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ナスタチウムの決意  作者: ゆうま
ルート⑥
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39/53

ルート⑥3日目

3日目昼会いに行く人物:ブルー

今日はブルーとウサギが話しをするはずだ

じゃなかったら早い段階で2人を同時に指名出来るはずがない

前回のホースと鴬の会話の様に最初から聞けるかは分からないが、行く以外の選択肢はない


ウサギがエレベーターに乗った

今は10時

朝食を少し遅めにとったウサギがおやつを食べようとか、ましてや昼食をとろうと思うはずがない

ブルーに会いに行くんだ

先回りして近くの部屋から2人の会話を聞こう


「ブルー、ウサギ。話しがあるんだけど、良いかな」


やっぱり、ビンゴだ

でもブルーが素直にドアを開けるかな


「なんだ」

「ドア越しだと大きな声で話さなくちゃいけないから、ドアチェーンかけてでも良いから開けてほしい」

「分かった」


すぐにドアが開くが、音をたてて止まる


「内緒話か?」

「うん、苺とナンバーのことで」

「出る。少し待ってろ」


え、出るんだ

やっぱりブルーも2人のこと気になっているんだな

でもそれでなんで指名することに?

昨日の流れも大分違うし指名ってことにはならないのか?


「ありがとう」

「いや、俺も気になっていた。端に寄って出来るだけ小さい声で話すぞ」

「そうだね」


あまり離れないでほしい

声が聞こえ辛くなるし、表情が見える様に鏡を持って来たけど、遠いと見にくいから


「えっと、まず、私が苺のことが気になるって思った理由なんだけど、ホースの提案を了承したときの苺の表情が、少し不服そうだったような気がして」

「俺は言いがかりレベルだが、素直に了承しそうなヤツには思えない」

「それを言うなら私だってそうだよ。それに、私もそう思う」

「で、来たってことは具体的になにかあるんだろ」


背伸びをして小さく手招きをする

流石に不思議そうな顔をしたが、素直にかがむ

耳元でウサギがなにか言うと、ブルーは驚いた顔をした


「分かっているのか。それを知っているということはお前も店に頻繁に出入りしていたと教えるようなものだ」

「分かっている。でも、思い出して。女の子は破天荒、男の子は女の子のためならなんでもするような子だった」

「つまり、最終日に殺される者にならないために俺たちを殺すかもしれないってことか」


前ホースがその提案をしたとき、ナンバーは「最適解」だと言った

だが今回は「最適解に近い」と言った

その違いから生じるものなのだろうか


「いや、それならナンバーは鼻からホースの提案に乗る意思はなかったってことか」

「そういうこと。私たちが気付いているってことは向こうも気付いている可能性もある」

「だが名前どころか、顔もぼんやりとしか思い出せない」

「だから知っていることを共有しよう」


共有したあとのことは言わないんだな

ウサギも狂っている

やっぱりCを最初に選んだときに動きがなかったのは特定出来る人物がいなかったか、極端に少なかったかだったんだ


「だが…ホースのあの案にはウサギも良い案だと言っていたと思うが」

「あそこで反対出来るわけないよ。それに全員情報はしっかり見ていたでしょ?やっぱり心のどこかでもしかしたらって思っているんだよ」

「確かに…俺はあのとき本気でホースの意見に賛成したが、情報は見た。万が一のときカードがなければ勝負出来ない、と」

「多分ブルーと同じ考えなのがホースと鴬で、先にやった者勝ちだと思っているのが私とナンバーと苺だと思う」


そうしてブルーを指名に誘導していくんだな

ウサギ怖いよ


「分かった。一先ず分かっている情報を整理するぞ」

「苺の好きな食べ物がホットケーキで好きな数字が素数、ナンバーの将来の夢がニートで実家が政治家一家。これで間違いないよね」

「ああ。2人について覚えていることを挙げていくしかないな」


ブルーが完全にウサギの流れに乗っている

ホースの提案を全員が飲んでもゲームが停滞しちゃうから困るんだけど、でも…


「そうだね。まず2人とも政治家一家だった」

「あ、それなのに女の子の夢はキャリアウーマンだった」

「それは知らなかった」


腕を組んで考える様な仕草をする


「そういえば、男の子の誕生月は7月だよ」

「2人は同じ誕生月だ」

「誕生月と言えば誕生石。確か7月はガーネットだったはず…」

「そうだ、女の子は誕生石の色、赤を沢山持たされていたが、実際好きな色は随分違ったはずだ」

「青とか緑?」

「緑だ。男の子の瞳が緑なんだ。どうして今まで忘れていたんだ…」


ブルーは何故だか悔やんでいる様子だが、忘れていた方が幸せかもしれない

そういう場合もある


「女の子だが、苗字で呼ばれるのを嫌っていたからなのか、苗字が思い出せない」

「私はフルネーム思い出した。逆に男の子が少し曖昧」

「それで、どうするんだ」


このどうする、とは「名前が分かったがどうする」という意味だろう

知っているぞ、と牽制しに行ってもミスれば逆に指名されるだけだ


「お互いに答えを知らないんだから答え合わせのしようがないし、お互いを信じて今夜指名しよう」

「待て、もう少し様子を見ても良いんじゃないか」

「そんな悠長なことを言っていたら殺されるよ。ブルーの実家がケーキ屋だってことは全員が知っている。もしかしたらそこから私に辿り着くかもしれない」

「それは…そうかもしれないが…」


なるほど、そういうやり方ね


「私のこと、守って」

「分かった…。約束する」

「ありがとう」


正直に言って、吐き気がする

どうしてこんなことが平然と出来るのか

明らかにウサギはブルーを誘導した

自分は2人の名前を分かっていたんだろう

だが同日に指名出来ないことのリスクを考えた結果、ブルーにバレてしまうという少々リスクがあるこのやり方を選んた


だが、ただ教えるだけでは信頼してもらえない

だからブルー自身に考えさせた

そして守ってと言い、それを約束させた

前回のブルーの様子や鴬の発言から、約束を破ることはないと分かる

それをウサギも分かっている

だからこれは実際ノーリスクハイリターンだ


「鴬とホースはどうするんだ」

「私は2人とも全然知らない。相手もそうだと思う。ブルーは?」

「俺は鴬を知っているかもしれない」

「でも相手はブルーの重要な情報を知っている」


力なく頷く


「鴬が分かってからにする?」

「いいや、多分俺たちと同じようにホースと鴬は互いにすぐに分かるはずだ」


ウサギの意外な提案をブルーはすぐに棄却する

既にウサギを守らなくてはいけないという思いが働いているのだろう


「鴬は俺たちが2人を指名したことに怒るだろう。そのとき仲間にならなければ次はお前だ、と言えば仲間になるだろう」

「すぐに分かりそうなの」

「今知れる可能性のある情報は好きな数字、実家、好きな食べ物…」

「好きな動物」

「その4つで、日数分しか情報がないと仮定すればあと2つなにか分からない情報がある。なんとなくの予想はついているから、よほど変な情報でなければ分かる」

「それなら鴬のことは任せるね」


だからあんなミスが起こったのか


「ああ。じゃあ夕食会で」

「うん、またね」




                    ***




6名が会議室Bの指定された席に座る


「今日なにかある人はいるかな」


ホースの問いに全員が沈黙で答える


「そうだね。最終日までは純粋に夕食会を楽しもう。とっても美味しいしね」


全員なにも言わず皿に乗せてあるナフキンを膝の上に置く

早く持って来いってか

へいへい、分かりましたよ


「せーの」


今回の掛け声もホースだ

誰も死ぬことはないし、ホースがした提案だから責任を持つということなのだろう


「安藤希和」

「南京太郎」


苦しみだした2人が互いに手を伸ばす

そして、その手は触れ合うことなく、机に落ちた


「なんでよ!」

「ご、ごめん…怒らないで」

「そんなの無理よ!昨日約束したじゃない!」

「私、今日苺に脅されて…それをブルーに相談したの」


言い訳が変わった

これは確実にナンバーの発言がなかったからだろう


「どうしてブルーに相談したのかな」

「苺が、ブルーと私の名前を知っているって言ったから」

「最終日自分かナンバーを指名する気なら殺す。そう言われたんだよな」


小さく頷くが内心快く思っていないだろう

それなら動くのが早過ぎる


「それより前に殺したって良いんだよ、とも言われて…だから、怖くて…」

「でも実際苺とナンバーは指名に成功してないじゃないのよ」

「俺たちがまだ特定出来ていないと思って高を括っていたんだろ。それに、こいつらは互いのことが絡まなければ基本的に良いやつだ」

「それなら話し合えば分かり合えるかもしれなかったじゃない」

「それはきっと無理だったんだよ。だからこんな結果になってしまったんだ」


ブルーとウサギが力なく頷く

ウサギは俯いたままで、ブルーだけが顔を上げる


「こうなったら協力とか殺人とかそんなことを言っている場合じゃない」

「ブルー」

「良いから黙って聞いてろ」


弱弱しくブルーの腕を掴んだウサギの手を優しく離させる

ブルーの独断だという印象付けだろう


「鴬とホースは既に互いを分かっているはずだ。俺とウサギ、苺とナンバーのようにな。早い者勝ちだ」

「それは2人の仲間になれば2人から指名されないってことかな」

「ああ、鴬はもう特定出来ている。ホースも時間の問題だ」

「俺は全員が全員のことを指名出来るとは思わないよ」


鴬がホースのことをちらりと見る

ホースは微笑みを返すだけで随分と余裕だ

このあとの展開が分かっているのかもしれない


「その可能性はある。だが俺が鴬を特定出来ているのは本当だ。どうする、鴬。なにもしなければホースの仲間ということになって、明日お前は俺に殺される」

「……分かったわ。だけど条件があるのよ。当然聞いてくれるわよね」

「ああ、聞く」

「まっ」


やはり同じ流れに戻った

鴬からしてみれば、こうして自分を仲間にしようとしている時点でホースの指名がかなり難しいことだと分かるはず

だが自分はブルーに思い当たる節がある

それなら選択肢はひとつだ


「絶対にアタシを指名しないこと。それと、アタシにホースの本名を聞かないで」

「っ、分かった」

「これで、4人で帰れるわ」

「あ…、ありがとう、鴬。でも…」


今気付いた、と言わんばかりの反応に白々しさを覚える

この言葉の先はブルーとウサギが自分を指名出来る可能性についてだろう

だがホースはブルーとウサギと接点がないことに気付いているはずだ


「あ、ごめん。アタシとホースを指名しない、にすれば良かったんだわ」

「ううん、良いんだ。俺のために動いてくれたことがすごく嬉しいよ。ありがとう」


作戦に失敗した2人はというと、微笑み合う2人に冷たい視線を送ると情報が映し出されている画面を見て部屋を出て行った


「割と特徴的な情報ね。本当に大丈夫かしら」


ホース 将来の夢:ジョッキー

鴬 好きな食べ物:抹茶


「そう思うのは鴬が俺を分かっているからだよ。きっと大丈夫だから。部屋に戻ろう」

「分かったわ」


監視カメラの映像が暗くなり、音声がなくなる


やはりこの対立になるのは避けられない

明日鴬を説得出来れば最初の狙い通りだ

4日目昼誰に会いに行くか

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