ドッペルゲンガー
放課後の教室にて。
二人が机を向かい合わせ受験勉強をしているなか、紗智菜が口を開いた。
「おねぇさま、一ついいですか?」
「何、紗智菜ちゃん」
小春はノートに視線を落としながら答え、問題を書き込んでいた。
紗智菜はシャーペンを置き、ピンと背筋を伸ばす。
「あの、ドッペルゲンガーのことはどうなってるんです?」
ピタリと小春の手が止まる。
ギギギと効果音がなりそうにしながら、ゆっくりと顔を上げた。
「ワスレテタ」
「おねぇさま……」
「色々あってスッカリ……。まだ続いてるぽいよね」
「何だか、今回はヤバそうですね」
(毎回……だけどね)
小春は項垂れ、そのあとの勉強は集中できず切り上げになった。
数週間憂鬱な気分が続いた10月。
スッカリ秋本番。
受験への話も日に日に増えていく。
そんなある日の休日の日曜日。
「な⁉」
がしゃん。
パリン。
「大丈夫、小春ちゃん!」
「す、すみません。ぼんやりしてて」
「怪我してない」
「大丈夫です」
小春が落とした珈琲カップを片付けていくおばさんに申し訳なく思いながら、チラリとテレビに視線を移す。
『速報です。午前10時頃にライブハウスでの銃撃があって3時間が経ちました。事件に進展があり、現場の前に待機してきた特殊部隊ですが、銃撃が突然止み現場に突撃を開始しました。しかし、この事件を引き起こした犯人と思われる5人は既に死亡していることを確認しました。外傷はなく、今は死因を特定しているとのことです』
(ど、ドッペルゲンガーさん⁉ いや、まさか)
このニュースを見ていた小春は驚き、珈琲カップを落としてしまったのだ。
(なわけない)
と、自分に言い聞かせながら自室に戻った。
しかし、気になり数時間後には下に降りニュースを見るを繰り返す小春。
そして……
『ニュースの時間になりました。今夜は内容を変えてお知らせしますのでご了承下さい。午前に起こった銃撃事件ですが、犯人の死因……』
小春は食い入るように聞く。
『死因は特定できず、不信死となっています。えー、ネット上では“救世主”と騒がれてますが今は何も分からないのが現状です』
(私、行ってない!)
そう、小春はこの事件には一切関係ない。
だが、現実に小春が以前に人を殺めた状況に酷似している。
『私は、この1年前から現れた“救世主”について分かることが鍵だと思いますね』
(なりません! いや、なるかもしれないですけど……)
「どうしたの? さっきから顔色が悪い気が……」
「だ、大丈夫ですよ! アハハ……。あっでも早く寝ることにしますね。お休みなさい」
「お休みなさい。小春ちゃん」
心配するおばさん。
しかし、小春は底知れない恐怖に怯えていた。
「心当たりと言えば……まずは漸さんに相談っと」
小春の最終決戦は直ぐ来ることになった。




