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5話

しばらくして別のフェロー草自生地を見つけた。

さっきより広く草が生えている。

ここで作業すればノルマを満たすことができるだろう。

「それではまた作業を始めましょう。」


やるべきことはさっきと同じだ。

エミリーがフェロー草を採集する間,見張りをする。


「それにしても退屈だな…」

周辺を見回すだけでは、やはり退屈だ。

何かないかな…


と思った瞬間に小さな音が聞こえてくる。

そして、その声が次第に大きくなっている。


現れたのはオークだった。

非常に速く走っている。

ひとまず身を隠して動きをうかがう。


「オークか?」

ただ昨日と違って急に見えるが。

一応エミリーに話そう。


「なんですか、そんなに急いで走ってくるなんて。」

「オークだ。向こうで見つけたんだ。」

「‥‥数は?」

「4までは確認した。」


「いったんこの場を離れることにしましょう。」

「50個全部埋めたの?」

「とりあえず生きてみないと。袋を忘れないでください。」


その時、オークの音が聞こえてくる。

オークがあった反対方向に走る。

「早く!」


すばやく森を横切る。

ところが突然エミリーが立ち止まる。

「手前からもオークの音が…いや、森全体から聞こえます。」

「ということはオークが森全体にあるということか?」

「とりあえずここで少し隠れましょう。」


草むらの中に隠れば、間もなくオークの音が大きくなる。

「.....」

息を殺したままオークが通り過ぎるのを待つ。


しばらくすると、再び音は離れていく。

「よかった。」

しかし、エミリーは物思いに沈んでいる様子だ。


「おかしいです。オークは嗅覚が発達していて、さっきぐらい大きな音が聞こえるくらいまで近づいていたら、私たちに気づいたはずなのに、そのまま通り過ぎるなんて。」

「そういえば私が発見したオークも何か急いで見えた。まるで追い立てられるように」


「‥‥尋常じゃない。早くこの森を脱出しましょう。」

「オークが森全体にあるぞ?」

「今の状況で見るとオークが怖がっている何かがあるということじゃないですか?

そんなことに会うよりはオークの方がましですね。」


「本当に大丈夫?」

「昨日みたいに六つぐらいじゃなくて三つぐらいまでなら私一人でも大丈夫です。あんなに混乱した状況ならそんなにたくさん群れを作ってはいないでしょう。」

「……分かった、行ってみよう。」


「方向は?」

「さっきオークたちが逃げていた方向は危ないでしょう。少し遠回りしても反対方向に向きましょう。」

林の中を再び歩き出す。


歩く中でもオークがたまに見えるが、俺たちのことを気にするやつはいない。

「やっぱりおかしい。一体この森で何が起こったのか…」

「それは後で考えて一旦は逃げように。」


と思った瞬間、オークが私たちの正面から走ってくる。

「攻撃か⁈」

「戦闘準備を!」

素早くマチェーテを取り出す。


駆けてくるオーク。

それに合わせていつでも切るように準備する。

そして。


オークは俺たちののそばを過ぎてそのまま走り去る。


「オークが人を無視していくなんて…やっぱり何かがあります。」

「思い当たるものがあるの?」

「現在としてはまだ···。」


そして、身の毛のよだつような悲鳴が聞こえる。

「これは…」

「オークの悲鳴。」


森全体に響き渡る悲鳴。

今向かっていた方向から聞こえてくる。


「反対側に回るようにしましょう。さあ。」

「……原因を確認してみてはどう?」

「頭がおかしくなったんですか?!」

「何だかわからないまま行ったらクエストはいつクリアするの?そして、何かを知っていたほうが、かえって逃げやすいんじゃないか。

ひょっとしてその原因が俺たちの方に来るかもしれないじゃないか。」

「でも…」

「けんかしようというんじゃない。見るだけだ。」


「‥‥確認だけするのです。」

「よし、行こう。」


声の元に近づくほど、悲鳴は小さくなっている。

そして、悲鳴が聞こえなくなった瞬間、巨大な何かが見える。

あんなものがあるのに、今まで気づかなかったなんて。


見えるのは大きなトカゲの形をした何か。

「あれはまさか…キングコモド?」

エミリーが驚愕している。


「コモド?」

「B級の魔物がどうしてこのミネル森に?まさかオークを追いかけてここまで?」

「どういうこと?」

「キングコモドの餌はオークです。オークの味は豚肉に近いんです。」

「食べたことある?」

「いいえ、そう聞いております。」


「たぶん、他の場所でオーク狩りをしている最中にオークがここに逃げてきて、それを追いかけてきたようです。突然現れたオークを考えると、 これが正しい推理だと思います。」

「勝てる相手なの?」

「無理ですよ。正体がわかったからもう逃げましょう。勝てる相手ではありません。」



その瞬間、口から下半身だけ出ていたオークを全部飲み込むキングコモド。

それとともに正確に俺たちの側を見る。

「まさか···」


夏樹たちの方に近づいてくる。

あの体にも音を立てずに歩いている。

まるで猛獣が獲物を狙って近づくように。


「逃げろ!」

早く振り向いて逃げ出すと、キングコモドも地を鳴らして追いかけ始める。


「隠ればどうか。」

「キングコモドも嗅覚で有名なモンスターです。確かにばれちゃいます。」


どんどん近づいてくるキングコモド。

「このままでは追いつかれる!」

マチェーテを取り出す。


「お願い!」

そして後ろに振る。


しかし、いかなることも起こらなかった。

「ちぇっ!一体条件が何だよ!」

「私がやります!」


エミリーは何かをつぶやく。

「ライトニング!」

杖の先から稲妻が出てキングコモドを強打する。


「そう、こんな魔法が見たかった!」

「感嘆は後で!」

しばらく立ち止まっていたコモドが、追撃を再開する。


「プレームボール!」

今度は火炎球がコモドに当たったが、すぐに炎を払いのけて再び走る。


「このままなら必ずつかまってしまいます!どうしたらいいんでしょう!」

「俺に聞いても...」

「あなたに確認してもらおうと言われてこうなったんじゃないですか! 責任取ってください!」

「ふう…」


仕方ないな。

逃亡を止めて立ち止まる。

「何の?!」

「おれが餌になるから逃げろ!」


そしてキングコモドの前に立つ。

トカゲではなく恐竜と呼んでもよさそうな大きさだ。


どうか今回だけは…

マチェーテを強く持つ。


コモドが飛びつく。

彼と一緒にマチェーテが振り回す。


だが、結果は、

「わあっ!」

すぐさまキングコモドのしっぽが胸を強打する。


息をするのが苦しい。

今この苦痛を感じて初めて気がつく。

今死を前にして戦っているということを。


「命に脅威となりうる状況発生。強制的に攻撃モードに変換します。」


それとともにツールボックスが勝手に出てくる。

「なんだよ、いきなり!」

「今から工具ではなく武器に用途を変更します。」


そしてツールボックスとマチェーテが光った。

「武器セットに変更完了しました。戦闘を続けてください。」


今の光がキングコモドを刺激したようだ。

再び襲いかかるキングコモド。

そんなキングコモドに向かってマチェーテを振り回す。


「シュー!」

風を切り裂く音とともにキングコモドが飛んでいく。

「……ついに!」


よく分からないが、力を取り戻したようだ。

ただ、オークの時とは違ってキングコモドを一度に斬ることはできなかった。


今の攻撃で頭に来たキングコモドがさらに猛烈に襲いかかる。

もう一度マチェーテを振り回す。


これに押し出されるキングコモドだが、致命傷は出ない。

「どんなに固いんだ、あの皮。」


今回は連続でマチェーテを振り回すが、キングコモドの革は依然としてしっかりしている。

「キズでも一つあれば簡単なんだけど…。」


あんな堅い物でもキズから斬ると思ったよりよく切れる。

問題はキズをつけることができるかだが…


「……もしかして。」

それなら可能性があるかもしれない。


この時、声が聞こえる。

「対抗して戦っているんですか?!」

驚きのエミリーがそこにいる。


「何で帰ってきたんだ!」

「一応同じパーティーじゃないですか!協力しなくちゃ!」

「それではしばらく時間を稼いでくれる?1分で十分だ!」

「1分なら何とかなるでしょう。代わりにそれ以上は本当にだめです!」


キングコモドも面倒くさい相手より新しい餌食に興味が出てきたようだ。

すぐエミリーの方に体を向けるキングコモド。


ツールボックスを開く。

「それがきっとここに…」

見つけた。

状態に異常はなさそうだ。

どうかこれが通じますように…


「アイスウォール」

氷壁がエミリーとキングコモドの間を立ちはだかるが、キングコモドによってたやすく砕けてしまった。

キングコモドがもう一度、尻尾を振り回す。

土壁が建てられるが、壊れてしまって、むちなような尻尾がエミリーを襲う。


土壁のため衝撃が弱くなったが、十分に脅威的な攻撃だった。

今の衝撃で頭がもうろうとする。

もう限界だ。

けれど、


「そこで避けろ!」


声に全力を尽くして走るエミリー。

そして声がしたところに。


電動ドリルを持った夏樹が立っている。

「武器モードならこれも武器ってことだよな?」


そしてドリルのスイッチを上げる。

ドリルのモーターが回りながらドリルが回転する。

彼と一緒にドリルの先に光が集まる。


「行け!」

そして螺旋状の光が射出され、

キングコモドの体を貫く。


「成功だ!」

激痛の中でも再び襲いかかるキング·コモドに再びマチェーテを振り回す。

傷の穴から始まり、大きな傷ができる。

しかし、それでもキングコモドは止まらない。


「こうなってもまだ生きて暴れるのかよ。」

よく見ると皮下に骨がいっぱい見える。

あれまでどうしなければならないのか。

「マチェーテを使うのはやめようか。」


マチェーテをツールボックスの方に投げて、ドリルを両手で持つ。

「終わりだ!」


その傷にも再び襲いかかってきたキングコモドの額をねらって、

ドリルを回す。


そして光が射出されるとともにキングコモドが倒れる。

「‥‥倒れたのか?」


「戦闘終了確認。再び工具に戻ります。」

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