3話
城門の方を見ると、中世時代を移したような人々が実際に闊歩している。
その他にも二足歩行をする動物、簡単に言うと獣人も見えるし、
エミリーのようなエルフも珍しいが、2回ほど見えた。
「こんなものまで見たら 異世界と認めるしかないだろ…」
もう心を固めたほうがよさそうだ。
パラナムという都市の城門に辿り着いた。
「早く入ろう。」
「そんなことしたら監獄行きです。」
よく見ると門番がいることが分かる。
エミリーが彼に近づく。
「出入証を一つ発行してください。」
「銀貨2枚だ。」
それから通行証を渡す。
「恩人といってもお金は別。あくまで頼まれたのは案内役だけですから。後で必ず返してください。」
「みみっちいね。」
「何ですって?」
「何も言ってない…」
金に対する恨みは恐ろしいものだ。
中に入るとまるでテーマパークに来たような気分になる。
ちびっ子のようにテンションが上がる。
「見物はやめてついてきてください。」
いったんエミリーに逆らうことはしないようにしよう。
入ったのはどこの旅館。
「いらっしゃいませ!」
「部屋をひとつお願いします。」
「部屋一つ?」
「わたしだって生活がかなり大変なんです。部屋を2つ借りたいのは私も同じです。」
借りた部屋に入る。
「ベッドは私のもの!」
「あっ!ずるい!」
「悔しかったら、次からはあなたが部屋代を払ってください。」
「……くそっ。」
食事は1階の居酒屋兼食堂で食べる。
少なくともご飯は部屋代に含まれているようだ.
食事代でまた顔色をうかがう状況がないのは幸いだ。
「それでは乾杯!」
「お酒をのんだから、人が変わってましたね。こんなに快活な感じではなかったでしょう。」
「一日を終えて飲むビールは最高なんだよ。この世界にもビールがあって本当によかった。」
「もともとはどういう仕事をしたんですか。」
「まあ、いろいろだったが。まず、建設側の仕事が主要ではあったが…。」
「それでは大工さんでしたか?それとも石工?」
「どっちもやったよね。」
「なんだよ、能力あるんですね。」
「っていうか、おっさんたちにやれと言われて、半ば強制的にならうようになったことなんだけどさ。」
「じゃあ明日は技術者ギルドに登録すればいいんですね。」
異世界らしい話がまた出た。 ギルドか。
「そこに登録すればすぐに仕事が見つかると思います。大工と石工の仕事を一緒にできる技術者はどこででも歓迎します。」
「ギルドに入って「登録してください」と言っただけで登録できるの?」
「技術があるということを見せさえすればすぐ登録可能です。」
「かなりゆるいね。」
しかし、ここまで来てもまた仕事だけするのは嫌だ。
「冒険家ギルドはどう?」
「やめてください。さっき私の格好を見た後なのに、そんな言葉がよくも出ますね。」
「おまえ冒険家だったのか。」
「何だと思っていたんですか?」
「エルフが森にあったからそこが家なのかと思ったんだ。」
「どんなバカがオークが暴れる森に家を建てて生きていくんですか!」
「とにかく技術があるのになぜ冒険家になろうというんですか。」
「どうせこんな世界に来たんだからここでしかできない仕事をしたいというか?」
「もともとの世界には冒険家がいませんでしたか。」
「あるにはあるけどここの冒険家とは違うと思う。冒険家というよりは探検家という名称が似合うだろう。頭数も1万人あれば、5人はいるかな?」
「それだけ?!」
そこまで驚くことか…
「でも一番大きな理由はオークを切るときに使った力が気になって。」
「一体何だったんですか、それは。」
「知らないんだってば。ただ、これ自体の力だと思っているんだ。」
マチェーテを取り出して見せる。
「こんな刀身は見たことがない。しかも柄の材質も独特だし。」
「俺がもともと世界で木材を切るときに使っていた刃物だが。」
「こんな刀たちがその世界には散らばっているということですか?!しかもこういう刀を大工たちが使うなんて、なんと怖い世界…」
「いやいや、もともと世界にいたときはただの他の刀とたいして違わなかった。木を切る時も何度ものこぎりで切るようにしてやっと切られたし。」
「ではまた何かを切ってみれば原理がわかるんじゃないですか。」
「君が気絶しているときにもう振り回してみたけど特別なことはなかった。確かに条件があるはずだ。鉄○牙でもないのに…」
「え?鉄って何ですって?」
「忘れてくれ。それを言ったら大変なことになるかもしれないから。」
「とにかく俺は冒険家の仕事をしてみたい。」
「そこまで言うならもう止めません。私の立場ではどうやってでも私のお金さえ返してくだされば構いません。」
「分かった、分かった。」
料理は西洋の一般的な家庭料理という感じだ。
パスタみたいな麺料理に焼いた鶏料理。
この世界に鶏がいるのか?
鶏だよな…?
でもなかなかおいしかった。
食事だけしてすぐ部屋に戻る。
今日一日だけどれだけ多くのことが起こったんだろう。
食事とともに緊張が解けて疲れが出る。
...
...
...
まぶしくて目が覚めてしまった。
もう日が昇っている。
疲労に酒気が重なって、ずいぶん長いこと寝てしまったようだ。
「やっと起きたのですね。」
この世の不満と恨みをすべて集めたような表情のエミリー。
「‥‥何かあったの?」
「あなたが私のベッドを盗んだからでしょう!」
頭を下げると白いシートが見える。
「結局私は椅子で寝ることになり、今も背中が痛くてたまりません!」
起き抜けに正座したまま説教を聞いている。
この世界で初めて迎えた朝はそんなに愉快ではなかった。
足がしびれるまで説教を聞いてから冒険家ギルドに向かうことができるようになった。
「ここが冒険家ギルドか」
中に入ってみると、すごくうるさい。
「このクエスト、僕がもらってもいいかな?」
「お前、俺の仲間になれ!」
「この素材ならもう少し高く買い取ってもいいんじゃない?」
「よそ見しないでこっちへ!」
「アパッ!耳を引っ張らないで!」
エミリーの連れ先は受付。
「いらっしゃいませ。」
「冒険家の資格が欲しいのですが」
「書類を作成していただけますか。」
書類を受け取った。
「ゼイペノ語の文字ですが、もしかして知っている文字ですか?」
「よく知っている文字だというか… ひらがなじゃん、これ。少し形が違うけど、アルファベットも混じってるのか」
「ひらがなって?そしてアルファベット?また分からないことを」
やはりゼイペノ語は日本語が合っているようだ。
ただ漢字は使わないようだ。
「自分で作成できそうだ。もし分からないことがあったらまた質問するよ。」
書類を作成していく。
名前はひらがなで書かないと。
年は23歳。
性別は男性。
順調に書いていく途中に初の難関に出会う。
「クラス?」
「戦士や魔法使い。このような戦闘のスタイルをクラスと呼びます。」
「とりあえずマチェーテを持っているから剣術家にしておこうか。」
その他にも分からない部分は手伝ってもらってどうにか書類を作成する。
「はんこなんて必要かな?」
「そういうのはなくていいから早めに申し込んできてください。」
「書類を確認し冒険家印を支給します。」
書類に目を通す受付係。
「異常はないですね。それでは支給するようにします。」
渡した証はカード。
カードには基本的な情報が書かれている。
「このカードは特殊な魔法で作成されました。もし情報の更新等が必要でしたら再度お越しください。」
「本当に簡単だね。」
「これから頑張って借金を返してください、F級さん。」
俺のカードにはFという文字が書かれている。
「そう言うお前は何の等級なんだ!」
「フフ···私はD級の魔法使いクラスです。」
「なんだよ、D級か?話ではA級くらいにはなると思ったのに。」
「A級ならそんなにオークたちに囲まれなかったでしょう。」
「そういえば結局そこにどうしていたんだ。」
「本当に早くも聞きますね。」
「きのう、考えることがたくさんあったんだ。」
「薬草収集クエストでした。その時、偶然オークに出会ったのです。」
「じゃあクエストはまだ完了していないんだね。よし, 今出発しようか。」
「え?」
「今すぐお金がないからクエストを助けることでどうにかならないかな…?」
「自分で言っても少し醜いと思いませんか。」
「うーん、でも悪くないですね。オークの残党があるかもしれないから。
いいですよ。クエストを完了できるように手伝ってくれれば、今ある借金はないことにしましょう。」
「それでは今すぐ!」
「ちょっと支度してから行きましょう。人間が何故こんなに無謀ですか!」
「準備といっても… 何をすればいいのか分からないんだけど?」
「はぁ…ついてきてください。」
ギルドの建物の外に出る。