ルート②2日目昼
1日目夜の指名失敗ペナルティとして開示する情報をどれにするか
A B C → C
2日目昼会いに行く人物:苺
いやいやいやいやゲームじゃないんだから
なんで最初に公開する情報のところからまた始まっている?
すごくリアルな夢でも見たというのが妥当だろうけどリアル過ぎる
だけどちょっと怖い物見たさで同じCを選んでしまった
それが俺クオリティーきらり
はい、キモい
それにしても夢で最後に聞いた「あいつら」の声
今回、次回
いくら夢オチでもなんというか…腑に落ちない部分が残る
一先ず早く苺に会いに行こう
苺の発言が流れを作ったのは間違いない
ぺらぺら話してしまったのは俺の性格のせいだが、その状況になったのは間違いなく苺の発言からきている
正夢だと言うのなら、同じ行動を取らなければ良い
手っ取り早く苺に会いに行かなければ良いとも思ったが他の2人は別の日に会いたい理由がある
食事の邪魔をするのは申し訳ないからずっとレストランの入り口の監視カメラを見ていたけど今いるのは苺とウサギ
ウサギが入ってから30分は経っているからもう少しで食事を終えるだろう
少し邪魔をしてしまうかもしれないけれど仕方がない
「おはようございます」
苺は俺がレストランへ入った瞬間笑顔を向けて言った
まるで俺が来ることが分かっていたかの様な反応であることは夢と変わらない
ただ、ウサギがいないことも夢と変わらない
この短時間に入れ違いになったとでも言うのか
「おはようございます。食後の珈琲ですか」
「はい、待っていたので」
カップを置いた
まずい、同じ流れになる
「どなたかと待ち合わせでしたか。お邪魔してはいけないので片付けはもう少し後にすることにします」
「違います。あなたと話してみたいなって思ったので待っていたんです。迷惑でしたか?」
ほとんど同じ台詞
どうすれば回避出来る
「とんでもございません」
「へぇ意外。ウチみたいなのとは極力関わりたくないのかと思ってたよ」
そりゃ平時の話だ
って夢でも思ったな
先を分かっていても思考まで同じになるなんて危ない
「でも嬉しいです」
ふわりとごく自然に元気な笑顔を浮かべる
夢で見たのと同じ可愛いが不思議で、気味の悪いと思ってしまう笑顔だ
この笑顔を浮かべている苺の気持ちを理解出来ることはないのだろう
「このゲームの意味を考えてたんです。昨日の夜、ずっと」
「答えは出たのですか」
「考えられるのは豪遊たちのお遊びか、有権者が将来の有権者候補の実力を試してるか、政府の極秘プロジェクトとか」
夢と同じく俺の目をじっと見て話している
「どれが一番近いと思いますか?」
「お答えしかねます」
俺だってその答えを知りたい
そう、夢でも願った気がする
「そっか、分かんないんだ。分かった。ありがとう」
余計な反応はしない様気を付けたつもりだったが、苺の台詞は変わらなかった
どうしてその答えに至ったのかきっと考えるだけ無駄だ
「わたくしがその問いへの解答を持ち合わせていないと考えるのはご自由ですので否定も肯定もいたしません。けれど」
待てよ、この後俺はなにを言おうとしている?
これが余計な発言だったんじゃないのか?
言わなければ苺はきっと他の参加者に興味を示そうとしなかったはずだ
「けれど、なんですか?」
「すみません、なんと言おうとしていたのか忘れてしまいました。年ですかね」
「ふーん」
訝し気な目で見られる
少し慌てた様な、照れた様な、そんな様子を見せてみる
可愛い女の子に見つめられてドキッみたいな設定だ
「分かった、もう良いや。カップお願いね」
「はい。かしこまりました。有意義な時間をお過ごし下さい」
「ありがとう」
レストランを出て行く背中を見送って片付けを始めた
これでなにか変化が起きるだろうか
いや、変わるはずだ
苺が他の参加者に興味を持つ理由がなくなったのだから、変わらないはずはない