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運命の絆

作者: 陣哉

〜序章〜

「あんたの縁も切ってやろうか?」

壁に向かって男が喋った。


そして、妙な動きをし、呟き、何かを切り裂いたように見えた。

「今回は特別サービスでタダにしておいてやるからよ。あっちいって幸せに暮らしな。」


赤い糸、輪廻、恨み辛み…

多くの繋がりをもって、私たちは生きている。


昔の同級生にたまたま会って、その後、結婚。

それはどこかで二人が繋がっていたから。


「前世ではあなたは貴族だったんですよ。」と言われた。

それは前世と今が繋がっているから。


まだ、約束を果たしていないから、天国へ行くことはできない。

それは未練という鎖に繋がれているから。


そんな繋がりを断ち切る術を持っているとしたら…。

そして、繋がりを逆に作ることができるのなら

運命を変える力を持った男の物語が今、始ま…


「あ、やべ〜。。。自動販売機の下に500円落としちまった…」


…る。。。


〜本編〜

「あ、やべ〜。。。自動販売機の下に五百円落としちまった…」

先程のクールな男はどこにもいなかった。

「今の俺の全財産なんだよ、頼むよ〜(涙)」


他人に無関心なこの時代に男へ向けられる視線は冷ややかだった。

しかし、

そんな彼に声をかえた優しい男の子が今回の主人公、前野健太だ。


「どうされたんですか?」

「俺の…俺のお金が…全財産が…(涙)」

「いくらです?」

「500円。。。」

沈黙が一瞬流れたのは彼のプライドの為にスルーしてあげよう。

「それくらいなら、僕があげますよ。」


冬から春の訪れは大変嬉しく、晴々しく思うのは皆も一緒では無いだろうか。

雪も降るそんな季節に起こるはずの無い奇蹟。

男にとってそれは春の訪れと同じ。

心の底からわき上がる喜びを抑えきれず男は

「おぉおおお!!神は俺を見捨てなかったかぁ〜!!」

「大袈裟ですよ。」


500円を受け取り、またクールな男に戻った。

「どうもな。その代わりと言っちゃなんだけど、ちょっと占いしてやるよ。

 お前、隣の席の女の子好きだろ?」

「えぇええ…あわああああああ。」

静かな水面に何かが落ちて、波紋が広がるように

さっきまで大人しい男の子はさっきの男のようになった。

男ってどうしてこうも、いざという時に慌てふためくのが多いんだろ…。


「図星だろ。で、名前は…」

「ちょっと待ったぁあ!!ストップ!!それ以上は…つ〜か、あなたは超能力者?!」

「まぁ、そんなもんだと思ってもらってかまわね〜よ。」

「ただのお金の無い変な人かと思ったら、超能力者!!!」


超能力者なんて今までリアルに見たことも無く、テレビで見たってあんなのヤラセでしょと

健太はず〜っと思っていた。

それが目の前にいた、その男が超能力者とじみたことをする。

にわかには信じられないのだが、

自分の好きな人を言い当てられた衝撃が

その事実が

今までの見方を180度変える出来事となった。


そんな事はお構いなしに、男は急に話を始めた。

「人は誰しも繋がりを持っている。赤い糸って知ってるだろ?」

「う、うん。」

「あれも繋がりの分かりやすい例だ。

 人からはいくつもの糸が出ていて、その糸が繋がり、人通しが繋がる。

 人と人だけでなく、人と物も一緒だ。

 それが俺には見える。

 だから、お前から好きな子に伸びる糸が見えるのさ。

 まぁ、その子との糸は繋がっているが、好きとかじゃなく、同級生としか繋がっていないがな。」

「知ってるし…」


健太から精気が抜け、暗くなる姿を見て、焦った男は

「だから、その子とお前を俺がくっつけてやるよ。

 ちょっと待ってな。」

空気中から何かを掴む仕草をして、両手の拳をくっつけたと思ったら

「終わりだ。彼女と仲良くやれよ。」

「は?」

「だから、お前と彼女の糸をつないでやったからよぉ〜。元気出せって。」

「はははは?」

「言った通りだ、同じことは2度は言わない。」

「はぁ」

何言ってんだろ、この人。

好きなこと言い当てたことは凄いが、今言っていることは不可能だ。

ただ、自分を元気つける為に嘘までついて。。。

大人ってするいなぁ〜。

まぁ、いいか。

そんなことを言っても、彼女と付き合えないことは分かっていたことだし

今更嘆いてもしょうがないと言い聞かせた。


「んじゃ、僕、塾があるから行くね。」

「特別サービス500円でやってやったんだから、嬉しく思えよ。」

「はいはい…(まだ言っているよ、この人。話しかけるべきじゃなかったか)」

「じゃあな」

と、男も健太と反対側に行こうとしたその時、

「あ!お兄さんの名前聞いてないや。名前ってなんていうの?」

「ん?名前か。縁正人えにし まさとだ。」

「縁さんって言うんだぁ〜。また、お金落とさないようにね〜。んじゃ、ばいば〜い。」

健太がいなくなった、そのあとに縁は空を見上げて、呟いた。

「わり〜な、健太。俺とお前との縁は切るから、俺との思い出も全部無に還るのさ。

 まぁ、幸せになれよ。そこからはお前の頑張り次第だ」


「運命の鎖、絶!!!」


「また、一人か。」


次の日…

健太は隣の子と付き合うことになった。

急に告白されたのだ。

他に好きな子がいたのになぁ〜と思っていたが、そんなの気にならなかった。


絆により、人の運命は変わっていく。

それは誰もが同じ。

今回はいい方向に進んだが、それだけでは無い。


奇蹟を起こした男、縁の話はまだ続…

「あぁあああ!!!用水路に100円落としちまった…。オ〜マイガ〜」


くのかもしれない。


(完)

駄文を読んでくださってありがとうございます。


この度、初小説投稿させていただきました。


続きを書くか分かりませんが、

今後もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] ハッピーエンドの恋愛ものが読みたいので、とてもよかったです。
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