道……希望か絶望か……それとも
宮倉家、玄関前にて。
小春は背中をごく普通の玄関扉に背中を項垂れながら預けていた。それはもう絶望した顔で……。
漸をいじった後、後にも前にも進めず、正確にはなん歩か後ろに下がり宮倉家の敷地内に入り玄関前で止まっている。
小春は銀行強盗に現在進行形で襲われている銀行を助けるか否か。銀行事態はどうでもいい。その中の人だ。こんな早い時間に社員が居るかどうかは分からないが多分いることにしよう。
その仮定が間違っていようといないと関係ないのだ。
道は二つに一つ。その選択が人生の分岐点であることは明確。だから迷うのだ。人生は選択の連続だというがまさにそうだ。
しかし、人生の目先で分かることだけのきつい選択を減らすことができる。それは道の二つあるうちの一つ。
“助けない”選択だ。
漸が以前、話していた“敵”に見つかる可能性が確実に減り、大人しくしていれば更に低くなる。そして、“少女侍”、“救世主”そのワードも世の中の人々も口にしなくなる。ネットでは無くなることはない。すでにあらゆる所に拡散し、削除しようとしても、既に手につかないだろう。
しかし、ネットの中で隅になることはうまく行けばできる。オカルト好きな人の手からは難しそうだが。
“助けない”道はきっと塗装された道であろう。命の危険なんていうものはもう二度も経験済み。危険度が低くても可能性はあるが、その時は己の不運を恨み、三度目の命の危険があった……そういうことだけで済むよう願うだけだ。
道の二つ内の最後の一つ。
“助ける”選択。
“敵”が目をつけたら跳ね上がる命の危険に晒される確率。世の中の人々の話題から毎日のようにどこかでされる。子供、大人、職業とらわれずに。
ネットの急上昇ワードにもなり、少女侍か救世主のどちらかの頭の文字を打ち込むだけで出てくるかもしれない。
ワイドショーでも引っ張りだこ状態で賛否両論を空気と繰り広げられることは容易に想像できる。
そして、“助ける”選択をし一番恐いこと……それは小春の正体見たさに犯罪を行う者が出てくること。一件、二件……小春が行けるところまでは殺して静かにさせたとして、その行いが連鎖されるようになったら小春の手には追えない。
そんなやつらを放置したら被害者の人数が多いだろう。被害者は身内だけじゃないことを身にもって体験している。犯罪が起こる度に出動する警察官。起こるはずがなかった犯罪が起こる……つまり無駄だ。逮捕しても呼び掛けても減らない犯罪の数々。そんななか、連鎖が起きたらもう収拾がつかないのだ。
社会にかなりの影響力与える。小春の行動一つで変わってしまう社会。責任が多いどころではもはやない。
それでも、目の前の銀行で怯えてるかもしれない人々を見捨てる勇気……テレビ画面でスケッチブックを掲げている人々をの中には本当に助けを求めているのかも知れないことも少なからずあるだろう。
そんな期待を……希望を見捨てることもきっと“助けない”道を選んだときなんであの時っと後悔するだろう。
だからっと言って“助ける”選択をしてその分の責任を負う勇気や器量は果たしてあるだろうかと。
“助けない”選択は“助ける”選択よりきっと決める覚悟はちっぽけである。
「どっちを選べばいいですか? 漸さん……」
「俺が決めて必ずその道を進むと?」
「……無理です……。葛藤は必ずあります。漸さんの答えで自分がどちらを選べばいいか分からない上に、分からなくなります。……後悔するのは目に見えていますしね。」
「だろ?小春自身で決めろ」
「……」
小春は瞳を閉じ、考える。どちらを自分は望んでいるのかを。
漸は静寂を守り、しかし確信しているような顔をして小春が言うまで待っているように思えた。
小春が望んでること。
“騒がしいものを斬る”それスタンスは変わっていないことは分かる。しかし、これからの小春次第で自分自体が社会の秩序を乱す“騒がしいもの”になる。
それを踏まえた上で自分がしたい……望んでることを考える。
でも最初から分かっていた。
女という生き物は答えは出ているが誰かに共感され背中を押されたいそういう生き物。
「ふううぅ……」
ゆっくりと息を吐き出す。
「行く……私……行きます!」
しっかりと意思を持った目で漸に言った。漸はあまり驚いていない様子だ。漸は分かっていた。人を見捨てることが出来ない優しい子だと。それ故小春自身辛い道を歩むことになるが。
“助ける”選択の道は獣道の道も付かないほど道ではないだろう。足場も殆どなく無い翼で飛んでるかのようだろう。
それでも、選んだ道を歩むことを決めた小春だった。
「でも、あまり目立たないことにしないと……」
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二十話目ついに達成です!
遅くなってごめんなさい。
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