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ナスタチウムの決意  作者: ゆうま
ルート⑤
31/53

ルート⑤2日目昼

1日目夜の指名失敗ペナルティとして開示する情報をどれにするか

A B C → B


2日目昼誰に会いに行くか

ブルー ナンバー 鴬 → ブルー

今回はもっと先から変えることにした

変えたのは公開する情報ではあるが、1日目に公開する情報だ

CではなくBにした


ホース 家族構成:父、母、姉、弟

ブルー 好きな食べ物:チーズケーキ

ナンバー 将来の夢:ニート

苺 好きな食べ物:ホットケーキ

鴬 趣味:お洒落


前回のCの次にAという流れでなにをしてもあの結末以外にはならない気がする

つまり最初にCを選んだら「あいつら」が正しいとするエンディングには行けない

意地の悪いやつらだ


「おはようございます。トレーニングお疲れ様です。朝食のご用意がございますので、よろしければどうぞ」

「ああ…、おはよう。こんなに早くから朝食を用意しているのか」


会議室Aを使って行っていたことは分かっている

ここには非常用の階段しかなく、それは参加者の地図に記されていないし、偶然見つける様な場所にもない

エレベーターに乗るのは確実なので受付で待っていた


「トレーニングのすぐ後に食事を取ると良いと聞いた覚えがありましたので」

「そうか。ありがとう」


ブルーってお礼言うんだ

今までの勝手なイメージだけど、お礼を言うイメージはなかった

何度か「悪かった」とか「すまなかった」とかいう感じで謝ることはあったけど、きちんと謝っていたイメージもあまりない


「今日10時からA会議室を使う。人数は5人以下だ。なにか用意しておいてくれ」


こんなことを言うのが意外でそっちを言及したい

だけどそれは、そこでなにをするかと、ブルーが参加しないことを知っているからだ

まずは不可解な言葉から言及しなくてはいけない


「5人「以下」ですか」

「ああ、自由参加の話し合いをするらしいが俺は参加しない」

「どうしてですか?」

「意味のないことだからだ」


ここで具体的なことを言うとはもちろん思っていない

だけどこの流れなら順に聞いていけば聞けるだろう


「では話し合いの内容は決まっているのですね。しかしそれを話し合うことに意味がないと、なにを話し合われるのですか?」

「ゲームに参加せずにここから脱出する方法」

「それは…」

「意味がないと思うだろ。そんな方法を残しておくはずがない。誰だって人を殺したくはないし、死にたくない」

「ブルー様の仰る通りですが、わたくしにそれを話してしまって良いのですか?」


どうしてブルーはこうも素直に俺の質問に答えるのか

まだ俺が目立った行動をしていないんだから、警戒するのが普通だ


「どうせ意味のないことだ。だが、誰が集まってどれくらいの時間話し合ったか知りたい」

「ゲームに積極的な人物とそうでない人物を区分するためですか」

「そうだ」

「どなたかひとりに肩入れする様なことは致しかねます」

「そうか。分かった」


レストランへ歩いて行くブルーの背中を追いかける


「先ほど「なにか用意してほしい」と仰いましたが、それ」

「飲み物とか軽食とかに決まっているだろ」


俺が断ったくらいで不機嫌になるとは思えないが、明らかにとても不機嫌だ


「ヨーグルトもバナナもおにぎりもない」


え、それで怒ってんの?

今までだってなかったけどなにも言わなかったよね


「運動のすぐ後になにを摂取すれば効率が良いが知っているか」

「ヨーグルトとバナナとおにぎりですか」

「違うっ。タンパク質と糖質だ」

「タンパク質と糖質はヨーグルトとバナナとおにぎりが摂取しやすいのですね。明日はご用意いたします」

「ヨーグルトとバナナがあればおにぎりは必要ない」

「かしこまりました」


なんか分かった気がする

気が利くじゃん、と思ってメニュー見たら全然そんなことなくてガッカリしたんだな

だけどそんなに怒らなくても良いのに

頑張って早起きして作ったのに


「そ、そんなあからさまにしょんぼりするなよ。…悪かった」

「いいえ、わたくしの知識不足が原因ですので」

「調子狂うな…。昨日の夕食会の食事、美味かった。だから朝食も期待している。強く言ったのは悪かった」


なんでここで夕食会の食事の感想を?

しかも朝食も期待しているって?

なにを考えているんだろう


「楽しんでいただけたのなら良かったです」

「食事はな」


一先ず無難な回答を、と思ったのだがまた睨まれてしまう

今度はなに


「ゲームを楽しむ気はない。楽しませる気もない」


言葉の裏読み過ぎなんじゃないの

俺は食事が美味しかったって言ってくれて嬉しかっただけなのに


「わたくしの役割は夕食会の準備をし、生き残っている皆様が昼間過ごしやすくすることですので、ゲームについてわたくしから申し上げられることはございません」

「ペナルティの内容を知らないのか」

「確かに、今の言い方ですとその様に聞こえますね」

「質問に答えろ」

「秘密です」


にこやかに笑うと軽く舌打ちをされた

案外気が短いのか


「じゃあ2つ質問させてくれ。どちらかは必ず正直に答える。どっちを正直に答えたかは言わなくても良い」

「わたくしにメリットがない様に思います」

「お前を俺たち参加者の共通の敵にすることを避けるよう誘導する。どうだ」


そんなことをしなくても俺は相手にもされていなかったしな

しかもすることは誘導だけで、失敗したときのことは考えられていない

だがブルーがどんな質問をするのか気になる


「分かりました。ですが誘導に失敗した場合どうなさるのですか」

「俺が黒幕になる。だが当然ゲームは続く。理由は簡単だ。俺は黒幕に操られていた偽の黒幕だからだ。だがお前は俺が黒幕だと思っていた。そうすればなにも問題ない」


だとすると今回ブルーは話し合いに積極的に参加しないことになるかもしれない

だがこれは恐らく問題ない

ブルーはいつも話し合いの中心にはいたがブルーにしか言えない発言というのはなかった気がする


「どうしてそうまでされるのですか」

「知りたいことがある」

「分かりました。質問をどうぞ」


現状で知りたいことなんて、大したことではないだろう


「イエローを含めた7人の参加者の家族、親戚、友人等知り合いに過去同じようなゲームに参加した者がいるか」


どうしてそんなことを…

まさかブルーの知り合いも過去に参加したことがあるのか?


「お前は、勝てるのか」


今その質問?!

俺が殺し合いに参加していないけどゲームっていう大枠には参加している

そういう話しが出るのはもう少し先のはず

というかはっきり話題に出たのは前回の5日目だけのはず

4日目でループが発生したときにある程度共通の認識とされていた様子だからそれまでには気付いている

それは分かっている

でも、今、もう、気付いているのか


「1つ目の質問の答えですが、わたくしも全てを正確に把握しているわけではないので今分かる範囲でお答えいたします」

「それで良い」

「鴬様のお兄様、ブルー様のお母様のお店が以前あった場所のご近所にあるパン屋のご主人。わたくしが把握しているのはこの2名です」


思ったよりも自分たちを把握していることに驚いているだろうか

そのためにわざとパン屋のことを言った

ブルーは多分、そのパン屋について詳しくない

存在していることを認識しているだけだ

だからご主人さんが亡くなった理由はおろか、亡くなっていることも知らないはずだ


「2つ目の質問ですが、―――分かりません」

「分からない?」


この問いをそのままではなく「ゲームに参加しているのか」という問いだと解釈したとする

それに分からないと答えることは恐らくリスキーなことだろう

だが、俺には本当に分からない

俺も自分はゲームに参加していると思っていた

だから勝てるのだと

でも、本当にそうなのだろうか

追加ルールは「あいつら」の得意技だ


「正直なところ、僕は今の自分の立場を把握出来ていないんです。だから僕が勝つっていう道があるのか、そもそもゲームに参加しているのか、分からないんです」

「―――分かった」


レストランを出る直前で振り返る


「少し考える。朝食はそれからでも遅くならない」


一瞬視線を合わせてまたすぐに逸らす


「いただきます」

「はい」


精一杯の笑顔で応えたが、既にブルーは背を向け始めていた

見えていただろうか

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