閑話 ちゃんこ鍋
もうすぐで50話に到達!とりあえず100話まで走り抜けたい。
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ロップ達の入学オリエンテーションがあった同日の夕方ごろ、ランブール領にあるギルドではクエストを終えた冒険者で溢れていた。
大衆居酒屋のような酒場が併設されているので、クエスト完了報告を終えた脚でそのまま酒場で祝杯をあげるパーティーが多くいる。
クエストを無事終えて、和気あいあいと飲んで食べて喋る人たちで溢れているのは、まさにギルドに併設されている酒場ならではの光景だ。
そんな酒場のキッチンで、スタッフのコックに混ざり料理を作っている恰幅のいい男がいた。
「へい、ギルド特製ちゃんこのおまちでごわす!」男の正体は、プラチナランク冒険者で心霊武具である<宿禰の廻し>のみを装着して魔物を討伐することで知られているマグナだ。
ちなみに今はちゃんと服を着ている。
「マグナさ~ん!こっちにも特製ちゃんこ鍋をお願いします!」
「こっちは酒が進むよう辛めで頼む!」
「マグナさん!ちゃんこ鍋追加で5個お願いします!」
マグナは酒場の新メニューとして、得意料理であるちゃんこ鍋を作って商品として出していた。
冒険者を始める前はちゃんこ鍋屋を営んでいたため、料理はプロレベルに相当する。
「ごわすごわす~♪」料理を作ってみんなの喜んでいる顔を見ることが好きなマグナは、上機嫌で酒場の営業を手伝っていた。
仲間である3人の女性魔法使いは、マグナの姿を遠目で見守りつつお酒をのんでいた。
「たっくマグナのブタが、いつも私達をほったらかしにして…」いつもマグナに強く当たっている褐色肌が特徴のフラムが不服そうに呟きながら酒を飲みほした。
「あらあらフラムったら、今日は早めの甘えん坊モード発動ね♪マグナさんが皆に取られてしまって寂しいのね」フラムを見てシュテルンはニコニコした表情で揶揄った。ちなみに何がとは言わないが彼女にはメロンを超えたスイカが2つ備わっている。何がとは言わないが…
「ばっ!?そんなんじゃねぇよ…」シュテルンの指摘に強くは反論できなかったフラムはごまかすよう追加の酒を呷った。
「仕方がない、私たちもマグナの料理している姿が好きだから、みんなもマグナに夢中になることは決まっている」無表情なエルフ、ヴィントはたしなめるようフラムに言った。
「そうよ、もう少しここからマグナさんの姿を楽しんでおきましょ♪」
3人が雑談をしていると、酒場の入り口から「ここにいたのかマグナ!!」と耳を塞がずにはいられないほどの声が酒場内を響かせた。
声をだした主は、午前中リューミア魔法学院にいたはずのストロフがいた。
「おいあれって…」
「あの特攻服とリーゼントって【空の番長】じゃねぇか」
「まだ学院の生徒らしいのに、おれ以上に風格があるんだが」
冒険者一同は、ストロフをみてこそこそ話を始めた。
「げっ!?ガキのストロフ!!」フラムがストロフの姿をみて思わず声を荒げた。
「あぁん? フラムじゃねぇかよ、相変わらずマグナと2人きりの時はデレデレしてんのか?」開口一番フラムを揶揄ったストロフ。
「死ね!ていうかなんでお前がここにいんだよ!」
「そんなの、ちゃんこを食べにきたに決まってるだろ」ストロフはそのまま料理場に近づき、マグナへ声をかけた。
「おいマグナ!おれにもちゃんこを一杯くれ!」呼ばれたマグナは振り返りストロフの存在に気付いた。
「おや?ストロフ殿でござらんか。」そう言いながらマグナは鍋からちゃんこを掬い、おおきなスープ用のさらに盛り付けつけてストロフへ手渡した。
ありがとよ、と言いながらちゃんこの代金を近くにいたウエイトレスに渡した後、ちゃんこにがっついた。
「おれの学院へ留学にきたバルオ・ロップとランブール・セレスがここにいることを教えてくれたんだ。それでいてもたってもいられず遠路はるばる飛んできたってことよ」
ストロフは口いっぱいに食べ物を含めながら、経緯を説明した。
「ほう!ロップ殿でごわすか!? ロップ殿と某はズッ友というやつでごわすよ」
「ズッ友とかその年でいうなよ… 聞いたぜ、先の戦争で危険度Sのドラゴンを単体で倒したらしいじゃねぇか。しかも瞬殺だったんだろ?相変わらずやることがすげぇな。」
「あぁ、そうらしいでごわすね。実は某、どのドラゴンが危険度Sなのかわからずに倒してしまったのでごわす。」
マグナは特に強さとかにこだわりがないため、討伐した魔物にかんしてもあまり興味がない。
「それもマグナらしいっちゃらしいな。それで留学に来た2人って結構やんのか?」ストロフがロップとセレスに関することを聞き始めた。
「つえぇよ」「あぁん?」返答した声の方へ振り向くとフラムがいた。フラムはちゃんこのお替りをするためにここへ来たらしい。
「特にロップ、あいつの才能は異能すぎる。使いこなすことができれば、間違いなくオリハルコンランクになれる。」
「はん、そんなに言うのなら楽しみだな」ストロフは食べきったちゃんこをもう一杯たべるために、マグナへお替りを要求した。
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