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気づけば全部のフラグをへし折っていた転生悪役令嬢ですが何か?  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第三章 ラクロワ領ガルム編

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37、え、変な光が浮かび上がって……?

 最奥にたどり着くと、地面には魔法陣のようなものが描かれていた。

 何で描かれたのはか分からないが、魔法陣はぼんやりと白く発光しているように見える。じっとそれを私が見つめていると、いつの間にかエクスも隣に来ており、魔法陣を観察していた。


「この魔法陣は発動していなさそうだが……マリはどう思う?」

「私もそう思う」

「だよな。なんで発動していない魔法陣を描いたんだ?」


 不思議な現象にエクスは首を傾げるが……私はエクスの考えとは、ちょっと違った。


「これ、発動し終えた魔法陣なのかもしれない。なんとなく……魔力の残滓? が残っている気がする」


 以前魔法陣を発動した時に、魔力を込める前と後では魔力の残り方が異なることに気がついた。魔力を込める前に魔法陣を描くと、魔法陣を描く時にも魔力を使用するためか、全ての場所に一定量の魔力が残っている。

 一方で、魔法陣の発動後は魔法陣に残っている魔力量がバラバラなのだ。


 そうエクスに説明すると、彼は目を細めてしばらく魔法陣と睨めっこをしていた。しばらくすると、目が疲れてしまったらしく……こめかみを親指と人差し指で揉み始める。


「俺には見えないが……マリが言うのならそうなんだろう。ちなみにこの魔法陣はどのような効果が発動するのか、マリは分かるか?」

「うーん、ごめん。そこまでは分からないかな……」


 ジャックさんから貰った魔法書も読み込んだけれど、こんなに複雑で繊細な魔法陣は初めて見た。エクスも私と同じらしく、頭に手を置いてため息をついた。


「魔法陣が読み解ければ、ここで何が起きているのか分かるんだが……」


 ぽつりと呟くエクスの言葉に私も同意する。

 詠唱やイメージだけでは発動が困難である……特に高度な魔法の場合、魔法陣を利用する。以前スタージアの魂と会話をするために魔法陣を利用したが、あれは『魂と話す魔法』自体が高度なものだったからだ。

 魔法陣というのは世の中に同じものはなく、全てが異なる模様で構成されているため、魔法陣が分かればどのような魔法なのかを判断できるのだ。


 しかし、この魔法陣は見たことのないものだ。書き写して調べるべきだろう、と私は紙を取り出そうとして……目の前に見覚えのある本が現れた。


「初代賢者様が作成された魔法書?」


 本が自動的に開いていく。これはあの時と同じ状況だと理解した。だから私は本の前で両手を握り、祈りを捧げるように言葉を紡ぐ。


「ここに描かれている魔法陣で発動する魔法を教えてください」


 すると、本が自動的に捲られていき……以前と同じようにある一定の場所まで開くと、動きを止めた。そこには字と地面に描かれている魔法陣が浮かび上がってくる。


「こんなこともできるのか……」


 隣で静かに様子を見ていたエクスは、息を呑む。そして私たちは現れた文字を読んでいった。


「封印解除の魔法……?」


 どちらが呟いたのか、もしかしたら二人で呟いたのかもしれない。私たちは無言で顔を合わせる。

 

「この赤い球に何かが封印されている、ということか?」

「うん、そういうことになるね」


 魔法陣の中心には、台座のようなものが土で作られている。何かに似ているな……と考えて、思いつく。チェスの駒であるルーク(城)の形にそっくりだ。

 ちなみに赤い球がルークの頭の部分に嵌っている。


 私は封印という言葉を聞いて、エクスに訊ねた。


「私の世界で作られた物語だと、例えば邪神とか悪魔とか……世界に禍をもたらす者が封印されていたりするのだけど、エクスの世界にそういうのいる?」

「物語で出てくることはあるが……実物は見たことがない」

「そうなんだ」

 

 この世界は光莉が遊んでいた乙女ゲームと似ているためか、やはり邪神や悪魔という言葉はここにもあるようだ。

 私は赤い球をじっと見つめる。その球はまるで血の色のように鮮やかで紅い……私は何故かその時……無意識に赤い球へと手を伸ばしていた。

 エクスが何かを言っているが、その声が聞こえない。私の周囲にまるで防音魔法を張られているようだ。

 

 そして、私の手はまるで誰かに動かされているような感覚だった。自由に動かすことができず、そのまま球に向けて手が伸びていく。一方でエクスが私を止めようと、手を掴もうとするが――。


「なっ?!」


 先ほどまで聞こえなかったエクスの声が耳に入ってくる。それと同時に、手に感覚が戻ってきた。指先が何かひんやりとした物に触れている。そう、赤い球だ。

 慌てて手を離そうとするも、何かに操られたように手を引くことができない。

 狼狽しながらエクスに助けを求めると、彼も私の異常に気がついてくれたようだ。私の左腕に触れて、赤い球から手を離そうと力を入れる。


 ――けれどもびくともしなかった。


 その間に赤い球から、鮮やかな赤い光が浮き上がってくる。そしてその光は球に触れている私の手にどんどん巻きついていく。手を伝った光は、私の身体の周囲を包むと、輝きながら消えていき……光がなくなると、私の身体も自然に動くようになった。

 

「なんだったのかしら……」


 私は左の手のひらを上下に動かしたり、握ったり開いたりを繰り返す。先ほどは操り人形のように動かなかった手が、今では問題なく自由に操ることができる。


「今は大丈夫か?」

「うん、自分の思い通りに動かせる」


 指を順々に動かしていけば、エクスも私が自在に動けるように戻ったと理解したようだ。

 

「それなら良かったが……あれはなんだったんだ?」

「私も分からないわ」


 二人で改めて赤い球を見る。すると先ほどとは違い、球は光を失っていた。

 エクスと私は目を丸くする。

 

「身体に異常は?」

「ないかな」

「……なんだったんだ?」

 

 私の答えにエクスも困惑しているようだ。

 あの不思議な現象に二人で首を傾げていると、入り口から誰かの話し声が聞こえてきたではないか。


 私たちは顔を見交わしてから、洞窟の隅にある岩陰に隠れた。

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