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鈍感

「っで、あんたはどうするわけなの? 先生」

 と、悪戯っぽく正装をした桜庭に問いかけた。

「生徒があんなに男らしく成長したことに嬉しく思ってるよ」

「質問に答えてくれる?」

 焦らす桜庭に少々不機嫌になった紗智菜。そんな反応にクスクスと笑みを見せる。

「ごめん、ごめん。……そうだね。ここは先生という立場の僕が出る幕では無い気がしてね。これ以上刺激すると小春はきっと壊れちゃうね」

「それって、諦めるってこと。今まであんなに執着してたのに。ま、あんたみたいに社会的な立場があるからしょうがないかしれないけど。先生と生徒は白い目で見られるし、その方が得策か……。大人って面倒ね」

 ひらひらと舞い落ちる桜の花びらを無意識に目で追いながら、桜庭は微笑しながら口を開いた。

「ほら、前もいっただろ? 相手が幸せになるのなら自分が身を退く……男というにはそういうものだってね。幸せになってくれるになら僕は喜んで身を退くことを迷いなく選ぶよ。それに僕は大人。こういう時にこそ大人ぶらなければね」

 少し強い風が吹き、乱れた髪を耳に掛ける紗智菜はつまらなさそうに口を尖らせた。

「変態は変態なりに考えてるんだ……へー。あんたがどうなろうといいけどさ、おねぇさまの相手アイツだよ。人間ですらないけど、よく決めたね。ダメもとで言えば面白……失礼、可能性だってゼロではないわけだし。」

「まぁ、僕もは·や·く·も小春に手を出したセクハラロリコン野郎に渡すなんて死んでも嫌だけど、今回は譲ってやるよ。一瞬でも隙があったら力ずくで奪うけど何か」

 紗智菜はかなりのマシンガントークに問いかけた思わず顔がひきつった。

「その言葉、あんたにそのまんま帰って来ることをしっかり腐った心に刻みなさい」

 


 紗智菜は1つため息をつきながら「どうなることやら……」と疲れきった表情で言葉を溢した。














 桜の木下に設置されているベンチに小春と漸は腰掛けていた。そのベンチは学校では知らない人がごくわずかの告白スポットである。

 しかし、その場所で告白すると結ばれるなどの効力は存在はせず、ただただ場所が告白の雰囲気にあってるからだ。

 そんなことなど同情するのもアホらしい最高の鈍感ーー通称小春はごくわずかの一人だった。

 先程感じた胸のざわめきに不安感を感じるとともに、いつもに距離なのにどうにも近いように意識してしまう小春はスカートをぎゅっと握りしめる。


「小春、卒業おめでとう」

「あ、ありがとうございます……」


 突然、話を切り出した所為で言葉を詰まらせる。


(なんか変だぞ……。うん、変だ。オカシイ。私はオカシイ)


 小春の思想でオカシイループが始まったところで漸が小春の頭をポンポンと二回叩くと小春の肩は飛び上がり「ひゃひ!」と鳴いた。


「今日の小春可笑しいぞ」

「で、ですよねー」


 漸も小春のさっきの反応に疑わしげな視線を送るとゆっくり小春は目を逸らす。それはギギギギと効果音が聞こえそうなほどぎこちない。


「小春、どうした? 具合でも悪いか」

「そういうわけでは……」


 両手を振りながら違うと必死だ。

 そう、具合が悪いわけではなかった。小春は未知に感情と対峙しているのが自分自身あまり分かってない。


「本当か?」

「本当……何ですけど。……敢えて言うなら調子が悪いです。メンタル的に……多分」


 小春は目が泳いでいるが、漸は説明を求めているように発言せずじっと見ていた。耐えきらずゆっくりと自身の心情について話始めた。


「どのように説明したらいいか分かりませんけど……。なんかモヤってしてフワフワみたいな。でも、そんな不快な感情じゃなくて。わ、分かりましたか?」


「いや、分かんないわ」


「うーん。他には……。漸さんの言動に今日はイチイチビックリするんですが」


「え」


「え?」


 オウム返しする小春だが何一つ分かっていない。

 しかし、漸はその感情をもうすでに当てはまってるものを知っている。だがしかし、果たして正しいのか否か。



 そんな二人をフェンスから目から上だけ出し、一人でにやけながら不審者になっている者がいた。


「あー、もう! 焦れったいわね。そこは“俺のこと、好きなの”って言いなさい。いや、キャラ的になんか違う。“恋愛感情みたいな”っと誘導するのよ! てか、気付いて! おねぇさま! 鈍感というには主人公の特権だけどそこまでいくと哀れですから!」

















多分あと一話完結となります。

よろしくお願いいたします‼

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