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キャロライン・モス 編

『私たちは何を知らされていたのか?』

「神堂先生の遺稿……」

キャロライン・モスは、差し出されたタブレットの画面に表示されたタイトルに、指先が微かに震えるのを感じた。SNSで常に承認を求めていた彼女にとって、神堂先生は、唯一、虚飾を剥ぎ取ってくれた存在だった。その厳しさは、時として彼女を追い詰めることもあったが、彼の言葉だけが、彼女に真のリアリティを与えてくれた。ジャニス・ハレットのように、断片的な情報から真実を紡ぎ出す。先生は、私に何を解き明かせと?

画面には、見慣れたSNSのUI、チャットアプリの会話履歴、そしてメールの受信ボックスが表示されていた。インクの匂いの代わりに、電波に乗って情報が飛び交う、現代社会の匂いがする。まるで、その一つ一つのメッセージが、私の鼓動とシンクロしているかのように。


[20XX年10月1日 23:15] 社内SNSグループ:企画部チーム「Re:新プロジェクト会議資料」

部長タカハシ: 皆さん、今日の会議お疲れ様でした。特に、ミサトさん、資料作成本当にありがとう。素晴らしい出来栄えでした。新プロジェクト、期待してます!

ヒロシ(企画部): 部長、お疲れ様です!ミサトさん、ホントお疲れ!完璧な資料でした!これでプロジェクトも成功間違いなし!

ミキ(企画部): ミサト、ありがとう!いつも助かってるよー!お疲れ様!

キャロライン(企画部): @ミサト、お疲れ様!今日の発表も最高だったよ!

ミサト(企画部): @部長 @ヒロシ @ミキ @キャロライン 皆さん、ありがとうございます!頑張ります!


[20XX年10月2日 08:30] LINE個人チャット:ミサト <=> キャロライン

ミサト: キャロ、おはよう!昨日はありがとうね。 キャロライン: おはよー!全然!むしろミサトのが頑張ってるじゃん! ミサト: いやいや、キャロがいてくれるから、いつも心強いよ! ミサト: 今朝、部長から個別で連絡あったんだけど… キャロライン: えっ、何?なんかあった? ミサト: いや、なんか…ちょっと変な感じ?気のせいかな。また後で連絡するね! キャロライン: はーい!何かあったらすぐ言ってよ!


[20XX年10月2日 12:00] 社内SNSグループ:企画部チーム「重要:ミサトさんの訃報」

部長タカハシ: 大変残念なお知らせです。企画部のミサトさんが、本日未明、自宅で急逝されました。心よりご冥福をお祈りいたします。

ヒロシ(企画部): え、嘘だろ…ミサトさんが…?信じられない… ミキ(企画部): そんな…昨日まで元気だったのに…涙が止まらない… キャロライン(企画部): …嘘…だよね…?


[20XX年10月2日 14:00] LINE個人チャット:キャロライン <=> ヒロシ

キャロライン: ねぇ、ヒロシ。ミサトのこと、信じられない… ヒロシ: 俺もだよ、キャロライン。まさか、あんなに元気だったのに… キャロライン: 今朝、ミサトとLINEしてたんだ。部長から変な連絡があったって… ヒロシ: え?そうなの?部長って、何て言ってたんだ? キャロライン: わかんない…でも、ミサト、何か悩んでたのかな…


[20XX年10月2日 16:30] メール受信ボックス:部長タカハシ=> キャロライン

件名: ミサトさんの件について

キャロラインさん

ミサトさんの件、本当に残念です。彼女は素晴らしい人材でした。 つきましては、彼女が担当していた新プロジェクトの件、引き継ぎをお願いしたいのですが。 早急に資料の確認をお願いします。 なお、ミサトさん個人のチャットやメールは、情報漏洩防止のため、すべて削除しておきました。 ご理解いただけますようお願いいたします。

高橋


[20XX年10月2日 17:00] LINE個人チャット:キャロライン <=> ミキ

キャロライン: ミキ、部長からのメール見た?ミサトのチャットとか全部消したって… ミキ: え、マジで?なんでそんなことするの?普通、遺族とかに確認するでしょ… キャロライン: でしょ?なんか、おかしくない? ミキ: うーん…でも、部長だし…言えないよ。


[20XX年10月3日 09:00] 社内SNSグループ:企画部チーム「Re:重要:ミサトさんの訃報」

部長タカハシ: ミサトさんの後任はキャロラインさんに決定しました。皆さん、サポートをお願いします。

ヒロシ(企画部): 部長、承知しました!キャロラインさん、頑張ってください! ミキ(企画部): キャロライン、大変だと思うけど頑張ってね…!


[20XX年10月3日 11:00] LINE個人チャット:キャロライン <=> ヒロシ

キャロライン: ヒロシ、あのさ…ミサトが死んだ日の夜、部長と会ってたって噂、本当? ヒロシ: …どこでそんな話が? キャロライン: 聞いたの。ねぇ、何か知ってるなら教えて!ミサトのことだよ? ヒロシ: …いや、俺は何も知らないよ。変な噂に惑わされない方がいいって。


[20XX年10月4日 10:00] メール受信ボックス:差出人不明 => キャロライン

件名: 真実を知る権利

ミサトさんの死は事故ではありません。 彼女は、新プロジェクトの裏で進行していた不正に気づいていました。 その証拠を、部長が高橋に渡そうとしていました。 すべては、高橋によって仕組まれた情報操作です。 証拠は、ミサトさんのPCのデスクトップにある「裏」フォルダに隠されています。 早めに確認してください。


[20XX年10月4日 10:05] LINE個人チャット:キャロライン <=> ミキ

キャロライン: ミキ、今、変なメールが来た…ミサトの死は事故じゃないって… ミキ: ええっ!?なにそれ、怖… キャロライン: ミサトのPCの「裏」フォルダに証拠があるって書いてあったんだけど…どうしよう。 ミキ: 私には関係ないことだから…関わらない方がいいよ、キャロライン。


[20XX年10月4日 10:30] LINE個人チャット:キャロライン <=> 神堂亘(未送信)

キャロライン: 先生、助けてください。ミサトのことが…このメール、どうしたらいいのかわかりません。私は何を信じればいいのか…何をすべきなのか…先生…


これは、断片的な会話記録が示す、真実への道筋だ。誰が嘘をついているのか、情報操作の裏に隠された真犯人は誰なのか。すべての証拠は、今、読者の手にある。この未送信のメッセージが、神堂先生の失踪と、一体どう関係しているというのだろう。私に送られるはずだった、もう一つの「真実」のメッセージは、どこへ消えたのか。


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