6話 十三帝国神将とリンク
すこーしだけ話は進みます。
日向ぼっこを楽しんでいると、気付けばサンサロッサと会う約束の時間に迫っていた。
結局、セレスは昼寝を始めてから一度も起きることはなかった。
「セレス、約束の時間だぞ。そろそろ起きたほうがいいぞ」
少しだけセレスの肩を揺らしながら起きるのを促した。
んー…と寝ぼけている声をだしながら、セレスはゆっくりと目を開けた。
「…太ももが硬くてあまり気持ちよく眠れなかった。40点ね。」
「なんで俺が文句を言われないといけないの?( ˘•ω•˘ )」
「まあでも…よいしょっと」腹筋をする要領で体を前後に動かし、その反動を使って勢いよく立ち上がった。
『寝起きに素敵なものが見られるっていう所では100点ね。今度もしよーと♪』
パパっとシートを含めたものを収納して、「ほら!いくよー!」と目的の場所へ向かうのであった。
「やあやあお二人、お疲れサン」「セレス、ロップ君プラチナランク昇格おめでとう」
サンサロッサがいた場所はセレスの父アンドロスの執務室であったため、必然的にアンドロスとも出会うことになった。
「しかし、Bランクの魔物を2人で討伐するなんて…実力だけでいえばダイヤモンドランクと言っても遜色ないね
我が娘ながら驚かされるよ」
「ま、クエストではBランクの魔物とは初めて戦っただろうけど、普段の修行とかで2人には同等の魔物と戦わせているからサ
トガリワイルドボアくらいならどうってことないサ」
2人はロップとセレスを労った。
「そんで、わざわざここまで来させて報告で終わりってわけじゃないんだろう?
何か他に話すことがあるんじゃないの?」
ロップは話を本題に移るように促しながら、応接ソファーへ座り、セレスも続くようにロップの隣に座った。
「確かにその通りサ!」とサンサロッサはロップとセレスの反対側にあるソファーへ目を向けた。
「…??」2人はサンサロッサにつられて目の前にあるソファーを見るようにした。
特に何かがあるわけではない、いつもと変わらないソファーと空間。
しかし、気付いたら紅茶を飲んでいる細身で美形の男がいた。
音もなく、前触れもなく
あまりにも不可思議な出来事に「え!?いつの間に!?」と驚くセレス
そんなセレスとは反対に「…」ロップは静かに男を観察していた。
飲んでいるカップをテーブルに置くと、ニコッと子供から大人まで好かれるような優しい笑みを浮かべた。
「初めまして、セレス様にロップ君。
私の名前はトードリオ・リンクです。どうぞよろしくお願いします」と2人へ名乗った。
リンクの名前を聞き驚くセレス。
「トードリオ・リンクってローゼンガルト帝国で最高実力者の集まりとされている十三帝国神将に史上最年少で加わった人じゃない!?
本物なの!?ていうか本物だとしてどうしてこの国にいるの??」
状況がわからないと混乱しているセレスに対して、アンドロスが話を切り出した。
「実は今日2人にここへ来てもらったのは、その帝国に関することを知ってもらいたくてね」
アイコンタクトを受け取ったリンクはロップとセレスへ話し出した。
「端的に申しますと、帝国は近々アルカディア皇国へ、さらに言いますとランブール公爵領への侵略戦争が行われるかもしれません。」
「!!??」リンクの発言を聞いて驚く2人
「…と言っても、元帝国の人間がという主語になりますし、帝国自体に戦争の意思はさらさらございません」といたずらが成功した子供のような笑みを浮かべる
どういう事?と話の意図がつかめない2人。
「お二人は、3年前帝王が代替わりしたのはご存じですか?」
「もちろん知っています。
詳しくは知らないけど、革命により先代帝王の息子の現帝王が、座を奪ったなんていう噂を耳にしたことがある。」答えるロップ
「ええ、大々的に行われたものではないのですが、結果的にみればそういう認識で間違いではありません。
そして、ここからが本題になってくるのですが…
先代帝王は野心を持たれている方でした。
端的に言ってしまえば、この世界を我が物にしたいっていうよくありがちなものですね。」
リンクは多少の皮肉を交えながら話した。
「今の帝国も軸は変わりませんが、実力成果主義的な思想は他の国よりも強いです。
しかし、先代帝王の時代はその思想があまりにも強すぎた。
目的のためなら非道な手段も厭わず、沢山の人が犠牲になりました。」
「・・・」リンクの話しを真剣に聞いている2人
「ま、そんな現状に異議を唱えて、現帝王は革命を果たしたというわけです。
陛下は非人道的なプロジェクトを帝国から排斥するべく動かれたおかげで、
3年前と比べてかなりマシな国になったのでないかなと思われます」
何か思う所があるのか、少しばかりに怒りを滲ませているようにも思えた
「そんな背景があったのですね。そして、今回の侵略戦争とどう関係があるのでしょうか?
なんとなく話の筋道が読めてきましたけど…」セレスはリンクへ問いかけた。
「えぇ、そんな先代帝王の思想に妄信している人間というのは一定数存在しました。
そして、それは十三帝国神将の対しても例外ではありませんでした。」
推測が外れであってほしいと願うセレスだったが、自分が思い至った通りに話は続けられていく
「十三帝国神将の内の2人、アリスター・ドレイクとフラム・ミストは先代帝王の願い、世界征服を実現させるべく一番暗躍しておりました。
おそらく、代替わりした後でも、2人の心の中では先代帝王を真の主として思い続けていたのでしょう」
そして…と溜めた後
「1年前、2人は姿を晦ませました。事実上、帝国を脱国したということになります。」と一度話をまとめた。
どうやら話はもう少し続きそうだ。
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