魔力
「ほ、本当に…魔法少女になれたの…?」
不安に駆られ本音が漏れる。それを柊羽は彼に対しての質問と捉えたらしい。
「血止まってないっぽいから、試しに力使ってみたら?」
「試しって…。」
返ってきた軽々しい返事に顔を顰めた。試しにと簡単に言われても困る。柊羽はそれに留まらず、
「ほら、お前って見るからに攻撃的だから攻撃魔法とか出来そう。」
ヘラヘラしながら放った彼の言葉に地味に傷ついた。しかし、自分を否定された気がしてフツフツと腹が立ってきた。その瞬間ふっと頭に何かが過ぎった。
「術式、展開…。」
意志とは関係なく、身体が勝手に動き始めた。柊羽の方向を向き両手を翳す。押さえられていたハンドタオルは地に落ち、手首から赤いものが滴った。
「…いい感じじゃん。」
柊羽はニヤリと笑みを浮かべるだけで何もしない。
それに構わず僕は続けた。脳内は混乱しているのに勝手に進んでいく。
「形態魔法、刃」
そう言った気がした。すると、先程僕に痛い思いをさせたカッターナイフが宙に浮かび、光を放ちながら形を変化させた。カッターナイフはやがて薙刀へと変貌し僕はそれを握りしめたかと思うと、柊羽へと斬りかかった。