救世主
学校にて。
五時間目の国語。
窓に目を向けると雲ひとつない青空が広がる晴天。生徒の何人かはうとうととしていた。
あれから小春の変わったことは特にない。強いていうなら漸に吐き出したことで少し心が軽くなったというところだ。
小林からは明るくなったなっと言われたが、小春にはそんな自覚はない。なので、苦笑いをしただけだ。
“変わった”といわれた気がして少し嬉しくもあったが。
「宮倉さん、世界地図運んでくださいますか」
無駄にきらきらと笑顔を向ける櫻庭。
社会担当の係りなのでしょうがないのだが正直、色々めんどくさそうだった。
「はい……」
「先生! 宮倉さんまだ足が痛いと言っていたので私が変わります!ね、宮倉さん」
と巻き毛を揺らしながら小春に同意の目を向ける城島。小春としても助かるので頷くと
「そうですか。では城島さんお願いしますね」
「もちろんです」
小春は小林さんじゃなかったけ……と疑問を抱いたが、小春はまだ乙女心を理解することはなかった。
顔を赤らめながら犬のようについていく城島を見て呆然としていた。
「櫻庭先生モテるな……そう思うよな、宮倉」
いつの間にか隣にいた小林。
「……そうですね」
(あんたが言うな!)
「何か間がなかったか?」
小林も負けず劣らずモテているという皮肉を思っていたという言えるわけなく
「気のせいです」
と苦笑いした。
小林は女子達から好意を向けられていることに気づかなかったりする。責任感の強い小林が小春を心配して気にかけていることに女子は小春に嫉妬の目を向け、小春にコミ力がないのとそれがクラスに馴染めない原因の一つであることを小林は知るよしもない。
あの博物館の事件については、あのピンクの髪のお姉ちゃんーーもとい小春のことは有力な情報として警察から公に発表された。勿論、刀を持っていたこともだ。ネット上で、少女侍来たーー!と言われたり、この世界にも救世主が!?この世界を変えてくれぇーー!と願われたり好意的な意見が多かった。
しかし、連日のワイドショーで、批判的意見もある。非現実過ぎる、そんな少女がいたとして不信死で大の大人が殺られるとは思わないっ今の警察はオカシイ!と小春は常識的だなっと当事者であるが他人事のように考えていた。
警察としてもその判断は不本意で、なにも証拠がない以上非現実的なーー五歳児の証言に頼るしかないのだった。
ピンクの少女ーー小春の足取りは何一つ掴めてないらしく、可能性が高い生存者に事情聴取を行ったが不信な点は見つからない。そもそもピンクの髪の生存者がいなかったらしい。
髪を黒に染めた可能性があるので証言者ーー五歳児に直接会ってもらいたかったのだが、流石に五歳児も捕まえるっと分かったらしく言うことを聞かない。
五歳児が3人を殺した人のことを庇ったので(仮)、罪にかけられると思い心配したが嘘か本当か分からないのにそれは出来ないらしい。ほっとした小春だった。
ならばということで髪を一本ずつ生存者から徴収し髪を検査したがピンクに染められた形跡はないそうだ。そのときは小春はヒヤッとしたが染めた訳じゃないので安心して髪の毛を渡した。
防犯カメラも小春がぶっ壊しているので心配はなく、警察は幽霊がしたことの証拠を探そうとしてるのと同じであった。
警察は捜査を続けているが半場諦めている。
「スッカリ目立ったな」
と漸に冷やかされたが、本当のことなので
「不本意です」
と答えた。
一区切りつきましたかね?
これからも頑張ります!




