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アイアンハート  作者: 一花八果
序章:『弄ばれる運命』
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第五話:『裏切りの代償』

挿絵(By みてみん)

――ガイエン王国首都、ロンハイム――


 王城の奥にある一室、普段王族が家族と食事をとる空間では今、王を殺した張本人が晩餐の最中にあった。

 ドーリス=ブラトニスの弟、ヨハン=ブラトニスは、兄とは違って細身の男で、髭は綺麗に剃り、短く黒い髪をオールバックにした四十前半の男だ。

 彼の渋面の先にはもう一人、浅黒い肌の男が立っていた。オーレンフェルト帝国軍の一翼を担う皇帝麾下の騎士、ザガン将軍である。ザガンは山のような大男で、盛り上がった筋肉を見せつける為か最低限の防具だけを身につけ、常人なら両手でも扱えないような大剣を背負っている。

 ヨハンが吐き捨てるように言った。

「約束通り事を運んだのだ、そちらも約束通りにしてもらおう。皇帝には、わたしを北の王と認め、対等な同盟相手だと宣言しろと伝えろ」

 ザガンはつまらなさそうにそれを聞くと、懐から一通の書簡を放り投げた。スープに飛び込みそうになる手紙をヨハンが空中で捕まえる。

「そりゃ陛下からの手紙だ。読め」

 封蝋を破り、目を細めて手紙を読むヨハン。そしていきなり立ち上がったかと思うと、手紙をザガンに投げつけた。

「何だこれはっ! ふざけているのか!!」

 腹の底から爆発する大喝にも動じず、ザガンはニヤニヤと口の端を持ち上げて笑う。

「良かったじゃねぇか、ノースランドの西部に広い領地がもらえるんだろ? 領地の広さで言えば、帝国のどの貴族にも負けねぇなあ。しかも皇帝から直々に辺境伯の称号を授けてもらえるとあっちゃあ、あんたが羨ましくなるぜ」

「属国になると言った覚えはないぞ! それに東部は帝国が治めるだと? 冗談もほどほどにしろっ!」

「おいおい、俺に八つ当たりするなよ。それに考えてもみろ、あんたは実の兄を殺した大罪人だ。その身分で領地を与えられ、帝国貴族の仲間入りを果たせるんだぞ? 悪くない落としどころだろ?」

「バカを言え、ノースランドは元々わたしのものだ! それを黙って明け渡し、大陸一の辺境に引込めとは、呆れて物も言えぬわ!」

 ノースランド西部は特に寒冷な気候で、人もまばらにしか住んでおらず、まさに大陸一の辺境の名がふさわしい。そこで兄と共に生まれ育ったヨハンは、同族を嫌悪するようにその地を毛嫌いしていた。

 しかしザガンはこう言って彼を黙らせる。

「神様にでも訴えるか? まあ全部事情を聞けば分かってくれるかもしれねぇなあ、王殺しは確かにお前の責任だって。勘違いしてるようだったら教えてやるが、裏切り者を守る法は無いぞ」

「く、舐めおって…………」

 やがてヨハンはイスに座り、苦々しげに言った。

「もう話すことはない、帝国に帰って皇帝の靴でも舐めていろ。……ノースランドは渡さん」

「渡さんだと……? ク、クックック……ガハハハハッ!」

 勇ましい言葉を聞いて、突然高笑いするザガン。同時に彼の体に変化が訪れる。

 褐色だった肌は徐々に暗い緑色になり、そこから無数の鱗を生やしていく。筋骨隆々の肉体はさらに厚みを増し、鎧を留める革がギシギシと悲鳴を上げる。そして首から上はもうすでに人間ではなかった。黄色く縦に裂けた眼、細長い舌、ノコギリのような歯。体毛は消え、代わりにびっしりと生えた鱗が鎖帷子のように隙間なく前進を覆う。

「シュゥゥゥゥ……あまり俺を興奮させるな。俺の命令一つで、待機している軍勢がこの街を略奪しに来るぞ。俺の軍は速い、到着までに五日もかかるまい」

「……それがどうした、そうなれば迎え撃つのみ」

「ハッハ! 将兵のほとんどが離反した状態で何をほざく。お前の手勢だけで防ぎ切れるとでも? 強がりだな、その証拠にあんたからは臆病者の匂いがする。俺は臆病者の匂いが分かる」

 睨み合う二人の男。その時部屋の扉を開けて一人のメイドが入ってきた。髪から突き出た三角の猫耳、まだ若い猫族の女だ。彼女は「失礼します」と言って入るが、目の前に半分蜥蜴、半分人間の大男がいるのを見て口を覆った。手に持っていた盆が床に落ち、グラスが割れた。床に赤いワインが広がっていく。

 話の途切れる合間を狙ったつもりが、完全に間違ったタイミングで出てきたようだ。変身して血の気の多くなったザガンが彼女に近付き、ぬっと顔を近付けた。

「ひッ!」

「グゥゥ……獣人、名前は何だ?」

「み、み……ミリーです」

「そうか」

 そう言うと、ザガンはミリーの腰に手を巻いて彼女を抱き上げた。そして無遠慮に彼女の尻を鷲掴みにする。

「~~~~ッ! にゃっ、にゃにを!」

 ザガンはさらに彼女の股に顔を埋め、メイド服のスカート越しに匂いを嗅いだ。

「んんんんぁぁ……雌の香りがするじゃねぇか、それに見た目より柔らかい」

 今度は目線を合わせる高さに彼女を下ろし、長い舌でその顔を味わっていく。

「ぃ……ぁ、あ、んん!」

 顔を背けて逃げようとするミリーを強引に押さえ付け、体を密着させる。

 しばらく彼女の体を堪能した後、ザガンはまた彼女を担ぎ上げて言った。

「シュッシュッ! 南部の猫は痩せすぎで抱く気になれんが、北部の猫は違うらしい。欲を言えばもう少し肉が欲しいところだが、まあ可愛い顔に免じて良しとしよう」

「離して! いやっ、そんなところ触らないで!」

「ハハハ、よしよし可愛い女だ。決めたぞ、帝都への土産としよう」

 暴れるミリーを意に介さず、ドアを潜るザガン。去り際にこう言い残していった。

「あと三日でここを出て、西に向かえ。さもなきゃ俺の軍がお前らを皆殺しにするまでだ。せいぜい急ぐんだな」




――イーストランド、ゴルドヴァ王国首都ゴルド、ソジュ家の屋敷――


 春が過ぎ去り、イーストランドに夏がきた。ソジュ侯爵とその娘リリーは長い旅行を終え、王都ゴルドに帰還した。ジルはと言えば……


「――はあん! んっ……ぁあっ……じ、ジル、いいわ、いい――はぁあんっ!」


 リリーがジルの頭を押さえ付けて仰け反った。最初は彼女が大声を上げる度にひやりとしていたが、今では屋敷中に響き渡るような音にも驚くことはない。ジルは侯爵家がリリーの悪趣味を承知していることを知っていた。それどころか、侯爵夫人、リリーの母も同じ趣味を持ち、屋敷にはそれ専用の奴隷が十人以上いた。

 リリーに聞いた話だが、彼女にこの遊びを教えたのは夫人だそうだ。まだ幼いということで禁じられていたが、十六歳の誕生日を迎えて許可され、待ちに待ったこの遊びの為にジルを買ったらしい。

 夫人は異常なほどにのめり込むリリーを知って、止めたり窘めるでもなく、もっと多くの奴隷を使ってはと提案した。しかしリリーはそれを断り、屋敷に戻った今もジルだけを使っている。全く嬉しくないが。

 最初は足を舐めさせることで満足していたリリーだが、次は首、次は唇というふうに段々とエスカレートしていき、今では女の子が決して外に曝さないようなところにも舌が入っている。そして彼女は舌だけではなく体全体を使って奉仕することを要求した。もしここがノースランドの冬の大地なら、リリーもろとも凍死してしまっていただろう。

 ジルが舐める部分を変える為に動くたび、足枷の鎖がカチャカチャと音をたてる。指をゆっくりと這わせ、リリーの内股をなぞりあげていく。彼女がビクンッと身じろぎした。

 上手くやらねばリリーは満足してくれない。あれから随分と増えた体の傷が、ジルに全力を尽くすことを強要する。場所を変え、強さを変え、時に速く、時に止まったようにゆっくりと、どれほど焦らせば良いか、いつ踏み込むべきか……リリーの肢体を余すところなく調べ上げていく。

「ハァ……ハァ……ね、ねぇジル、なにかしゃべってよ。すきなひとのこえだから、もっと、い、あうぁ……聴きたいの」

 ジルにとって彼女の最も不可解な部分は、こんな行為をさせながらジルへの好意をたびたび口にすることだった。彼は「好き」と言われるたびに悪寒が走る。

(あなたは間違ってる……)

 その気持ちを好意、ましてや恋心などと呼んではならないと思った。まだ男女のことに無知だからこそ、少女のような夢を見ているのかもしれない。それでも、これは違うと叫びたかった。

「ジル?」

「…………ごめんなさい、あなたの体に夢中で、何か喋ろうにも舌が動きません」

 リリーがそれを聞いて艶っぽく笑い、どろどろに溶けたロウソクのような視線をジルに向けた。

「あら、ウソついちゃだめよ? さっきまであんなに頑張って舌を動かしてたのに……今夜はもう何回もイカされちゃった」

 愛おしそうに彼の体を撫でるリリー。

「わたしあなたのせいで、もうくたくた。今夜はこれでおしまいにしてあげる。……いっぱい汚しちゃったから、侍女に掃除するように言ってくれると嬉しいわ。それが済んだら休んで良いわよ」

 そう言って、床の木をヌメヌメと光らせる水溜りを示すリリー。

 ジルは服を拾うと、礼をして部屋を出て行った。




 ジルは屋敷にある浴場の一つに向かった。地下にあるそれは様々な用途で使われるが、主に侯爵家の人々に仕える特別な奴隷の為にあった。特別な奴隷というのは、ジルのような奴隷という意味だ。

 時刻は真夜中、誰もいないと思って広い浴場に足を踏み入れたジルだったが、先客と顔を合わせて立ち止まる。

「ぁ…………」

 ジルと同じ十二歳くらいの少女。髪は肩に届くほどの長さで、リリーのように黄金色というわけではなく、レモン色に近い。年齢が年齢の為、女性を思わせる体の起伏は控えめだが、エルフである彼女は御多分に漏れずとても整った顔立ちをしている。名前は確かラナだ。

若葉を思わせる澄んだ瞳がジルを見つめていた。

「……」

 ジルは目を逸らすと、何事もなかった顔で流し場に腰を下ろし、体に水をかける。ちょうど体を洗っていたラナから一番遠いところだ。

 ラナもすぐに彼から視線を外す。

 二人とも特に慌てることはない。こういうことはよくあることだった。奴隷の生活空間を男女で分けるなんていう思考は、侯爵家でなくとも持っていないのが普通だ。奴隷は人間ではないのだから、裸を恥じることもないだろうと。

 しかしジルはさきほどから時折、ラナの視線を感じていた。ジルがため息をついて言った。

「僕は何もしないよ」

 ラナが慌てて顔を逸らすのが分かった。彼女の高く澄んだ声は少しいらついている。

「別に何も言ってない」

 彼女と同じくいらついていたジルは、思わず吐き捨てるような声を出した。

「みんなと同じ時間に入って襲われるのが怖いから、こんな夜中に入っているんだろ? 僕がそんなことするとでも思ってるのか?」

 ジルは言ってからしまったと思った。

(普段の鬱憤を彼女にぶつけるなんて、それじゃ他のみんなと同じじゃないか)

 あれはまだジルが王都に来てから数日目のこと、侯爵が買ってきた新しい奴隷、ラナが屋敷に連れられてきた。まだジルと同じ年頃だが、彼女は侯爵に“愛された”。そのショックも冷めない内に、風呂に入れると聞いてこの場所に来た彼女は、侯爵夫人が飼っている奴隷に蹂躙されたのだ。他の女の奴隷も同じようにされる中、ジルは黙って隅にいた。手を出せばどうなるかは目に見えていたからだ。

 その時の記憶が呼びさまされたのだろうか、ラナが鼻をすする音が聞こえてきた。浴場の壁に音が反射し、その音に刺激されるようにして彼女の泣き声が大きくなっていく。

 掛ける言葉がない。ジルは両手をだらりと垂らし、黙ってそれを聞いていた。

 やがて泣き疲れたのだろう、ラナの泣き声が小さくなっていき、抑えた嗚咽に変わっていった。ラナは立ち上がって浴槽に浸かる。水が体に沁みるのか、自分の体を抱いて痛みに耐える。その背中を見つめていたジルに、ラナが小さく言った。

「……入らないの?」



 水の中で背中合わせに座るジルとラナ。

「ごめん……」

 ラナはジルの呟きには答えず、両手で水をすくっては落とすことを繰り返していた。

「ねぇ、ラナ」

「なに?」

「さっきはごめん」

「……やめて。余計に辛くなるから」

「…………」

「それより、あなたはどうしてこんな時間に? リリーお嬢様のせい?」

「うん」

「あなたにご執心だと聞いてるわ」

「ありがたいことにね」

 皮肉な笑みを浮かべるジル。その気配を感じ取ったラナが諭すように言った。

「ええ、本当にありがたいことよ。飽きられてしまうという恐怖から無縁でいられるんだから」

 ジルがその言葉に抗議する。

「そんなことない。僕は早く飽きられた方が良い」

「あなたが愚かでないなら、それは本心ではないはず」

「どういう意味?」

 ラナは体を回してジルの方を向いた。ジルも彼女の顔を見る。

「わたしが前にいた場所は、ここから遠くないところにある農場よ。そして、わたしの母親が死んだ場所でもある」

ジルはラナが何を考えているのかは分からなかったが、その瞳の色が真剣なのは分かった。

「どうして亡くなったの?」

「水路よ」

「水路?」

「その農場には、灌漑用に水路が張り巡らされてたの。大きな河から水を引いていたんだけど、流れてくるのは水ばかりではなかった。落ち葉や枯れ木、中でも最悪なのが土や泥で、すぐに水路を詰まらせてしまうの。母たち奴隷は炎天下の中でそれらを延々と取り除いていたわ。あなたのように鞭を受けながらね。ある日わたしの母は作業中に倒れ、そのまま放置された。力の弱かったわたしは軽い作業をしていて、周りにいた人が母を持って帰って来た。そしてわたしがそれを見せられた時には、すでに息をしなくなっていたわ」

「……何が言いたいんだい?」

「ここよりマシな場所なんて無いということよ。ここでは、あることさえ我慢すればちゃんとしたご飯を食べられる。気に入られればこうしてお風呂に入ることができる。わたしたちのように幸福な奴隷、どこを探しても見つからないわ」

 最後は自らに言い聞かすかのような口調で言ったラナ。しかしその言葉だけは看過できず、ジルが声を荒げて言い返す。

「幸福って……それこそ本気で言ってるの? そうは見えない! 僕は自分を幸福とは思わない! 君だってそうだろ? ウソをつかないでくれ」

 ラナも声を上げる。

「じゃあどうしろって言うの? 逃げ場なんてどこにも無いじゃない! そうよ、こんな場所嫌いよ! それをわざわざ思い出させてくれてありがとう、ついでにあなたのことも嫌いになったけどね!」

 勢いで言い返そうとするジル。しかし彼女の正しさに言葉が出て来ず、項垂れる。

「…………僕だって、こんな自分嫌いだ」

 ジルはその声に涙を滲ませる。それを察して、怒りで腰を浮かせていたラナが顔色を変え、腰を下ろす。もう誰も怒ってはいなかった。

「ジル…………別に本気で嫌いだなんて……」

 水面にジルの涙が落ちた。体を震わすたびにかすれた嗚咽が漏れる。

 ラナはジルの涙を見たくなくて、彼の手を取った。水の中で二人の小さな手が重なる。

「ねぇ、ジル、泣かないでよ……」

「昨日……」

「え?」

「……昨日、夢を見たんだ」

 ジルは夢のことを語った。夢に見たのはもちろん故郷の風景だ。



「――それで、お父さんとお母さんはどうなったの?」

「父は死んだよ。母は知らない。生きていると良いけど……」

 話すうちに落ち着きを取り戻していったジル。自分の出自が割れるようなこと以外はほとんどしゃべった。きっと話しても信じてくれないだろうと思ったからだ。

「こんなふうに誰かに自分のことを話すのは初めてだ。……ありがとうラナ、聴いてくれて」

「いいわよ、わたしも泣いちゃったから……だからおあいこ」

「はは……」

「ところで、途中で『父上』って言いかけた時があったけど、ジルってもしかして、元は良いところのお坊ちゃま?」

 ジルは内心ぎくりとしてラナの顔を見る。もしやと思ったが、どうやら出自がばれたわけではないらしかった。もっとも、奴隷であるラナにばれたところで、どうにかなるとも思えなかったが。

 少し期待のようなものを目に浮かべるラナを見て、ジルは苦笑した。

「ねぇ、僕がとある国の王子様だったと言ったら、君は信じる?」

「そうなの?」

 純粋に好奇心から聞き返すラナ。もしかしたら、本当のことを言えば信じてくれるかもしれない。そうすれば、きっと彼女は慰めてくれるだろう……

「……いや、言ってみただけ。別にそう大した家柄じゃなかったよ。ただ、その……しつけが厳しかっただけで」

 しかしジルはウソをついて誤魔化した。とっさのことだったが、そうしてはならないような気がしたのだ。「彼女に背負わせてはいけない」、そんな声がどこかから聞こえてきた。

「そうなんだ、じゃあどうして奴隷なんかになったの? わたしはお母さんが奴隷だったから、自然に奴隷になったけど」

「それは……」

 ジルは少し言い淀んでから答えた。

「何故って……それは、この世は良い人ばかりが生きてるわけじゃないだろう?」

 するとそれを聞いたラナがお茶目に笑った。

「それはそうだけど。でもわたしたちだって良い人とは限らないわよ? たまたま力が無くて弱いから犠牲者になってしまっただけかもしれない。ねぇジル、あなたはもしも、侯爵家のように力ある者に生まれたら、その、あなたを奴隷にした責任者たちや、あなたをいたぶるリリーお嬢様を許すかしら?」

 いたずらっぽく訊くラナに対し、ジルは答えることなく黙っていた。彼女の笑顔を見るうちに、ジルも釣られて笑顔になった。

 ジルは微笑みながらこう考えていた。

 もしもその質問に答えていたら、笑顔になることはできなかっただろうと。

『サウスランド』

 …大陸南部地方。入り組んだ海岸線と多島海を持ち、海運や漁業が盛ん。暑く乾燥した気候。水竜が多く、海軍は無敵。農業は果樹の栽培が有名だが、その他の多くの食糧を輸入に頼っている。都市国家が林立し、緩い連帯で繋がる(土地を巡っての武力衝突は日常茶飯事)。種族対立はあまりないが、どこの地方より貧富の差が激しい。有力商人による寡頭制。傭兵を多く雇う。


『ウェストランド』

…大陸西部地方。痩せた土壌と火山が特徴。肥料と火薬、竜が特産。多数の小国家に分断されている。種族意識が強い。ドワーフの地下帝国がある。

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