表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/83

IF ……もし

今まで一番長くなりました。

 中央ホールにて。


 (帰ってこない……警察との約束までの残り時間は約七分……)

 武司は桜色の女性用の腕時計をしていてそれをじっと見ていた。

 武司は二つの選択がある。仲間を探しに行って警察の約束の時間を過ぎて外部になにかを悟られるか、探しにいかず約束通り窓のところへ行き用意されていなかったら処刑をしなければならない。殺すのは問題ない。感情なく殺せる自信がある……が先ほどの警察と約束をしたのは健治……どちらにしてもそれらの選択は危うい。

 突入されるか……狙撃されるか……たぶん自分達が殺されるのは銃によってだろう。

 そんなことはこの計画したときには覚悟していた。しかし、やはり“生きたい”。三人で生き延びたい。

 (なら……)

 武司は決めた。仲間を探すことに。

「てめぇら、ぜってぇ動くんじゃないぞ」

 仲間と話していた緩い声ではなく、低くドスの聞いた声で。口調まで変えた。人に恐怖を与えるのは落差が重要であることを知っていた。

 人質は身をすくませた。

 武司は中央ホールをでて、やはり三人と同じく一階へ向かうことにした武司。速まる足を落ち着かせながら、廊下を歩く。

(なんだ……あれは………人の手……見覚えがあるが……何故だ)

 角からはみ出見える男の腕から手。

 そして、見たくなかった状況で見たかった者を見つけてしまった。

「聡志くん! 健治君!」

 二人は並ぶように廊下へ倒れていた。

 武司は携帯用ライトを取りだし目に当てた。

「瞳孔が……開ききっている……嘘でしょ?」

 武司は、少しの間医学部を選択しようと自分で独学していた。その夢は儚くして終わってしまったが。しかし、こんなところで使うとは夢にも思わなかったが……。

「その人たち間違いなく死んでますか?」

 不意に聞こえた声。武司はパッと振り向き驚く。ピンクの髪と髪と同じくピンクの瞳……そして刃渡り1㍍の刀に。

 武司は、冷静を装い

「まだ中学生よね? ダメじゃない、染めたり、カラコンしたり。」

 ピンクの髪の中学生は小春だ。小春は髪を手先で持ち上げ「本当だ……」と一言。

「気づいてなかったの!」

 思わず突っ込んだ武司。小春は「なんですか、この設定」「色変わるって……」と何やら、誰かに話しかけているかのような言葉を発する。

 小春は勿論漸に向かって話しかけているのだが、周りには独り言のようにしか聞こえない。なので、

(何やだ……この子……怖い。最近の中二病?)

 武司に別の恐怖を与えた小春は

「その人たちとお知り合い……お仲間ですか?」

「えぇ、そうよ。大事なね、家族より大事よ。っていうかあなた怖がってないのは何でかしら?」

「あぁ、その人たちとは私が殺っちゃいましたから」

 その言葉に理解が追いつかない武司。当然の反応だ。一見中学生にしか見えない少女が大の大人を殺したと言ったのだから。

「それって中二病が行き過ぎた発言かな?」

「二次元ソコソコ見ますけど、中二病発言じゃありませんよ」

「そう……なら」

 腕に持っていたマシンガンの銃口を小春に向けた。

(この子が殺したかは定かじゃない。到底そう思えない。しかし万に一の可能性があるかもしれないなら、消すまでよ)

 武司が、そんな心境のなか小春は

(銃口向けられるの三回目……一日で……濃いな一日)

 と思っていた。

 マシンガンの銃口から火が噴いた。しかしその弾は小春に届くことがなく……。小春はその弾の上を跳んだ。正確には離れ技で跳躍した。小春は空中で刀を振り落とし、一回転して武司の五メートルほど後ろで一回転して小春は着地した。

「ふう」

 そのあとに武司が放ったマシンガンの薬莢が床に落ちた音がカランと聞こえた。

「もう、居ないかな?」

 変わってしまった髪を耳にかけながら、仲良く並んだ犯行した三人の男たちを見た。

「こんなことまでしなかったら、良かったのに」

 そう、三人は固く結ばれていたように感じた小春。絆によって。信頼しきったような言葉を聞いた男たちの声を聞いて少しの羨ましかった。

 もし、どんな経緯で出会ったか小春には分からないが、ただ出逢いかたや、タイミングが違ったらこの人たちは最高の仲間になったにちがいないと感じた小春。

 一階で殺したが、せめてものの優しさで二階に運んだ……というのは建前で、仲間を探すための“餌さ”だ。運良く引っ掛かってくれたが

「大丈夫か?」

 頭のなかで響く、気にかけるような漸の声。

「大丈夫です」

「おねぇちゃんは誰?」

 小春は少しのぎょっとしつつ、声の方向を見ると可愛らしい声をした五歳ぐらいの男の子。

「えっと」

 誰っと言われても小春で間違いないのだが、身体能力が高まったことであの男たちともコミ力が低くても話すことができた。自身だろうか……?

「おねぇちゃん?」

 この純粋な目で言われると困る小春。二番目の男に話したように言うことに決め、「救世主なんです……?」

 実際違うのだ……騒がしい者を切りたかっただけだ。

「きゅうせいしゅ?」

「悪者を倒す……人みたいなものかな?」

「おねぇちゃんはイイ人?」

「えっあっうう……うん」

 実際、イイ人ではないのは確かだが、流れに身を任せた。

「えっと、この事はナイショにしてくれるかな?おねぇちゃんと会ったこと」

 男の子はどうして?と伝えるように首をかしげているが

「救世主はあんまり目だったら、いけないの……?」

 小春は状況自分でもなに言ってるだと思って、流石に苦し紛れの言い訳だ。しかし、ことはうまくいった。

「わかったよ! おねぇちゃんのことナイショ!」

「あっありがとう」

 こんな小さな男の子に嘘をつくのは心がいたんだ。

「じゃ、バイバイ」

 さっさとずらかる……逃げたい。防犯カメラは、ここに来るまですべてぶっ壊した……はず。目撃されたくない。

「ばいばーい」

 (あの……純粋な目が痛い)

 大きく手を降振る男の子に背を向け一番最初に自分が倒れた一階に戻った。


「いいか、力解いたらさっきの状態に戻るからな」

「はい」

 すると、フッと力が抜け倒れる。それと同時に体と精神が疲れすぎたのか意識がすぐに薄れた。

「ゆっくり休め」

 サムライの姿に戻った漸がそう言った。その声に安心しながら抵抗できない睡魔に身を委ねた。


「突入!」

 特殊部隊が博物館に突入した頃、すぐさま廊下で死んでいる三人が発見された。特殊部隊は一斉に首をかしげ、人質に聞いたが分からないとのこと。

 人質が博物館から出てきた瞬間、沢山のフラッシュが。しかしそんなものには目もくれず人質は待っていた家族と抱き合って無事を確認を涙ながらしていた。

 

 マスコミにて。

「たった今、人質が開放された模様。銃声が聞こえませんでしたが、一体どうなっているのでしょう‼」

 それは一番特殊部隊が聞きたい。


 武司 死亡

 

 そのうち、三人の死亡がしっかりと確認された。


まだ、続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ