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雪桜ーー音

 イルミネーションで輝き続ける外港にて。





「で、原因は? 赤の他人が聞くのも何ですけど」

「教えてくれもいいですよね」

 唐木、城島の順に二人に聞く。

 女は座り込みグスグスと泣いていて話が出来そうにない。答えたのは男の方であった。

 男は、見た目ははっきり言ってチャラ男という印象が強い。

「はぁ? そんなの決まってんだろ? さっきの見ただろ。怖いぜこの女。危うく殺されそうになったぜ」

「見れば分かります。それを聞いてるのではなく、別れる原因です」

 唐木は少し、苛立ったような口調になる

「チッ、お前達もウザいなぁ。その女が重いんだよ」

 小春が辺りを見ると野次馬がちらほらいた。こちらの異変に気づいて人が集まってるご様子。早く撤収したいが、こちらはまだ終わりそうにない。

「「はぁ?」」

 見事に二人の声が揃う。

「メールの返信まだ? とか私のことどう思ってんの? とかうざくてしょうがない。めんどくせぇし」

 唐木と城島からは不穏な空気が漂う。それに気づいた小春と鈍感なりに悟ったのか思わず一歩下がる。

「ほほう、それで」

 城島がやけに澄んだ声で男の答えを促す。

「別にそれだけ。俺、重いのってキツいし、無理なんだよねぇ。もういい?」

「えぇ、よろしい」

「いいわ」

 城島は右手をグーパーとならし、唐木はポキポキと音を鳴らす。



 ーーーーバチィィィン




 イルミネーションの会場に響き渡る鐘の音と称しておこう。


 男の頬は両頬にモミジマークがくっきりっとついていた。

(うわぁ……痛そう……でも、庇う要素ないから自業自得だよね)

 城島と唐木が片方ずつ同時に平手打ちをした。あまりのショックに腰を抜かし情けない姿になった。

 二人は汚いものを触ったと言わんばかりに両手を払いのけた。

「あら、ごめんなさい。つい、手が出てしまって」

「変な虫が止まっていたから、潰そうとしたけど逃げられたかも」

(こわっ……女って怖い)

 と漸は身を震わせる。

「お詫びに教えてあげるわ」

「そうね、教えてあげる」



「「恋愛はめんどくさいものだって知らなかったの?」」




「恋愛でめんどくさいもの糞もないわ」

「何、甘えてのよ。恋愛というものは重くてなんぼでしょうが」

「重い? だったらもう人としゃべるじゃない」

「て言うか、さっさと失せろ」

 男は涙目で

「ごめんなさいごめんなさい許してくださいもう辛いです何かの扉が開きそうです本当にごめんなさい」

 早口でそう述べたが、

「謝る相手側違うんじゃありません」

 城島に一蹴され、男は「ひぃ」と小さな悲鳴を上げ、女の前で全力の土下座、コンクリートに頭をスリスリしながら謝ってるのを見た。

「哀れだ……」

 その光景を見ていた野次馬の一人がそう呟いた。







「今日は本当にごめんなさいね。せっかくイルミネーションを見に来たというのに」

 女性はスッカリ泣き止んでいるが目が腫れていた。

「いいんです。大したことありませんし」

「逆にすっきりしました」

 スッカリ小春、小林、漸は茅の外であった。

 本当に、城島と唐木はすっきりとした表情で女性を笑顔で対応していた。

「それと……ごめんね。怪我したんだよね」

「だ、大丈夫です。気にしないでください」

 急に話を振られ驚く小春。

「そんなこと言わないで……今回は本当に貴女に申し訳ないことを」

 目を伏せている女性に、唐木が

「カッターナイフは危ないですよ。でも、あの男があんなふざけた理由だから駄目なんです。チッ、今思い出すだけで……」

「っまぁ、私は大丈夫ですよ。傷も浅かったですし。一週間もすれば傷も塞ぐと思います……」

 このままでは切りがないのでもう終わらせることにしようとした。


 女性は帰り際まで「ごめんなさい」と謝り続けていた。









「今日は濃い一日だったなぁ」

「同感です……一気にドラマ見たいでなんか気疲れしましたよ……」

 家に帰り、ベットに体を預けていた。

 あの後はみんなも疲れていたのか言葉数が少なかった。

「あの男、再生不可能か」

「どうでしょう……少なくとも女性が怖くなったでしょうね」

 敵意を向けられていないこちらも恐怖さえ感じたのだ。あの男が哀れのない姿を公の場でさらけ出すのも無理もなかった。



 小春は女の新たな出会いと男の冥福を祈りながら眠った。


 更新速度遅くなると思います。

 すみません。

 3月中旬には更新速度上がると思います。

 それまで、お付き合いお願いします。

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