少女との出会い3
とても面倒なことになった。あの呪いは残っているし、呪いを二人にみられるし。絶対に呪いについて聞かれるだろうな。黙秘でいいだろうか。もうこれ以上余計な問題を起こしたくない。
「キョウ君、あの禍々しいのって何だい?」
「…………」
「ねえ、聞いてるの?」
「…………」
「うーむ、儂は何故寝ているんじゃ?」
「もうこの話は終わりです。こちらのほうが先でしょう。」
「でも……」
いいタイミングで起きてくれた。あとはこの少女にこの状況を説明すればいいだろう。
「ここは、迷宮です。あなたは外で倒れていたので助けさせていただきました。少し鑑定させてもらいますね。」
「――ひゃあっ!?さっきのお面!殺さないでほしいのじゃあ。襲い掛かって悪かったのじゃ。なんでもするから許してほしいのじゃあ。」
「少女よ、そんなことを言うと地獄を見ると思うよ。」
その一言でイヨさんは少し震えながらこちらを見てきた。僕はそんなに簡単に人を殺すような人間ではないのに…何か勘違いされている気がする。全く心当たりがない。
個体名 イヨ=クロサメ
種族 八尋和邇
状態 衰弱
レベル 378
HP 8460/953
MP 8000/400
筋力 700
防御 2800
知力 7075
敏捷 5000
幸運 1079
魔法防御 1400
特質技能
水流操作Lv4 水棲生物操作Lv4 水中呼吸
通常技能
魔力操作LvMax 水中格闘術LvMax 水中移動LvMax 隠密Lv8 詠唱破棄Lv7 解体Lv7 交渉術Lv7 威圧Lv6 休憩効率強化Lv6 体力強化Lv5 歩行速度上昇Lv5 全耐性Lv5 魔法攻撃無効Lv5 採取採掘Lv5 魔力感知Lv5 格闘術Lv4 剣術Lv3 料理Lv2 気配察知
称号
唯一の生き残り 海神の宮の使い 追われる者 水の友 魔力を操りし者
子供とは思えない強さだな。状態の衰弱とはすべてのステータスが三分の一になるらしい。
ちなみに八尋和邇とは広き海を巡る、海と地を繋ぐ海神の宮の遣いらしい。実際は個々の部族で集落を作っているそうだ。
なんでもするらしいから後で助手にでもなってもらおうか。
「なんでもするとおっしゃいましたね?」
そういうとイヨさんの顔はだんだんと青くなっていく。体調でも悪いのだろうか。まあこれから薬の治験とかするし悪くはなるかもしれんが。死にゃあしないだろうし、大丈夫だろう。死にそうなのつくれたら敵対魔獣に飲ませればいいはず。
「イヨよ、やはり僕の言った通りだろう。」
「そちよ、そうならそんなことを言ってないでなんか言ってやってほしいのじゃが!?」
「?では研究に戻りますね、次はご飯を食べたくなったらお呼びください。」
次は衰弱とやらを治す薬を作ってみるか。材料はRMで買えばいいだろう。新しい助手兼観察対象ができてうれしい限りだ。
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「おーい、こっちに来てほしいのじゃ。」
「承知致しました。今行きますね。」
呼ばれたので、リビングに行ってみるとすごいことになっていた。そこらへんにビニールの個包装が散らかり、RMで出したダイニングテーブルの上まで浸食している。ついでに、いろいろな飲み物も置いてあった。片付けるのは三人だし、出したもの分のRMは自分たちで払ってもらうが大丈夫なのだろうか?
ひとまず夕食はまだ作らなくてもいいようなので研究に戻ろう。
「キョウもこっちに来なさいよ。」
「キョウもお菓子一緒に食べるのじゃ」
「研究に戻りますね。」
「話聞いてたかい?」
「それでは。」
「美女三人が一緒に食べようといっておるのじゃぞ?」
「三人とも離してください。酔っぱらっている人たちと食べる時間があるならイヨさんの衰弱を治す薬を作らせてください。」
「飲もうよー」
「皆さん、お酒の飲みすぎは体に毒です。皆さんが病気になっても僕は看病しませんよ。」
「またまたー、そんなこと言ってもデア様には効かないぞー。」
当然のことを言ったまでなのに何故か顔が青くなったイヨさんとリインさんは手を離したが、デアさんが手を離さない。
そうだ、言霊の呪いを使おう。本当に便利なスキルだなこのスキルは。
「『離してください』」
「効かないのさ!一度くらったから耐性がついたのだよ。さあ、諦めて一緒に飲もう。」
「僕は未成年です。よってアルコール類は飲めませんし、興味もありません。」
「先輩、もう諦めたほうがいいと思うわよ?」
「儂も同じ意見じゃ。」
デアさんがやっと黙る。そしたら三人が何か話し合ってからイヨさんが言った。
「…なら夕食を作ってくれんかの?」
「了解しました。」
この日も女神二人はおかわりをし、イヨさんはおかわりはしなかったが美味しそうに食べていた。