48話 【獣と心を通わすも者】のヴェルディ
キザイケメン野郎ことゴーンに対して拒否反応を示したのは、どうやらおれだけじゃなかったようだ。
まわりをみると体をブルっと震わせている人もいた。
イケメンなのに、嫌悪感を与えるなんてなかなかの才能だ( ˘•ω•˘ )
「全員の名前や好きなものとか聞いていきたいけれども、おそらく自己紹介の時間はとらえるだろうからね。その時までのお楽しみとしておくよ☆」
どうやらゴーンは☆を付けないとしゃべることができないらしい。
というか先ほどからゴーンはこちらばかりを見ながら話している。
ただしくは、こちらというよりもセレスの方へ視線を向けながら話している感じだが。
「?」まあ、セレス本人はゴーンが自分のことを見ているという自覚はないようだが。
しばらくゴーンの演説まがいな話を聞いていると、教壇側の扉が開いた。
「ういーすっ、おまえら元気か~?」
教室に入ってきたのは、無精髭を生やした外見がだらしない男性だった。
おそらくこの人が担任なのだろう。だらしなさはあるが普通の男性って感じだ。
しかし、男性の周囲がおかしい。
まず、彼はオオカミの背で寝そべっているので、実際にはオオカミに運ばれているという表現が正しい。
おそらくは、そのオオカミはテイムモンスターだろうと推測することができるが、かつて闘ったレイドドラゴン以上の存在感を放っている。
そして、オオカミだけではなく仔犬サイズの獅子が男性の顔の上でお座りをしていたり、角を生やしたウマが寝そべっている男性の上で寝転がったりと視覚による情報があまりにも多い。
「ちょっとロップ!あの子達とても可愛いよ!」セレスを中心とした女子生徒たちのテンションはかなり上がっていた。
可愛い生き物は癒されるから、気持ちはよくわかるけどな。
「全員そろっているな~、えらいぞ~おまえら~」
教師と思われる男性は、教壇の近くについても変わらずオオカミの上から降りようとせず寝転がっている。
「おまえらはじめまして~、おれがSクラスの担任をすることになったハリソン・ヴェルディだ~、よろしくな~」
「ハリソン・ヴェルディが先生だって!」
「驚きだね!」
「これはこれは!驚きましたね!」
「ジャック様の担任になるのだから、そのくらいの実力者でないと務まらないでやんす!」
「・・・・・・」
「ハハッ!ヴェルディ久しぶりだね!」
「ブヒィィ!」
ハリソン・ヴェルディという名前を聞き、クラス中が騒騒しくなった。
1つだけおかしな声が聞こえてきたが…
【獣と心を通わすも者】のヴェルディ
冒険者ではないが、総合戦闘力の高さからオリハルコンランクを授与されたという異例の経歴をもつ人物だ。
ヴェルディの才能は、1年前ランブール領を襲撃したドラゴンをテイムしたアリスター・ドレークの【蜥と心を通わすも者】と同系統のものだ。
効果は四足歩行の魔物との関係性が深めやすくなると公表されている。
テイム数こそアリスター・ドレークに及ばないが、彼の特筆するべき所は質にある。
噂によると、テイムしている魔物全てが危険度S以上だと言われていたのだが、いま連れてきた魔物3体とも、レイドドラゴンを凌駕する強さを持っているのは直感でわかる。
正直、3匹のうち1体とだけでも戦うとなっても、勝てるイメージがつかない。
「お~、教室の反応を見るにおれのことは知っているみたいだから詳しい話はしなくてもよさそうだな~」
相も変わらず、ヴェルディ先生は寝そべりながらオオカミの毛を堪能していた。
「あの方が先生と同じオリハルコンランク…、やっぱり師匠に限らず規格外な人しかいないのね」
セレスは真剣な表情でヴェルディ先生を見ていた。
「このオオカミはフェンリルのフェンちゃん、ちっこい獅子は狛犬のコマちゃん、角がはえているのはユニコーンのコンくんだから可愛がってくれな~」
ネーミングセンスの無さにひいたが、今言っていた種族の名前は、3体とも伝説として語られる魔物だった。
「最初に伝えないといけないことがあるんだが面倒くさいし~。拳を交えることにより芽生える友情もしるし~。よ~し、まず最初にお前ら同士で戦ってもらおうかな~」
おれたちの担任は、教室にはいってきて早々予想だにしないことを言ってきた。




