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姿

 音楽室にて。



「私の……為ですか」

「あぁ、そうだよ。全ては君のため……救世主のためだよ。ほら、早くその髪と瞳を綺麗なピンクに染めてごらん」



 ーー同じ力を持ってる?




 それならば合点もいく。

 唯一の証言者の男の子はピンクとは言ったが何処がかは言ってない。

 そもそも小春が救世主かどうか分からないのにこんな大掛かりなことはしないはずだ。



「貴方も力、持ってるのですね?」


「もう、先生とは呼んでくれないのか。……残念だ。ま、持ってるよ。ったく、まさかと思ったよ。病室にその男がいたことは。岸の言った通りの容姿をしてるんだから。僕の生徒がまさかってね。そのおかげで君を監視出来たけどね。岸、おいで」

 桜庭がそう呼び掛けると何処からともなく現れた岸と呼ばれた女性。

 女性の容姿はというと髪、瞳は鮮やかな紫に豊満な胸を強調させるような、ぱっくりとデコルテを開けた豪奢な紅い着物。

 一言で言うと艶かしい。

「さぁ、岸。力を貸しておくれ」

「仰せのままに」

 岸の凛とした声ともに消え、桜庭の右手に紗智菜より少しだけ刃渡りが長い小刀が握られ、髪、瞳は琥珀色だった。

(元祖……鍛冶屋の孝文さんの小刀だよね)


「漸さん、行くよ」

 桜庭が力を持っていようといないもこうなることは想定内、推測済だ。

 覚悟していた。

 しかし、どこかで信じていた。

 今では狂人だが、一年と少しは小春の担任だ。

 でも、これで



 ーー終わらせなきゃいけない!



 小春には一つ最悪な想像をしていた。

 いくらこの大仕掛けが小春、救世主を誘きだすためだとしても桜庭が体育館に集めた生徒をそのまま生かしておくだろうか。

 ここまで一つの事に出来るのだから、一緒に過ごした生徒だろうと殺すことは赤子の首を捻ることよりも容易いだろう。

 一発目の爆発が何処で起きたかは小春は知らない。

 だが、しかし、ここまで事を大きくしたのは小春自身の軽率な行動のせいでもある。

 その責任はしっかりと小春が持つべきだと考えている。

 約360人の命が掛かっている。

 元担任だろうと遠慮は無用。

 紗智菜の時のように手を抜いたら後悔しきれない。

 今のところ桜庭のスキルは不明。

 出来る限りの最善策の道を選ばなければならない。


 今まで以上のプレッシャーが小春に重くのし掛かる。



 フッと全身に力が沸き上がる。


「おぉ! いいねいいね! それが救世主の姿かい。美しいよ。本当に美しいよ! 壊したくなるくらいにねぇ‼」



 ーーコイツ絶対変態だろう。



(否定できません)



 本当に危ないやつにしか見えなかった。



 ーー今、元教師と生徒の戦いが幕を開ける。














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