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ナスタチウムの決意  作者: ゆうま
ルート③
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ルート③5日目昼

5日目昼誰に会いに行くか

ブルー ナンバー 鴬 → ナンバー

初めての5日目だ

ひと山超えた、そんな実感が湧く

だが浮かれていられない

再びゲームが滞ってしまえば、また前回、前々回と同じ1日目の夕食会後の開示する情報を選択するところからやり直しかもしれない


ナンバーが誰かを守るために殺さなくてはいけないのは、誰なのか

守りたいのは誰なのか

鴬はそれを「あの子」と言っていた

それは自分だと思っていないということだ

ナンバーと鴬は分かり合っている様に思う

ならば最初の予想通り苺だと考えるのが普通だろう


ここで考えていても推測の域を出ない

本人に聞きに行くしかない

そうは言っても藪から棒に聞いても答えてはくれないだろうし、そもそも俺は今回あの部屋でのやり取りを見聞きしていると公言していない

全員気付いているかもしれないが、わざわざ知らせる様なことを言う必要もないだろう


であれば、選択肢はひとつ

誘導して「喋らせる」しかない

だが俺にそんなことが出来るのか?

いいや、やるしかないんだ


「ナンバー様、おはようございます。と言っても、もうすぐお昼ですが」

「…………おはよう、ございます」

「いつも遅い時間に朝食を食べていらっしゃるのですか?」

「…………今日だけ」

「それは良かったです。普段なら既に昼食用のバイキングに変えているものですから」

「…………軽いもの、取る。……少し、待ってて」

「かしこまりました」


黙って立ってナンバーがブランチと言うにも遅い食事を取るのを見る


「…………気不味い」

「失礼しました。ナンバー様の好みを知るチャンスかと思いまして」

「…………好きな食べ物、情報、ある」

「ですが、それ以外にも好きな食べ物はあると思いますし、苦手な食べ物もありますから」

「…………いつも、美味しい。……でも、パン……なんか、違う」

「パンは出来合いのものだからかもしれません」


まさかホースの好きな食べ物ってパン系だったりしない?

だからホースは時間がかかると言ったことに納得したけど、朝食バイキングにはあると指摘しようとした

だが言う途中で出来合いのものであることに気付き止めた

それなら辻褄が合う

ホースが自分たちに不利なことに気付いたのなら、言わないはずがない


「…………作らない?」

「残念ですが設備がないので作れません」

「…………そう。……残念」


なんとなくだが、しょんぼりしている様に見える

少しの表情の変化を読み取れるようになると、案外面白い人物なのかもしれない


「そういえば、お伺いしたいことがあるのですが、よろしいですか?」

「…………食べながら、良い」

「ありがとうございます」


ナンバーが座った席の向かいに座ると一瞬視線を逸らしたが、すぐに目の前の皿に移す

夕食会のときは向かいに座られることに抵抗がなさそうだったけど、嫌だったかな


「…………なに」

「鴬様と随分親しい様子ですが、昨晩のことどう思われましたか?」

「……っ」


口に入れた食べ物が気管支にでも入ったのか、むせている

もしかしてキスをされたことでも思い出したのだろうか

俺が言いたいのはそこじゃないんだけどな


「大丈夫ですか?お水を…」

「…………いらない。……大丈夫、座って。……意味、正確に」

「正確に、ですか」


浮かしていた腰を下ろすと少し戸惑っている風を装ってみる


「昨晩鴬様はホース様を本名で指名されました。そのことをどうお思いですか?…という言い方で伝わりますか?」

「…………伝わる。……聞く、理由」

「ただの興味本位です。気分を害されてしまったのなら、申し訳ございません」

「…………別に」


それはどっちに対してだろう


「…………ホース、わがまま、付き合った。……鴬、すごい」


気分は害してなくて、鴬をどう思うかの答えがこれね、分かったよ

でもナンバーはどうしてそこまで鴬を分かっているのだろうか

ブルーは事件について言おうとしたのを止められたから気付いたと言ったナンバーの言葉で鴬が本当は知っていたと気付いた様子だった

その前に鴬自身が言ってはいるけど、きちんと理解したって感じ


「そうですか。ではナンバー様はご自身がどなたかを本名で指名する理由を探していらっしゃるのですね」

「…………どうして」

「レストランに入っていらっしゃったとき随分と考え込んでいたご様子でしたので」

「…………気を付ける」


それは俺の問いにYesと答えている様なものだぞ


「…………人、死ぬ、嬉しい?」

「それ自体はとても悲しいことだと思います。それに、どなたかの大切な方が亡くなるのもとても悲しく思います」

「…………分かった」


てっきり嘘だと言われるかと思った

本当だから傷付く

でもだからって、俺はこの舞台から降りるつもりは毛頭ない


「…………今日、怒らないで」


これはどう補完すれば良いんだ


「お客様に怒るなんてことは致しません」

「…………それなら、良い。……質問、終わり?」

「これは質問ではないのですが、最後にひとつ」


煽るタイミングでもあれば良かったのだが、なかったからな

単純な質問をしても意味がないことは分かる

それなら言ったことに対する反応で見極められる様なことを言うしかない


「今夜苺様を指名される方がみえますよ」

「…誰。…どうして」

「どなたかはお答えしかねます。理由ですが、廊下で小耳にはさんだ程度ですので分かりかねます」


持っていたフォークをぐっと握って真剣に考えている

どうやら本当に苺で正解の様だ


「……僕、言った、理由」

「秘密です」

「…………それ、信用、無理」


身体に少し力が入る

睨んでいるのだろうか


「ご自由になさって下さい。それからひとつアドバイスを」

「…………なに」

「ルールをもう一度きちんと読んで下さい」

「…………どうして」


どういう意味って聞かれると思って秘密ですって言おうと思っていたのに

なんでそっちの質問になった


「刑事ドラマでは現場100回とよく言いますから」

「…………分かった。……ありがとう」


意外にもお礼を言ったナンバーの姿勢は普段通りに戻っていた

刑事ドラマで現場100回と言って行くと大体見落としたヒントが見つかる

意味が伝わったのだろうか


さて、今夜の夕食会はどうなるだろうか

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