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変身

 教室にて。


 あの騒動から数日がたった。

 城島もとい紗智菜はあのあと今まで奪ってきた体の元へ行き、黙祷を捧げた。

 それで許されるとは当然思っていない。それでも出来るだけの祈りを捧げるのが最低限の紗智菜の報いだ。 

 沢本は亡くなっていたのだが、転校して間もない事とご家族と学校側の配慮で生徒には黙っていたそうだと後々分かったのであった。


 小春の日常は静けさを取り戻しつつあった。


「おねぇさま! 会いたかったですぅ‼」

「や、やめてぇー! その呼び方は……」

 クラスはその二人の光景に目を見張った。

 しかし、それは致し方なっかた。何故なら“あの”城島が“あの”小春に実の姉のように尊敬の眼差し見て……いや、『おねぇさま』と呼んでいるのだから。

 それもそうだが、城島の髪型は以前のように巻き髪をしておらず、あろうことか両側で高く上げていてまるで馬の尻尾が二本あるかのよう……そう“ツインテール”なのだ。

 クラスの誰もがあんぐりと口を開け、小春の控えめな胸に頬を擦り寄せている城島を見た。いや、見るしかない。



「世界ってもうすぐ終わんの?」

「ある意味、世界の始まりだぜ」

「城島いいぜ、似合ってるぜ‼ ツインテール! これぞモエだ! 拒んでる小春ちゃんの顔もグット!」

「黙れ、変態共! 俺は男どうし……ぶごっ!」

「血は繋がらないけどこれぞ姉妹愛! これは究極の百合!」

「ホモでも百合でもぶっちゃけどうでもいい」

「おーっと、これは乙女ゲーのようだ! まるで悪役令嬢が主人公の優しさに打ちのめされ、考えを改め、翌日には攻略対象の男共が朝来てびっくりする展開だぁ‼ 攻略対象と言えば、まぁ一人しかいないが小林の優男はどこだぁ‼ いくら、糞が思わず引っ込むような鈍感でも気づくぞっぉ! ここでタイミング良く登場ぉ! 楽しげに話してるがここからじゃぁ、なんと話してるか分からねぇ!」

「ケダモノめ」




 クラス中で小春と城島の話題が上がる一方当の本人たちは……。


「おねぇさま、紗智菜いえ、城島はおねぇさまのことが大好きです!」

「えっと……うん。ありがとう」

(この展開が上手く飲み込めないのですが……)

「おはよう、宮倉。えーっと、城島?」

「はい、城島です。この度ちょっと色々合ったんでキャラチャンジっというよりこっちが素です。悪役令嬢キャラキツかったなー。よろしくお願いします‼」

「え……あ、そうなんだ。これからもよろしくな」

(え……何も突っ込まないのね。そっか、鈍感キャラだったね。小林さん)










 こうして、小春の新たな日常が始まったのだった。












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