緋色のセカイ
1.プロローグ
かつてこのセカイ全てを邪悪な意志で多い尽くそうとした存在がいた。その存在の吐く息が、声が視線がセカイを邪悪に染めよう暗躍した。しかし、ただ一人その存在と戦う者がいた。
ー邪悪なる者の神殿ー
その邪悪なる存在を表すかのような暗闇と辺りを照らす赤ぐらい灯火の中、二人は対峙していた。
・・・・まるでお互いを否定するかのように。
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・そろそろ限界だろ?」
「自惚れるな、人間よ。我は全てを超越する存在ぞ」
「アンタも元は人だろ?」
「黙れ‼」
二人は激しく刃を交えながらも互いに隙を探り、また刃を交える。どれだけの時間そうしていたかもわからないほどそれを繰り返していた。
「・・・・一つ尋ねる」
不意にその存在は質問を対峙者に投げ掛けた。
「・・・なんだよ?」
対峙者は訝しい顔をしながらその質問に答えた。
「なぜ我に歯向かう?愚かな人族のためか、それとも教会に唆されたか?」
その問を聞いた対峙者は不敵に笑みを返した。
「そんな下らないことのためにこんなことしてると思うか?」
「では、なんのためだ?」
「・・・アンタのやろうとしていることが気に入らない。」
「・・・・」
「ただそれだけだ」
2人は無言で武器を構え直す。最早、和解はあり得ない。お互いに信念を貫き通す
数秒の沈黙の後、二人は再び激突した。
ーこれが後に語られる物語の序章であった。ー
ー地球ー
青年はただ歩いていた。意味もなく、時折そらを眺めてはただ歩き続ける。