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嘘偽り

 病室にて。


 小春はスマホをで情報収集をしていた。

「話題になっているな……」

 ネットでかなり話題になっている。その話題は、立てこもり犯の三人が謎の死についてだ。警察は事件から四日足取りはついていないということしかついてない。

「漸さんはどうしましょう」

 小春はベッドに座り込んで、漸はベッドの端に座っている。

「小春はどうしたいんだ? もうすぐ警察がくるんだろ?」

「正直に言うと自首について昨夜考えましたよ? でも気づいたんです」

「ほう?」

 漸は小春の顔を除き混む。それはもう、興味深そうに。

 改めて整った顔を認識する。

「漸さん、人間として居たらきっと楽しい人生送れてたと思う」

「なに言ってんだ」

 小春は、咳払いして

「ただの皮肉です。誉めてますよ」

「そんな言われても誉められている感じはしないのだが」

「気にしないでください。話戻すと、この力で殺したんですよ。証拠もなにもありませんし、そして何より信じてくれるはずありません。警察みたいなお堅い職ですのでさらに。なに言ってんだコイツ? 中二病か? って哀れみの目で見られるだけですし」

「まぁ、確かに」

「言わないことに決めました……しらきります」

「もしばれたら?」

「その時は……その時に考えます」

「不安でしかないな」

「私は策士ではありません。期待しないでください」

 話に切りがついたときに、ノックの音がした。

「はい」

 と小さく返事をした。

 漸は小春の頭をポンっと叩くと

「俺が見込んだから大丈夫だ」

 とかっこいい言葉を小春に投げ掛ける。

 (見込んだって……選んだのかこの人……人じゃないけど)

 入ってきたのは50代の黒いスーツを来た無精髭の人と、若く爽やかな二十代の男だ。

「宮倉小春さんでいいかな?」

 小春はコクりと頷いた。

「警察署から来た佐々木と宮崎です。」

 50代の人が佐々木で二十代の人が宮崎らしい。

 わざわざ、中学生相手に腰を下げ挨拶をした。小春も慌てて頭を下げた。

 用意されていた二つのパイプ椅子に腰を下げた二人。

「怪我は大丈夫かい? 一階で助かった人は三人しかいなかったから」

「だっ大丈夫です……」

「そうかい。早速だけどピンクの髪の女の子は知ってるかい?」

 (なっ! ばれてる! )

「ピンクの髪ですか? いえ分かりません」

 小春の声は動揺していない。その事に小春は安堵しつつ。

「あぁそうか。いやダメもとで聞いただけだですので」

 明らかに刑事たちは肩を落とした。

 小春は少しの釜をかけてみる。

「そのピンクの髪の人がどうしたんですか?」

「まぁ、これはマスコミには流していないのだが……実は五歳の男の子が証言してな。三人の不信死。警察としては薬か何かとは思うのだが、解剖してもそんな結果はでなくてな……外傷もない。三人一緒に死んでたから急死でもない。」

 (口止めしたんだけどな……)

 五歳児にそれを求めてもと思い直し

「その男の子は“ピンクの髪の刀を持ってたおねぇちゃん……きゅうせいしゅと約束したから言わないもん”と言っててな、五歳児の意見をうのみにはできないがそれしか手がかりがなくてな」

 (苦労してますねぇ……あの子はもろバレだけど約束守ってた)

「すまないね、こんな話して。不思議なことばかりでな」

 あまりにも切なそうに言ったので、若干引いた小春だが

「……お仕事頑張ってください」

 小春にしては気の聞いた言葉がかけられたので、心のなかでガッツポーズ。

「私達はこれで失礼するよ。気づいたことがあればいつでも連絡してください」

 と名刺を渡され携帯の番号が書いてあった。

 警察が病室から出ていくと小春はベッドに倒れる。

「疲れた…」

 すっかり見慣れた病室の天井を見ながら大きくため息をついた。

 目を閉じこれからどうするか考えるが思考が回らない。

「小春は策士なのでは」

 頭上から降ってきた漸の声。

「うーん、さっきのは自分でもビックリしましたよ。でも、それどころじゃ……」

 再びノックの音が聞こえた。慌てて起き上がり

「はい」

 入ってきたのは、焦げ茶色の髪イケメンーー小春の担任だった。

「櫻庭先生……」

「こんにちは、宮倉さんって誰か来てたのですか?」

「……警察の方が先程」

 櫻庭ははっとしたような顔をして

「宮倉さん大丈夫でしたか?」

 (何をどう大丈夫と言ってるんだろう……)

 小春はこの櫻庭が苦手である。

「……はい……っ」

 小春は肩をビクッとさせた。なぜかと言うと腰を屈め目線の高さを合わせ頭を撫でる。純粋な女子なら顔を赤面させるのだが、冷めている小春は顔をひきつらせる。

「何かあったら、いつでも相談してください」

 と満面の笑みで言われる。

 小春が苦手な理由は生徒との距離が近いのだ。櫻庭は20代後半で新米教師で生徒との距離が分からないのかと小春は自分を納得させた。

 言うまでもないが、女子生徒がこれでやられている。櫻庭が教えている社会のテストの平均点数が他の教科より格段にいい。恐るべき女子の力だ。

「もうすぐ退院するのですよね?」

「三日後には学校に登校します……」

「楽しみにしてます」

「……はぁ」

 (早く帰って欲しい)

 櫻庭はもう一度頭を撫で「では」と言って退出した。

 黙って見ていた漸が口を開く。

「あの櫻庭というやつ教師として色々ダメな気がするが……」

「ですよねぇ、教師にファンクラブ出来たらアウトですよね」

 あきれ果てた小春の言葉に驚く漸。

「学校……行きたくないなぁ」

 と病室に虚しく響いた。


いつもありがとうございます!


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