の指針に沿うことを可能としているわけだ。生徒からしてもとにかく占戦術に勝ってポイントを稼ぐと、目標が単純明快なので双方にとって利のある仕組みである。

 まとめるとサテラプレティツィガーレ占戦術学校とは占戦術の強さがその全てであり、占戦術に強い者だけが生き残り、弱い者が消えていく、まさに弱肉強食・超絶実力主義の学校である。

 生徒は占戦術バトルに勝って占術ポイントを稼ぎ、占術ランクを上げ卒業し、占戦術師の資格を得る。そのために日々占術の知識を学び、技術を磨いていく。

 その門を叩いたのだったが――――。




「――――愚か者」


 第一声、登壇した女性は門出を祝うとは死んでも言えないほど厳粛に告げた。つい先ほどまで祝福ムードだった会場は蛇に睨まれた蛙の如く静まりかえる。

 青のグラデーション生地の上に散りばめられたラメがキラキラと輝く、まるで満点の星空のようなドレスを身に纏ったその女性は、ここサテラプレティツィガーレ占戦術学校の学校長ことヘルメール=アクアルーナである。

 入学式で校長が新入生の前に出ることはさして珍しいことではない。だが、死力を尽くしてこの場に辿り着いた生徒達に向ける言葉や視線は全く歓迎を謳っていなかった。寧ろ泣きわめく赤子を嫌うような目つきで、女王は自らが治める巣窟に足を踏み入れた者達を見下ろしていた。


「三十二」


 続く一言も決して大きな声では無いにもかかわらず、新入生達の耳にはハッキリとそして冷たく刺さる。しかしその数字の指す意味を生徒等は理解しない。答えの得られないままの会場は已然と閑散としていた。


「今年、我が校を卒業した真の占戦術師の数だ」


 追い打ちをかけるように放たれたさっきの数字の解に生徒の間には戦慄が走る。同時に生徒達は互いの顔を見合った。この所作は決して恐怖による同調や他の者の反応を確認している訳では無い。「自分がこの中で生き残る確立は一体何%なのだろうか?」そう思った生徒等は、この会場に存在する人の頭の数を把握しようと周囲を見渡していたのだ。

 動揺する生徒達を見下ろしながら、その状況を作り出した張本人はステージの上から狡猾な笑みを口元に浮かべる。


「また多くの愚か者どもが我が校舎にやってきたものだ。入学激励? 違うな、これは忠告だ。ここは砂漠のオアシスでも真夏のバカンスでも楽園でも天国でも無い。夢や理想ばかりを口にし行動の出来ない地蔵、惑うこと無き剣を己の心に宿すことの出来ない屍は、今すぐここから立ち去るがいい。我が校の誉れとして、些末な品を献上するわけにはいかないのでな」


 これが夢を見て奮闘し、晴れて入学した新入生にかける言葉なのか? 耳を疑う台詞の数々と凄まじい威圧感に押された生徒等は、一刻も早くこの場から立ち去りたい気持ちでいっぱいだった。

 ただ誰一人としてその場から居なくなる者は無かった。それが強い意志の表われなのか、はたまた蛇に睨まれて膠着してしまっただけなのかは確かでは無い。

 が、結果として尻を見せる者が居なかったことにヘルメールは深いため息をひとつ付き、


「父母に貰った命を粗末にするとはやはり愚か者だよ、お前達は。その覚悟、早々に尽きぬといいな」


 学校長はドレスを翻して降壇し、会場から姿を消した。嵐の過ぎ去った後のような静けさがあとに残る。


「学校長ありがとうございました。以上で入学試験および入学式を終わります。が、新入生のみなさんは退席せず、そのままお待ち下さい」


 司会役を務める黒スーツの老爺が入学式の終わりを告げた後、周りに居たおそらく教師と思われる女性数名が、生徒ひとり一人に掌サイズの薄いカードを配り始めた。よく見ればこの場に居る大人の内男性なのは進行役を担う老爺のみとかなり偏りがあった。


「今、配っていますのは【見鏡のタロット】と言いまして、学校生活における必需品でございます。これ一枚で学生証・タロット・通話メール・決済・テキスト教材・レポート提出・ランク表示・占戦術など様々な機能が備わっており、またGPSも搭載、全生徒がいつどこに居たか学校側で把握できるようになっているので、肌身離さず携帯しておくように。各種機能の詳細についてはシラバスでご確認下さい」


 配りながら今渡されている謎のカードの説明を入れる進行役の老爺。どうやら学校指定のマントローブ同様、学校から配布される必需品のようだ。


「全員に渡りましたかね? それでは次の会場に――――」


「はいはいはーい。まだこの子が貰って無いので一枚貰えるかな?」


 突如背後から聞こえてきた声に一同が振り返る。視線の先、会場の入り口付近に立っていたのは顔が白塗りの黄色い道化師――スペクター副会長だった。

 スペクターは身体を捻り、背中に抱える「この子」を見せる。その少年の顔をいち早く確認した瑠璃色髪の少女が反射的に声をあげた。


「アビくん!?」

「アビだと!?」


 すぐさま席を立って彼の元に駆け寄る瑠璃色髪の少女。彼女の声に反応を示した上背の男も同時に席を立つ。


「アビくんは無事なんですか試験には合格したんですか!?」


 副会長に踵を上げて迫り、質問を重ねるユミン。副会長は「落ち着いて」と片手でそれを制し心配する彼女に答える。


「ははは、大丈夫だいじょうぶ! ゴールと同時に気を失って倒れただけさ。まだ未熟なのに霊力使いすぎ。というか殆ど漏れてるだけだったけどね」


「よ、よかった~」


 副会長の言葉に安心したユミンはホッと胸をなで下ろす。少女は入学式が始まってからもアビが会場に居ないことずっと心配していたのだ。


「な、俺の言った通りだったろ? アビなら大丈夫だって」


 同じく集まってきた大柄の男が自身の胸をボンと叩く。その根拠の無い自信は一体どこから湧いてくるのか不明であるが、結果としてダンの言う通りだったので、ユミンは深く頷いた。


――――これでやっとみんなで学校に通える。そう彼女が思った時だった。


「その者は不合格よ」


 向かって会場の先頭、席の最前列の方から不吉な一言が飛んできた。その言葉を発し、会場の注目を一度に集めた者に向かってダンは舌打つ。


「アビが不合格ってどういうことだよ、おい」


「どうもこうも入学式は既に始まっています。校長の挨拶も済みました。それなのに会場には居ない・・・・・・逆に教えて下さるかしら? その者がこの学校に相応しい人間なのかどうか」


 会場の視線を攫い背中でダンの怒りと喧嘩を買った少女は、腰辺りまで伸びた清廉なアクアブルーの髪をさっと払う。その後ろ姿も相まって、酷く冷徹な印象をダンとユミンは彼女に抱く。と同時に過去の記憶がフラッシュバックされていた。

 その姿は入学試験で圧倒的なスピードでもって、この中の誰よりも早くこの会場に辿り着いた、見る者全てを凍り付かせる冷酷な瞳を持つ魔女――ノア=アクアルーナだった。

 彼女は学校長であるヘルメールと同じアクアルーナ家の娘だ。アクアルーナ家は毎年その血を継いだ娘を学校に排出し、入学式では当然の如く首位通過。卒業すら難しいと言われるこの学校を全員が卒業し、卒業後も占戦術師として他を寄せ付けない実力を誇っている占い一家である。

 もちろんそれを知らない者などこの場には居ない。故に、会場内はアクアルーナの娘と舌戦をしようとする者が居るということに驚きと戸惑いが散乱していた。

 ただその中には会場の空気に飲まれず様子を窺う生徒も数名いた。

 情熱的な赤色の髪に強靭な肉体で胸を張っている男――サジダリウス=フラムソールがそのうちの一角だ。彼は何かあればすぐに動くぞ、と言わんばかりの剣のような眼差しをダンに向けて牽制を続けていた。


 そんな事は視界の端にも捉えず、真っ直ぐに矛先を対象に向けるダン。平然に淡泊に言うノアに彼が再び怒りを破裂させようとしたその時、


「あははは、そうだね君の言う通りだ! 時間内にゴールしたなら入学式が始まる前にここに居ないのはおかしいよね!」


 高らかに、そしてのんきにこの場の空気を吹っ飛ばす勢いでスペクター副会長は笑った。本心からの笑いかそれとも何かの意図があってなのか、白塗りのフェイスによって隠されているため表情は読めない。休符が打たれた場にスペクターは指揮を執る。


「でもさ、僕見ちゃったんだよね、この子が残り一秒でダイブして門を越えた所を。ま、ゴールと同時に気絶しちゃったんだけどね。これは試験管役を任されている身として合格と言わざるを得ないと思わないかい?」


 役職と義務を盾にノアに異議を唱えた。それに対してのノアの答えは、


「私なら不合格にしますけどね。どんな理由があろうとも、他の者は皆、同じ条件でこの場に居るのですから。それに・・・・・・この程度でへばっているようじゃどのみち早期退学するのがオチ。泳げないのに無理して海に入って溺れるより、身の程を弁えて砂浜でお城を造ってるほうがよっぽど利口よ」


 認めはしないがこれ以上争う気は無いと刀を鞘に納める。あくまでも彼女の主張は校則や秩序を乱さないことにあった。傍から見て副会長が贔屓目に彼を合格させているのでないかと疑われてもおかしく状況を、この場で不正ではないと副会長自身に証明させようとしたのだ。ただ後半部分は完全に彼女のエゴで、それがまた言われたまま黙っていられないこの男の反感を買ってしまう。


「砂浜でお城だ? てめーにアビの何が分かるってんだよ! 漢にはな、例え泳げなくて海に出て叶えなきゃならねーでっかい夢ってもんが有るんだよ!」


「誰も夢の話なんてしてないでしょう。人には適材適所、有利不利があるのだからわざわざ向いてないことに時間をかけるのは無駄だと言ってるの。はぁ、これだから馬鹿な男は嫌いなのよ。あなた、もう私に話しかけてこないでくれる?」


「おめーからちょっかいかけてきたんだろーが、こっちはハナっから微塵も話す気はねーよ!」


「ちょ、ちょっとダン、言い過ぎだよぉ」


 目には目を歯には歯を、悪口の応酬が止まらないふたりの間に挟まれたユミンはあわあわと困惑する。


「ぷくくく、あーはっはっはっはっは」


 そんな出口を見失った戦場に横やりを投じるのはまたしてもこの道化だ。どこに趣を見出したのか全くもって不明な、しかし腹を抱えて笑う狂気に、不快感を宿した双眼が向けられる。


「何がおかしいわけ」


「いやー、やっぱそっくりだなーって。君のお姉さんと――」


 直視すれば全身が凍りそうになる視線を飄々と受け流しながらスペクターがそこまで口にしたところで、


「私をあの人達と一緒にしないで!」


 これまで冷静通り越して感情の欠片も感じられない態度を取り続けていた彼女が初めて、感情という火薬を混ぜて爆発させた。予告無しで急に爆発したせいか、爆音が全ての音を吸い込んでしまったのか、それからの数秒間会場は静寂に包まれていた。

 一体何が彼女の導火線に火を付けたのか。その答えは現時点では憶測にしか過ぎないが、一言で言えば家庭の事情だろう。ただそれ以上の追随はひとりの男によって止められる。


「いつまで無駄話を続けるおつもりか? そこの気絶している彼は合格、このカードを渡してそれで終りでしょう。それでもまだ続けると言うなら、いくら副会長とはいえ容赦はしませんよ」


 赤髪の青年、サジダリウスが剣呑な面持ちで間に割って入った。


「もー怖いなー。本当に新入生きみ? もっとこうスマーイル、互いの功労を讃えて仲良くやった方が良いと思うけどなー」


「副会長、もう大丈夫っす。頭冷えました」


 相変わらずの道化ぶりを発揮する副会長に水を差したのは、まさかの種を蒔いた本人だった。友人への侮蔑に一時は頭に血が上ったダンだったが、その怒りもノアの激情と共に吹っ飛んでいた。


「もういいの? 相手の顔に一発入れるまで気が済まないっ――とかじゃなく?」


「はい、大丈夫っす」


 分かりやすく萎れるダン。彼の気性の荒さはお墨付きだが、根は優しい性格なのだ。同じ熱量でぶつかってくる相手には戦意をむき出しにするが、失意している者を無理矢理引っ張り出して叩くようなことはしない。


「そ、なら僕はお暇しようかな、面白いものも見れたし。じゃあ、はい、この子頼んだよ。あと数分したら起きるだろうから」


「うっす」


 ダンにアビを預けたスペクターはその場から退く。が、ぴたと立ち止まり、顔だけ半分振り返って、既に落ち着きを取り戻していた冷徹な少女に向けて言う。


「ま、君の言い分も一理ある。確かめて見ればいい、この子が本当にここに相応しくないのかどうか――――試験はまだ終わっちゃいないんだから」


 さっきまでのいたずらっ子は何処に消えたのか。表情は先ほどまでと変わらずに道化のような笑みを浮かべていたが、遠ざかる彼の背にはノアの冷たい鋭さとはまた違う、平静ながらも芯を喰うような威圧感が揺らいでいた。そのオーラ自体を視認出来た者はおそらくこの場には一人として居ない。しかしながら白塗りで隠れた表情でもはっきりと分かる強者の眼差しに、直感でその隠れた爪を感じ取ったサジダリウスの額からは汗がツーっと流れ落ちていた。

 一方、会場は彼の置き土産――試験がまだ終わっていないという発言に騒然としていた。


「ん、ん・・・・・・ここは?」


「お、本当にすぐ起きたな。アビ調子はどうだ?」


 騒音が耳に障ったのかダンに介抱されていたアビは副会長の言った通り、数分とせずに目を覚した。現状が飲み込めないアビはすぐ横にあるダンの顔を覗いた後、周囲を見渡して状況把握を測る。


「アビくん大丈夫? どこか気持ち悪かったり、具合悪かったり、お腹痛かったりしない?」


 急に視界に青い物体が映り、不意を突かれたアビは顔を後ろに引く。次第に焦点がはっきりとしてきて、その人物の風貌が象られてくと、見覚えのある顔に数秒記憶を辿ってから、


「あ、ユミン。それにダン! どうして君たちがここにーーーーっ! 副会長は? 僕は試験に受かったんだよね!?」


 気絶する直前に副会長と対面していたことを思い出し、同時に自分が試験を通過しているのかが気になったアビはダンの背から勢いよく飛び降りた。ここまでの経緯について全く把握出来ていないアビにユミンが自分の知る限りで答えようとしたその時、パンッと手を打ち鳴らす音が響き、騒がしかった会場が静まる。


「ほほ、やっと正気に戻りましたね。これで合格者全員にカードが渡りました。少々勝手なアクシデントがありましたがここからは予定通りに行きたいと思いますよ。各々思うことはあるでしょうが、質疑応答の時間は設けません。迅速に行動をお願いしましょう」


 音を出して注目を集めた進行役の老爺は、そこまでを一息で言い放ち、それで持って間接的にアビの問いにも答える。そして一間を空けてから、会場に蔓延る淀みをなぎ払う一言で締め括った。


「副会長の言う通り入学試験はまだ終わっていません。それでは行きましょうか、次の試験会場――神ノ島セフィロス島へ」


 一次試験合格者二百四十四名。彼等が手にしたのはまだ次の島に向かうための乗船券に過ぎなかった。


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