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3話【根性】の可能性?

やばい!ストックが…

「それでねぇ…」


地面に突っ伏して動かないロップを無視してローザは話を続けようとしていた。

慣れてらっしゃる。


「私が【根性】について受け取ることができた情報ってほとんどないの」


どういうことだい?と話を促すアンドロス


「才能の情報を付け取ることができる、固有魔法『聖導』は、過去に同じ才能を授かった人達による才能の活かし方も体系的にわかることができるのよ。


だけれども、【根性】は他の才能よりも、映像や感覚といった情報がほとんどないの。

だから、言葉の説明によるものしか【根性】の詳細がわからなかったのよ」


不思議そうに首を傾げたローザ。

その説明を聞きサンサロッサは腕を組み、考えを巡らせた。


「Hum…、ということは本当に【根性】はただの精神論による才能なのか、あるいは…


今まで授かった人がおらず、ロップが歴史上はじめて【根性】を受け取ったという可能性が考えられるな。

そうだったらそうで、なかなか凄いことじゃないかい?」


ぴくっと、突っ伏しているロップの耳が微かに動いた。


「それに説明は馬鹿げているけど、強い心とやらの条件がそろってさえすれば死なないんじゃないかい?


もし、それが本当だとしたらとんでもない才能なんじゃないか!?」とアンドロスが付け加えた。


顔こそ見えないが、サンサロッサやアンドロスの言葉を聞き、体の細部にいたるまで活力が戻っていることが伺える。


非常に期待していることがわかるのだか、その希望は無様にも砕け散るのであった。

「うーん…、確かに数は少ないかもしれない。それこそ、セレスちゃんの【魔之戦女神(マジックワルキューレ)】と同じくらいね。でも、0じゃないの


魔之戦女神(マジックワルキューレ)】は景色としてくっきりとわかるの。それこそ膨大な魔力量によって放たれた魔法や色とりどりの属性魔法を扱う姿が。


でも【根性】は才能を授かった前後の変化が特に見られず、これといった特徴を持たず生を終える人しかいないの」


本当に困ったわ~といった表情を浮かべるローザに対して、その場にいた全員の考えがシンクロした


(それって本当になんの意味を持たない才能だということじゃないのか??…)


「あちゃ~、ってロップ!?」


セレスはロップの異変にすぐさま気付いた。

ちょっと前の元気を取り戻しかけた時って違って、どんよりと重たい空気が佇んでいる。


「ちょっとロップ!?元気出して、ね?


それによかったじゃない!?

魔法系の才能とかよりもよっぽどロップに合っていて素敵だと思うわ!


だって、0に何をかけても0になるのと同じなんだから!?」(グチュリッ)


あっ…とそこでセレスは自ら発した失言に気付いた。それと同時になにか柔らかいものがつぶれたような音がした気がした。


(チーンっ)ロップは燃え尽きた薪のように白い姿へ変わりはてた


「ああっ!ごめんなさいロップ!ロップッぅぅぅ――――――!!」


結局、ロップにとどめを刺したのは幼馴染であるセレスであったというオチである。


---------------------------------------

(数時間後)


ランブール公爵領内に広がる森『シルバーレイクの森』は、世界規模で見てもモンスターの数が多くレベルも高いことで知られている。


森に入る手前側の平原は、スライムをはじめとした冒険初心者にピッタリなモンスターしか存在しない。


しかし、森の奥へ進めば進むほど、モンスターのレベルは上がっていく。

なかには高ランク帯のパーティですら討伐が困難とされているモンスターが存在しているとされている。


ランブール公爵家は代々、モンスターの甚大な繁殖・町への被害を防ぐ役割を担っている。


また、モンスターから取得することができた資源を使い産業を発展させてきたため、町は潤い、人々の交流が盛んな領である


そんな『シルバーレイクの森』の中層当たり、空間を埋め尽くすかのように繁茂している木々の中を駆ける2つの影があった。

ロップとセレスである。


屋敷にいた時のドレスから動きやすい軽装へ姿を変え、髪の毛も後ろへ束ねていたセレスは『風魔法・飛翔(フライ)』を使い、箒を椅子替わりにして飛んでいた。


ちなみに、箒は必要ないのだが姿勢が楽という理由と、恋愛物語ででてきた魔女に感化されたため箒を使用している。

一種のマイブームである。


「ちょっとロップ!今日討伐しないといけないモンスターはわかっているの!?」

「イノシシ!」

「そうだけどそうじゃなくて!」

「めちゃくちゃでかいイノシシ!」

「トガリワイルドボアよ!危険度Bで、一応昇格試験でもあるのだからしっかりしてよね」


いつもの軽口を言い合いながら森をの奥へ進んでいく2人。

空を飛んでいるセレスとは違い、ロップは疾走のごとく地面を駆け抜けていた。


木々の根上がりにより、走りやすいとは言い難い地面でもお構いなしに、スピードを落とさず進んでいく。

土だろうと根だろうと木の幹だろうと関係なく、足場に出来さえすれば問題なしといった様子でセレスの飛行スピードと負けない速度を保っていた。


「そろそろねぇ…、『音魔法・索敵(サーチ)』!」とセレスは副属性の索敵魔法を使用した。


ちなみに、セレスは『索敵』を初めて使った。

【魔之戦女神】を授かったことを機に使用してみたのだが問題なく発動した。

ローザが説明した通り、魔法の補助を促す才能ではないため、セレス本来の魔法を扱う能力により発動できたことがわかる。


「…いた!ロップ!」「ああ、わかってる…」


木々が立ち並んでいる空間を抜けたあと、2人は草原へたどり着いた。

そして、草原の反対側に目をむけると黒い巨体を確認することができた。


分厚く黒く光る体毛を纏い、岩をも砕きそうな牙を備えた体躯は、だれが見ても圧倒的な力を秘めていることがわかる。


「おおー、でけーなー、…セレス」

「ええ、あれがトガリワイルドボアね。今回のターゲットで間違いなさそうよ」


「こりゃ大量のシチューを作ることができるな。あいつらに腹いっぱい飯を食べさせてやれるぞ」

「ふふっ、もうすでにロップはたくさんのご飯を食べさせていると思うけど?」


なんて他愛もない話をしていたら、トガリワイルドボアが2人の存在に気付いた。

移動するだけで大地を揺るがしていることから、危険度Bとして扱われていることがわかる。


本来であれば、危険度Bのモンスターに対しては1パーティー(5~6人)で挑むものであり、2人で挑むことは自殺行為に等しいのだが…


「よっしゃ!さっさと倒してプラチナに上がってしまおうぜ!」

「ええそうね、帰って魔法の研究に取り掛かりたいもの」


両名とも、目には闘志を宿らせながら、圧倒的な存在感で迫りくる巨体に立ち向かうのであった。


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