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「では審判はわしが行う。リック、ゾルブ、トイ、アルの四名は前に出ろ」


「やばいよ、どうしよう」とゾルブとトイは震えている。


「僕の親全然焦ってないんだよ」


「おいらの家も。意味がわかんない」


そんな二人の前にリックが立つ。


二本の貧相な木刀を冗談と下段に構え、じっとアルを見つめている。


「そんな木刀で大丈夫かしら・・・・・」とマアム。


村の人間は全員広場に集まっている。


リックのその手にある木刀に心配そうな声が上がる。


「おい、なんだそれは?まともな木刀が用意できなかったのか?」とアルが怒ったように言う。


「へへ、これが秘策ってやつだよ』


「・・・・・まぁ、いい」


「構え」とじいちゃんの声に場が静まり返る。


「はじめ!」


【アルが右手に木刀を構え、左手を前に出して相手との距離を測りながら跳躍する。木刀での戦い方は何度も訓練しており、このやり方ならば、そう簡単にリックが避けることはできないのを知っていた。

ともすれば左に木刀を構えて弾くかカウンターを狙ってこちらの刀が相手の頭に到達する前にこちらの顎に打ち込むか・・・・・。

しかし、リックの二つの木刀はそれをするにはあまりにも細く、短かった。まぁ、おそらくカウンターを打つことはないだろうと、そのまま直進し、左に大きく振りかぶる。リックは木刀を二つともだらりと下げて、ぼーっとしている。村の全員がこれはダメだなと思ったその時、リックの体が風に揺れたように左に倒れる。避けるつもりだろうか・・・。しかし間に合うわけがない。誰しもはそう思ったが予想に反してリックは二本の木刀を使ってあるの攻撃を受け流した。アルの目がカッと開く。後ろにいたゾルブとトイが驚いて後ずさる。そのまま、体勢を崩したアルにリックが膝蹴りをくらわそうとする。あるが右手で受け止めるとリックが右の木刀であるのかを狙う。焦ったアルが『巨人王』の能力を発動して首だけで紙一重で避け、鼻の先を木刀がかすり、赤みを残した。体勢を崩したアルが左足を踏みしめ、右に回転しつつリックを木刀で狙う。あるの能力『巨人王』は大量の魔力を消費して人間を超えた身体能力を発揮できる。黄金の光が体を包み、異常な速さで黄金の光をまとった木刀がリックに迫る。しかし、リックは後ろに素早く仰け反る。そこからアルの襟を掴み、後ろに投げ飛ばす。アルが受け身を取り、前に転がる。リックが振りかぶり、アルを上段から打ち込もうと迫る。木刀でリックの木刀を止めると、リックの右手の木刀が迫る。びっと首に迫り、ギリギリで止まった】


誰もが予想だにしていなかった展開に場が静まり返る。


「勝者 リックじゃ」


う、うおおおおおおおすげぇ


リック、ようやったな!


さっきの動きなんだよ、一瞬だぜ。一瞬。


村中が完成に包まれる。


「はは、まさか負けるとは」とアル。


「悪いな、アル。恥かかせちまったか」


「そんなことない。よくやったよ。まぁ、この時点で負けるのは初めてだったと思うけどな」


「ん?どういう・・・・・』


「リック。よくやったな」とじいちゃん


「うん。まぁ、いろいろあってね」


和気藹々とした雰囲気には入れないゾルブとトイ。


「さてと、ゾルブ、トイよ。お前らは負けた。だが、チャンスを与えよう。わしが直々に鍛えてやる。もし一度も根をあげずに頑張れたなら、今回の件はなしじゃ」


「本当?」


「もちろんやるよ!おいら頑張るよ」


「本当にやれんのか?死ぬぞあれ」と村の大人たち。


「ええええ」


「じゃ、今からだ。訓練場に先に行っておけ」


「ええ、大人たちの?行ったことないけど」


「裏の林の・・・・・、おい、ゴル。連れて行ってやれ」


「わかった」


二人が真剣な顔で連れて行かれる。


場が静まり返る。


ふふっと誰かが噴き出す。


「ぶっわっははハッッハッは」


「ワッハッッッッハアハハッッハッ」


村中が笑いに包まれる。


「なにこれ?え?」


「リック。これ村の恒例行事なのよ!」とマアム。


「ど、どこから?」


散々笑い転げたみんなから聞いた話はこうだ。


能力や体格など、戦いの才能がないものはだんだんとやる気を失い、自信を失う。


しかし、レジックというこの国は人間と違い、人数が少なく、みんなで国を守らなければならない。


そのため、自分より格上の相手に勝てなければ村から追い出すと脅して、自分が強くなるためにはそうすればいいのか真剣に考えさせ、それでも勝てなかったと落ち込んだところでじいちゃんが訓練を施すことを持ちかける。あとがなくなり、必死で頑張った結果、強くなり、また、あの訓練を二週間耐え切ったという自信がつくのだという。


「一応、抜け出す手段として、格上の相手を倒すのがあるんだが、今までそんな奴ほとんどいなかったからな」とある。


「そうそう。お前は村長に殺されかけたもんな」


「それをいうなって」


「え?アルが?」


「・・・『巨人王』は魔力を大量消費するんだよ。それで能力が発動し続けられなくてさ。まぁ、体の一部に能力を発動させたり、一瞬だけ能力を発動させる方法を思いついて、訓練が終わったんさけどな」


「あの訓練やったら嫌での自分の能力の使い方に気づくだろ」


「そうそう」と何人かが遠い目をする。


「まぁ、勝ててよかったよ」


なんとかこの危機を逃れたようだ。

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