36話 心霊武具<安綱>
おれとセレスとセレスの使用人達は緑豊かな平原を馬車型の魔道具に乗ってゆっくりと進んでいた
車輪が柔らかい土の上を転がり、風がやさしく御者の髪をなびかせる
馬車の上からは鳥のさえずりが聞こえ、それを楽しみながら穏やかな旅路を楽しんでいたのだが…
「なあセレス、いい加減暑くなるから離れてほしいんだけど?( ˘•ω•˘ )」
いつものごとくおれの脚を枕にして寝そべっていた、最近は常に引っ付いてくるので(物理的に)前世は犬なのでは?と考えるほどだ
馬車の中には空間魔法がかけられているため、部屋と同等の広さがあるため座るところは沢山あるはずなのに離れてくれない
今この部屋にはおれとセレスだけで、他の使用人たちは別部屋にいるわけだが最近はどこにいようと誰が見てようご引っ付いてくるので慣れてきた自分もいる
ちなみにセレスのヘアスタイルがロングからミディアムボブへと変わっている
どうやら昨日のうちに髪をきっていたらしい、イメチェンか?
「えー大丈夫だよ、だってこの魔道具を買ったロップが室温を最適にする機能がついているっていってたじゃん
なんにも問題ないですよ~♪」なんていいながらさらに体重を乗せてきた、なんでだよ?
さすがに旅の途中や留学で、全部世話になるのに、それに甘えきれるほど肝っ玉が据わわってはいない
だからせめて移動手段だけでもと思い、クエストの報酬で貯めていた貯金から馬車を購入した
今思えば自分のために高いものを買うことがなかったので、購入時の心臓の音は強く鳴りっぱなしだった
セレスをどうにかするのも諦め、おとなしく外の景色を楽しむことにした
外国に行くことが初めてという事もあり、気持ちは弾んでいた
まあ、目的地につくまで何事も問題はないというのは珍しいわけで
「セレス様! ロップ様! 前方で魔物の群れが!?」
操縦席にいる御者から通信具による報告があった
前を確認するとオーガの群れが、馬車の行先を防ぐように広がっている
「最近、周辺の村でオーガの群れが確認されているということをアンドロスさんがいってたな…」
問題に対処するべく立ち上がり外に出ようとすると、セレスも用意をしていたので今日はおれだけでいくと断っておいた
「<安綱>」 おれの心霊武具である刀を顕現させた
シンプルでありながら、刀身は美しく芸術品かと勘違いしてしまうほどの存在感を放っていた
そして、刀を収める鞘は反対に鮮やかなデザインで飾られていた、光がその模様を撫でるたびに、色彩が躍動し、生き生きとした輝いていた
レイドドラゴン時に顕現させることに成功していたのだが、修行の成果もあって好きなタイミングで顕現できるようになった
【根性】とかいうふざけた才能を授かった時はどうなることかと思ったけれども、無事心霊武具を顕現できて本当によかった、いや本当に…
「みんなはそのまま中にいてください!」 おれは馬車から飛び降り全力疾走でオーガの群れに近づいた
何体かのオーガがおれに気付いて迎撃しようと態勢を整えていたが
「それだと遅いんだよねぇ」 おれはオーガが攻撃をしかける前に、喉元にはいり居合切りを放った
するとオーガ3体の体が上下半分に分断した
自分専用の武器という事もあり、最速最高の居合切りでほとんどの魔物は豆腐のように切ることができる
「どんどん次にいくぞー」 そのままおれは、1体1体オーガを切り伏せていった
上段,袈裟切り,刺突ありとあらゆる斬撃でオーガの数を減らしていき、その場にいたオーガを片付けることに成功した
「結構数いたな、疲れたー」 そう言いながらおれは馬車に戻るとセレスが
「おかえりー、やっぱり刀が一番使いやすそうだね」と迎えてくれた
「まあバスターソードとかの武器より軽いのがいいよな」と呟きながら<安綱>を眺めた
<安綱>の性能はただ1つ、それはおれの心が折れない限り折れないことだ
セレスや師匠のように、プラスαの効果てんこ盛りではないのが非常に残念だけれども…
おれも身体能力アップとか魔法を使えるようになるとかそんな効果を期待していたけれども( ˘•ω•˘ )
それに比べて折れないって…地味すぎん?
まあ、刀が折れるという心配がないだけで好き放題振ることができるのはかなり大きいけれども
というかおれに一番の武器と性能かもしれない
「私はすぎだよ!ロップの心霊武具も刀で戦う姿も!」なんていつも通りおれを肯定するセレス
たまには少し考えろよと思うのだが普段のセレスはおれよりも賢いのでなんともいえない
「まあ引き続き、旅路を楽しむとしますか」
おれは席にソファ型の席に座り、再び外の景色を楽しむことにした
ロップの専用武器<安綱>は童子切安綱からとっています。
主人公の武器名としては変わり種のような気もしますが、童子切安綱にまつわるエピソード含めて主人公にあっていると思い名付けました!




