10話 森で修行
戦闘描写ってめちゃんこ難しいですね。
セレスがサンサロッサから心霊武具の話しを聞かされていた時、すでにロップはシルバーレイクの森で魔物たちとの戦闘が繰り広げられていた。
バウッバウッ!
「・・・・・」
巧みに樹木の間を通りぬけながら森の中を駆け巡り、ブラッドハウンドの群れの攻撃を躱し続けていた。
ブラッドハウンドはウルフ系の魔物であり、ブラッドハウンド単体での危険度はCとされているが、群れを成したときには、連携の厄介さから危険度Bにまで上がる。
通常は10体ほどで、行動をしているのだが、今ロップが相手している数は優に20は超えている。
多勢に無勢の言葉通り、ロップがブラッドハウンドに囲まれるまで時間はかからなかった。
「えっ?もしかしてワンころごときにはめられた?なんという屈辱」
バウッ!!
ブラッドハウンドの1体が好機とみるや否や噛みつこうととびかかった。
「さすがに直線的すぎるだろ」
最低限動きで躱したロップにたいして、ウルフの群れは波状攻撃の陣形を保ちながらロップへ襲い掛かった。
「数多すぎ」
挟む形で迫ってきた魔物にたいして、バク転の要領で躱しつつ、第2攻撃としての5体の猛襲を跳んでよけた。
空中にいるロップは身動きが取れないとみたウルフは口撃を仕掛けた。
しかし、それでもロップは体を器用に捻り、くるりとよけた後ウルフの胴体を足場にしてジャンプをし、大木の枝へ飛び移った。
「さてと、そろそろやっていこうか」
ロップは背負っていたバスターソード(両手剣)を手にした。
太陽が森の隙間から差し込み、持っていた剣が光を反射してきらめく。
「本当は刀が良いんだけどな…、さすがに連戦だと刀がもたないし」
魔物との闘いが続いているため、剣の状態を確認しつつブラッドハウンドたちを視野に捉える。
「一気に片づけて、昼飯を食べにかえるとしますか!」
勢いよく踏み込み、ウルフ達の中へ飛び込んだ。
あまりにも強い踏み込みのため、木の枝は音を発しながら折れた。
あまりにも迅速な接近に、ウルフ達は反応が遅れた。
対処しようとしたときにはすでに、間合いの中にいた。
「よいしょっと!」
ロップはバスターソードを横へ払い、3体を同時に裁断した。
ッ!!!
「続いてはっと」
払った勢いを止めずに、そのままもう1体のブラッドハウンドへ剣を叩きつけた。
頭をつぶされたウルフはどさっと倒れた。
ロップはそのまま縦横無尽に駆け巡りながら、魔物を狩り続けた。
風を切り裂き、緩やかに舞う姿はさながら演舞のよう。
「ラスト!」
結局、ロップが攻撃を仕掛けてから一度も止まることなく、ブラッドハウンドの群れを壊滅させた。
「さすがに一休みを…っ!?」
魔物が高速で近づいて来たことを感じたロップは、気配のする方へ剣を振るった。
ガキンッと、剣と特大の針が交差する形で魔物の動きを止めた。
「もう次のお客さんかよ…」
針の持ち主はウィンドビーである。大男サイズな蜂型の魔物で危険度はBにあたる。
力の押し付け合いから強引に剣を払うものの、ウィンドビーは後方へ飛んで躱し、ロップから距離を置いた。
そのまま、針周辺で魔力をためたあと、風属性の魔法を連発した。
「やっべ」
あまりにも数が多すぎることから、避けきれないと判断したロップは、剣で攻撃を流しつつ魔物へ近づいた。
ロップが近づいてきたことを捉えたウィンドビーは迎撃しようと、再び針をロップの方へ向けて飛びかかろうとしていた。
しかし、ロップの速さはもう何段階も上がある。
「1段階ギアを上げるぞー」
姿勢を落としたかと思ったとたん、力強く踏み込んだ、その踏み込みはまさしく疾風であった。
魔物が目でとらえることができた時、目の前でロップは上段の構えをとっていた。
「さよなら、ばいばいっ!」
豪快に大きく振るった剣は、ウィンドビーの体を両断した。
虫なので両断したとしても、襲い掛かってくるのでは警戒していたのだが、再び動くことはなかった。
魔物が死んだことを確認したロップは、今度こそ一息ついた。
「ったく、1対多数の闘いになれるためとか言って変なアイテムを持たされたけど、どんどん魔物をおびき寄せやがる」
サンサロッサから与えられたものは、香りで魔物をおびき寄せて捕食する食獣植物の魔物の花を使った、魔物寄せのアイテムである。
ロップはそのアイテムの香りが広がらないよう、瓶の中へ入れた。
瓶の中へ入れておけば、アイテムの効能は発揮しない。
「疲れた…さすがにハードすぎる( ˘•ω•˘ )」
よしっと帰ろうとしたところ
「いやー、凄いですね。本当に剣一本で危険度BやCの魔物を狩り続けるとは」
っ!?
声のした方へ振り向いたロップ。
そこには、昨日の執務室で話した男、十三帝国神将のリンクがいた。
「えっ?めちゃくちゃ驚いたんですけど。ていうか何の用ですか?ストーカーですか?」
「いやいや、そんな人聞きの悪い…、確かにやっていたことはストーカーですね」
「納得するんかい」突っ込むロップ
「まあまあ。私はロップ君に興味を持ちましてね」
「自分男色ではないですよ」
「はははっ、私も女性が好きですよ。ちなみに年上で甘えさせてくれる方がタイプです」
聞いてねぇよと、どこかつかめないでいたリンクへ少し警戒度を上げた。
そんなロップに対して、ニコニコしていたリンクは話を切り出した。
「提案なんですけど、ロップ君。いまここで私と戦いませんか?」
帝国最強騎士団の1人であるリンクから、模擬試合への誘いであった。
…はいっ?
予想外な内容に、ロップは思わず呆けた。
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