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43話 マデリンとエヴァリン

 魔法の実技テストを最低点で終えたおれだが、救済措置として受けることができた特別試験を突破したことにより、だれよりも早くSクラスが確定した。


 もしかすると入学を拒否されるかもしれないと考えていたおれだが杞憂に終わった。


 残るはセレスの結果待ちという事になったわけだが、模擬試合の試験も全勝したわけだしSクラス確定なのは間違いないだろう。


 結果がわかる明日まで特に気負わなくいいわけだ。ということでおれとセレスはリューミアの町をのんびりと観光していた。


「さすがテーゼ魔導国王都リューミア!すごい活気だね!」

「あぁ、人の多さもランブール領の町以上だから人酔いしそうだ」

「こんな素敵な街を楽しめるなんて、留学してよかったよ!」


 おれも内心留学を楽しんでいたが、セレスはそれ以上に楽しんでいる様子だった。

 しばらく歩いていると、露店が立ち並ぶ道にでた。

 食欲がそそられる食べ物の香りが漂っている。


「やっぱこういう所が一番テンションあがるわ」

「そうね、ねぇ、お昼はここに並んでいるお店から適当に買って食べちゃいましょう」

「そうだな、とりあえずうまそうな食べ物を買っていこうか」


 おれとセレスは興味をひかれた食べ物を手に入れていき、近くのベンチに座って食事を始めた。

 街のにぎやかな雰囲気も相まって、より一層食べ物がおいしく感じられた。


 そうやって2人で食事を楽しんでいるといきなり2人組の女子が声をかけてきた。

「ねぇねぇ、あなた達って」「魔法学院の試験を受けていたよね?」


 声をかけた2人組の容姿はかなり似ており、違う所といえば髪を右にながして左目をだしているのか、左にながして右目を出しているのかいった些細な違いである。


「えぇ、そうよ。もしかしてあなた達も入学試験を受けていたの?」

 2人組の質問に、セレスが答えた。


「ええそうよ、ちなみに私たちは留学者だよ」「だから入学は決定しているんだ」


 どうやらこの2人組も他国から留学してきたらしい。


「奇遇ね、私たちもアルカディア皇国から留学してきたんだ」

「ということはあなたがセレスさんね」「みんなが綺麗だ綺麗だと言っていたけれど、本当に綺麗ね」


 2人組がセレスをじっくり見ながら、羨ましそうに感想を告げた。

 確かにこの2人組の容姿はちんまりしているから、同じ年の女性と比べると幼く見えるしな。


「何か失礼なことを考えている」「ぜったいにちんまりしていると思った」


 2人組がおれに対してジト目を向けながら、思っていたことを的確に指摘してきた。

 どうしてわかったんだ…


「おれはロップだ。あんたたち2人は?」

 このままだと面倒くさい流れになると思い、強引に話を変えた。


「私はマデリンだよ」「そして私がエヴァリンだよ」


「私とエヴァリンは双子なんだ」「出身はオーディンヘイム公国なんだ」


 やっぱり2人は双子だったか。というかオーディンヘイム公国って…


「えぇ!そうなんだ!私の才能(ギフト)は【魔之戦女神(マジックワルキューレ)】だからすっごい親近感が湧いてきちゃう!」

 そう、セレスはオーディンヘイム公国2代目女王と同じ才能だとローザさんが説明していた。


「はわわわわ!?英雄エリサベット様と同じ才能(ギフト)だ!?」「はわわわわ!帰国したらみんなに自慢できるよ!?」

 そうやってセレスと双子の仲は急速に縮まっていった。

 一瞬でおれは蚊帳の外となってしまった( ˘•ω•˘ )


 3人が仲睦まじく話しているのを横目に、おれは食事を続けた。

 すると双子がおれたちに対して質問してきた。


「ねぇ、さっきからずっと思っていたんだけどさ」

「どうしてご飯中なのに、こんなにべったり引っ付いて食べているの?」


 2人はおれたちの食事風景に突っ込んだ。まあ無理はない。

 なぜならセレスが両腕でおれの左腕に絡みついてくるので、残されたおれの右手を使い、自分で飯を食べ、セレスに食わせているからだ。


 もちろん、食べづらいのでなんども苦言を呈した。けれども一向に聞いてくれないので、おれが先に折れたというわけだ。


「えっ?別におかしくもなんともないよね?」「そんなわけないだろ」

 双子が質問してきたことに対して、セレスは心底不思議だという意見に思わず突っ込んだ。


「私たち双子よりべったりしているよ」「もしかしてこの2人って変?」

「なんでおれも入っているんだよ?」なぜかおれまでおかしいやつ認定されてしまった。


 こうして、まだ入学していないながらも顔見知りと呼べる仲になれたのであった。




 ―――……・・・


 翌朝、おれたちは合格者とクラスが掲示されている学院の中庭にいた。


「あっ、あったあった!わたしもSクラスだよ♪」「まあそうだろうな」

 こんなにドキドキしない合格発表はないだろう。これでセレスがSクラスじゃなければ学院のレベルが高すぎて絶望するほどだ。


 結果を確認して喜ぶものもいれば、結果を信じられず悲しんでいるものもいる。

 全員がこの日のために全力で努力をしてきたことがわかる。


 そんななか、ある会話がおれの耳に入ってきた。

「おい聞いたかよ、留学してきた奴ら全員Sクラスになったらしいぜ」「まじかよ、さすがに今年は運が悪すぎたな…」「あぁ、その中でトップの成績を収めたやつが、少なくても同じ年代では、大陸の中でトップの実力をもっていると言ってもいい過言ではないということだからな」


 …予想していたことだが、この留学生活は一筋縄ではいかないようだ。


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