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プロローグ
「今さら………、どうして?」
先触れなしに寝室に来たのは、夫のキリアン。
この訪問が、1か月前だったらどれほど心を踊らしたことだろう。
―――今感じるのは、戸惑いだけ。
「………テレーゼ様を愛してらっしゃるのでしょう?」
平静を装おうとしたのに、声が震えてしまう。
彼は、穏やかに微笑んだ。
「彼女のことは確かに愛している。でも――君のことも、もちろん愛している」
彼はゆっくり手を伸ばしてきた。
彼の指先が顎を捉え、瞼を閉じた彼の顔がゆっくりと近づいてくる。
(…………っ!………止めて!)
唇が重なり合いそうになった瞬間、思わず顔を強く背けてしまった。
(……私、今、なんてことを)
恐る恐る視線を戻すと、彼の水色の瞳が大きく見開かれていた。
「……なぜ避けた?君は王妃。私のものだ」
彼の瞳に、強い怒りの色が浮かんでいた。
「もしかして……」
彼の親指が、ゆっくりと唇をなぞっていく。
強い瞳に、目が逸らせない。
「他に好きな男がいるのか?」
地の底から響くような、冷たく重い声音。
「……例えば――セルディアとか?」
一瞬、息が止まった。
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