15話 ギルドの会議室にて
続けることが大事…
続けることが大事…
リンクと初めて模擬試合をして数日後、ロップは日課のトレーニングとクエストをこなしたあとギルドの会議室へ向かっていた。
ギルドへ入ればいつもより人が多いことに気付いた。
しかも高ランク帯のパーティーの顔ぶれが揃っていた。
「いよいよ戦って感じだな。 ギルドもいつもより殺気立ってる」
当たりを一通り見渡したあと、会議室がある2階へ向かおうとしたロップに冒険者の1人が声をかけた。
「ロップくーん!」 呼ばれた方へ顔を向けるとクリーム色ショートボブの女性が明るい表情でロップへ近づいた。
「こんにちはっす、マリンさん。マリンさんも会議室へ?」
「えぇそうよ、ランブール領を拠点にしている高ランク帯パーティーのリーダーはほとんど出席するわ」
女性の名前はマリン。
パーティー全員がダイヤモンド以上のランクで構成されているイグニスロッドのリーダー。
リーダーのマリンはランブール領でも数少ないミスリルランクの冒険者であり、パーティー名は彼女の心霊武具〈炎円樹の長杖〉からそのままとったものだ。
「そうなんすね イグニスロッドがいるのならかなり心強いですね」
「あら、うれしいことを言ってくれるじゃない 【根性】は褒める能力を伸ばしてくれるのかしら?」
「…びっくりするくらい脈略もなくいじってくるじゃないですか
え?10代半ばの本気泣きをみせましょうか?」
「泣いているロップ君も見てみたいかも その時はお姉さんが慰めてあげるからね」
「めちゃくちゃ魅力的じゃないですか…
いまから赤ちゃん並みの大きな声でないてマリンさんにあやしてもらおうかブフィ!?」
ロップが急に壁へ叩きつけられた。
ロップがいたところには、蹴り抜いたであろう脚だけが残っていた。
「…。 こんにちは、マリンさん!」ロップへ蹴りを叩きつけた人物はセレスであった。
「こんにちはセレスちゃん 相変わらず仲がいいわね♪」 マリンは全く動じることもなくセレスへ挨拶を返した。
ロップとセレスの茶番はギルドでは日常茶飯事のようだ。
そんなやり取りをしながら、2階へ上がり3人は会議室へ入った。
そこには、サンサロッサとランブール領のギルドマスターに加えて高ランク帯パーティーのリーダー達が揃っていた。
「HEY!3人とも来てくれて感謝する! これでメンバーは集まったナ!
では早速、今回の戦争について話していくぞ!」
サンサロッサの言葉で会議は開始した。
「なんでプラチナランクの俺やセレスがここにいるにだ? どうみても場違いじゃね?」
ふと疑問に思ったロップは小声で呟いた。
「まあまあ、ロップ君もセレスちゃんも戦闘力でいえば上級冒険者なんだから、この場にいてもなんの問題もないよ」
マリンがロップの疑問に答えた
「まず初めに、今回の戦争の首謀者であるアリスター・ドレークとフラム・ミストについておさらいダ」
サンサロッサは魔道具を起動して、壁に2人の男を映した。
「アリスター・ドレークの才能は【蜥と心を通わすも者】 この才能によりドラゴンをテイムすることを可能とした。
いくら元帝国十三神将であろうと、国相手にできることはそう多くない。
そのため、今回の敵側の主戦力はドラゴンの大群によるものだと予想できる」
サンサロッサの言葉に、会議に参加していたメンバーは唾を呑んだ。
いくら高ランク帯のパーティーといえど、ドラゴンを圧倒できるのはほんの一握りしかいない。
そんなドラゴンが大群で攻めてくるのだ。
緊張するなという方が無理な話である。
・・・・・
事態はかなり深刻だ。
しかし、サンサロッサは何食わぬ表情で話をつづけた。
「ドラゴンは全て私が相手する 君たちはドラゴンの進軍による森の魔物たちの暴動に対処してくれたマエ」
「「「!!??」」」
さきほどのドラゴンの進軍の話よりも会議室が驚きで満たされた。
危険度が高いドラゴンでいえば、一体で町を滅ぼすことが可能なほどの脅威とされている。
そんなドラゴンがいることが確定とされている大群に、たった一人で立ち向かうというのだ。
まるで夢物語をきかされているかのように現実味がない。
「うへぇ~、さすがオリハルコンランク ミスリルの私でさえ面食らっちゃったわ」
マリンは驚愕の表情を浮かべた
「まあ、師匠なら可能ですしね
机上の空論であろうと自分が決めたことは、それが確定事項となる
オリハルコンランクの冒険者というのはそういうものです」
ロップは特に驚きもせず、マリンの言葉に反応した
「だから君たちは、よくある魔物大騒動の対応をするくらいの気持ちでいてくれて問題にないサ
そして、もう一人のフラム・ミストだ!」
サンサロッサはミストの顔へ指さした。
「こいつは十三帝国神将なかでもっとも古株だ
才能は【霧幻法】で霧を使った幻を見せることができたりと、錯乱させる能力でいえば世界でも随一ダ。
どちらかというと暗躍するタイプなため、今回の戦争で奴がどういった立ち回りをするのか把握しきれていない
まあそこは、派遣された現十三帝国神将のトードリオ・リンク君に対応してもらう手筈となっているサ」
私からは以上だねと、ギルドマスターへとバトンを渡した。
膨れ上がった筋肉に加えて眼帯、一昔前には名を馳せていた冒険者だったこともあり風格が漂っていた。
「今回の戦争だが、元十三帝国神将に加えて前帝王派の人間も絡んでいると予想されている。
そのため、イレギュラーは必ず起こると思っておいて欲しい。
そこでお前たちには交代制でシルバーレイクの森へ出向き、森の異常を察知できるようにしてもらいたい。
パーティーの配置についてだが…」
こうして、ランブール領側でも戦争へ向けて会議が続けられるのであった。
白熱する会議は、決戦の日がそう遠くないことが示唆されていた。
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