画面越しの想い
短めです。
宮倉家:リビングにて。
「うぐっ!」
小春はコーヒーを吹き出しそうになり、両手で口元を押さえた。
「大丈夫?小春ちゃん」
心配にダイニングキッチンから掛けよってきた保護者ーーおばさん。
「大丈夫です。ちょっとむせただけです。問題ありません」
「そう、良かったわ」
漸は小春を見てけらけら笑っていた。その姿を見た小春は少しイラっときたがここで漸に向かって話すことは少し痛い子に見られるので止めておいた。
だから、遠慮なく笑ってるんじゃないだろうかと思った小春は違和感がない程度生徒咳払いをした。
すると、笑うことをピタリとやめた漸は何事もなかったようにニュースを見る。しかし、今にも笑いそうに……いや笑ってるんじゃないだろうか、口を押さえている。
「最近物騒ね……。小春ちゃん、女の子だから気を付けてね」
「はい」
「ピンクの髪をした女の子見つかってないらしいし、救世主のサムライかなんだか分からないけど、危ないわね」
「……そうですね」
小春は目尻を下げた。ここで救世主のサムライかなんだか分からないのは私なんです……とも勿論言えず、“危ない”という言葉で危ない子という意味なのか、単なる危ないなのか。それを知るよしもないが……。
小春がコーヒーを吹き出しそうになり、漸が笑っていたのは今日のピックニュースという枠の朝の番組。
何気なく見ていたので小春は不意をつかれ。
「速報です。つい先程、A県のー市の王手銀行で銀行強盗があり、立て籠ってる模様です。」
小春の住んでいる周辺だ。割りと近い。
そこまでは良かったのだ……。問題はその先だった。
「田中さん、現場の状況を教えてください」
画面が切り替わり、強盗が行われている銀行が移った。
「はい、こちらの状況はですねーー」
そこから話が入ってこない。何故ならば、画面の野次馬がスケッチブックに派手な字で“救世主、助けてあげて”や“少女侍!応援してるぞ”“君ならやれる”など書かれていた。
吐き出さない訳がない。耐えられた小春はすごいと思う。
「呼ばれてるぞ、小春。行かなくていいのか」
とニヤニヤしながら漸は小春に聞いてくる。まるで他人事にようだ。
「ほら、あんなに小春を応援してるぞ、一部煽ってるが」
「あぁ、もう!」
ガチャンとおばさんは小春の声にビックリして皿を落とした。
「どっどうしたの?」
小春はやってしまったと思いながら
「いえっ何でもありません。ごめんなさい、今日ちょうと早く行きます」
「……いってらっしゃい」
即座に出ていく小春に終始ビックリしていた。
「何かあったにかしら?」
そう、何かあったのだ。
宮倉家前にて。
「どうしよう……終わった……」
「まだ始まってないぜ」
「敵に見つかるかもしれない序章が始まったんです」
「腕がなるー!」
「本当に、漸さん色々惜しいです」
「そっそれは褒めてるっていうことにもなるよな?」
「半分ですけど」
「いつから小春はこんな子に……」
「出会った瞬間から貶してました」
「えっマジ」
「マジです。私の中の漸さんはとっくにイメージは崩壊してますよ……ついでに」
色々な事実を聞かされ、漸の周りにじめじめした空気とキノコを生やしていた。
「あっ、また壊れた。悪い方に」
現在の時刻、7時10分
二十話まであと一話です!
かなりハイスピード更新だったのでここまであっという間で。
とても楽しいです。
何故なら、元々書くのが好きだったのですが、皆様が読んでるその実感があったこそです!
誤字脱字がありましたら、報告お願いします。
たまに読み返し、見つける誤字が何度もあり不安になりました。
ご時間ありましたら、よろしくお願いいたします。




