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女子同士

 教室にて。





「おはようございます‼ おねぇさま。パジャマ姿もモエでしたが、夏服のセーラーもお似合いです!」


 あれから一ヶ月と少しが経った。

 今のところは平和だ。

 夏休みを目の前に生徒は浮き足がたってるように見える。

 当然だが小春は誰とも進んでいない。

 本人が無自覚だからしょうがないだろう。

 いや、一人だけ進んだものがいる。紗智菜だ。

 数週間前にお泊まり回と称した『おねぇさまとイチャつき作戦』をしたのだ。

 

 それは漸があまりなついてくれない若葉と仲良くなるくらいだ。

 

「ここがおねぇさまの部屋ですね! おねぇさまの部屋……匂い……」

「紗智菜ちゃん、危ない匂いが漂っているよ」

 から始まり、お風呂では

「おねぇさま、一緒に入りましょ‼」

「でも……恥ずかしいし」

「女同士じゃないですか? 紗智菜のこと嫌いですか?」

「そんなこと無いよ。うん、分かった。一緒に入ろうか」

 と半場無理矢理のお風呂だったのだが、

「く、くすぐったいよー! 紗智菜ちゃんや、止めて!」

「おねぇさま、ここですか? ここなんですね」

「さ、紗智菜ちゃん! そこはダメだって」

「おねぇさまの肌ツルツル」

「紗智菜ちゃんもだよ」

「エヘヘ、そうですか?」

 多くの男どもが頭を悩ませる声が小一時間聞こえ、

「おねぇさま、一緒に寝ましょう」

「紗智菜ちゃんの分準備してるよ?」

「紗智菜、おねぇさまと寝たい。ダメ?」

「うん、分かった。いいよ。おいで」

「わーい! っていつまでもいるの男ども」

 

「「えっ」」

 漸と若葉の声がハモった。

 紗智菜の鋭い眼光が二人を捉える。

「今から、男子禁制の話をするの。出ていけ」

「待て待て、小春は一応主人だ。聞く権利はある。見た目は男だが人間で言う男ではない」

「だまらっしゃい。ちゃんとついてんだろうが!」

「さ、紗智菜ちゃん⁉」

「紗智菜、僕もダメ?」

「甘えちゃダメよ。若葉。あなたも男、立ち去りなさい。家でゆっくり愛でてやるから」

「僕よりもソイツ……」

「あぁ?」

「小春……さんの方が優先?」

「さぁ?」

「うっうっ……」

 目に涙を浮かべる若葉。

「わ、分かった。行くぞ。若葉」

「うん。ぐすん」

「なんかごめんなさい。漸さん、若葉君。おやすみ」

「あぁ。おやすみ、小春」


 月明かりが小春の部屋を照らす中、紗智菜の本来の目的ができる舞台が整った。

 紗智菜は小春にベッタリと腕に抱きつき、にやけ顔で話し出した。

「おねぇさま、恋ばなしません?」

「えっ!」

「フフフ、逃しませんよ? さぁ、おねぇさま。ずばり聞きますがいるんですか? 好きな人」

 小春は考える素振りを見せたあと「いないよ」と一言。そに言葉に目を見開き

「い、いないんですか」

「うん」

 紗智菜はてっきりいるのかと思っていた。あわよくば聞こうと考えていた。

 しかし、小春ははっきりと断言したのだ。いないのだと。

「えーっと、小林君から抱き締められたのですよね?」

「なぜそれを! うん。でも、透さん責任感強いしそこからだと思うの」

「え、でも、普通女子に抱きつきます⁉ しかも、心配したんだっとか言います? なんの感情無しに。いつのまにか、下の名前で呼んでるし……」

「鈍感だからね。入院してるときに下でってお願いされたからだよ」

「お、おねぇさま……」

 紗智菜は呆れた。小春の鈍感さ、恋愛経験値の低さに。

「じゃぁ、他に何かあります? 誰かにドキリとさせられたっとか」

「え? うーん。あ! 漸さんにかな?」

「本当ですか⁉」

(もう、人間じゃくてもいい。おねぇさまは色々気づくべきだ)

「あーでも。実験とか言ってたよ? 抱き締められたけど。流石にアレはビックリしたよ」

「じ、実験……」

(あの野郎……)

「もう、遅いから寝よう。紗智菜ちゃん」

「はい。お休みなさい」

「おやすみ」


(これは手強いぞ! 男ども!)










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