9話 心霊武具
出したい要素はやっと出せた感じでっす
セレスは日課の魔法についての勉強と朝食を済ませると、いつも修行をしているシルバーレイクの森の前に広がる平原へ向かった。
いつもの集合場所に到着した時、そこにいたのはサンサロッサだけだった。
「あれ?ロップは?」サンサロッサへ聞くと
「ロップは一足先に修行を始めてもらっているヨ。
といっても、ひたすら実践形式だけどね。
今日からはそれぞれに合ったトレーニングメニューをこなしてもらうからサ」
サンサロッサからの説明を聞き、納得をしたセレス
「なるほど、わかりました!それで実際どんなことをしていけばいいのでしょうか?」
サンサロッサは勢いよく腕を振りかぶった後、一本指を立てた
「やることは主に1つ!それは授かった才能に沿った分野を伸ばしていくことだ!」
セレスはその方針に対して、特に反対するわけでもなく納得した
「確かに与えられた才能を伸ばす合理性については、以前調べた研究結果にて知っています!
ある実験で、炎に関する才能を授かったグループと、単に魔法スキルが高いとされてきた人たちを集めたグループとで分けた時、
炎に関する才能を授かったグループの方が圧倒的に炎の魔法の成熟速度が上だったという結果だったらしいですしね!」
セレスの勉強に対する姿勢に感心を抱き、お手上げのポーズを見せるサンサロッサ
「さすがセレス!言いたいことを先に汲んでくれる優秀な生徒で助かるヨ!
そして、もう1つ狙いがあるんだけどわかるカイ?」
サンサロッサからの問いに、セレスは待ってましたと言わんばかりに頷いて答える
「それは心霊武具顕現のためですね!」
ブラボー!!とセレスを褒め称えるサンサロッサ。いちいち動作が激しい。
「セレスが言っていた通りなんだが、授かった才能を伸ばすことが、結局は一番効率がいい。
そして才能に十分向き合い、研鑽し続ければ、その人にとって一番肌にあう武器、もしくは防具といった武具を顕現できるようになる。
私の場合はコイツのようにね」
少しセレスから距離を取ったサンサロッサ。しかし、セレスはそれ以上に急いで距離を取った。
そして…
「Come on,〈日の外衣〉」
サンサロッサは呟いたと同時に豪勢さを感じられるマントが出現した。
ただマントが出てきただけではなく、彼を中心とした温度が大きく跳ね上がっていた。
まだ春だというのに、熱帯地域の夏を感じさせられるほど、セレスの肌は身を焦がすような熱波を浴びていた。
「武器とか防具と言っておきながら、私の場合はいかしたマントなんだけどネ。
性能でいえば太陽がでている間は、魔力の消費無しに炎関係の魔法が使えることと魔力の自動回復だネ」
さすが、世界に名を轟かせている冒険者の1人であるサンサロッサ。
一般的に知られれている心霊武具の性能と比べて段違いだ。
「さて、軽く説明したところでここからが本題ダ。君の方向性についてだね」
いよいよだ…っとセレスは期待に満ちた表情で話しの続きを聞いていた。
「ローザの話を聞く限り、君は分野を絞るのではなく、可能な限り全ての属性の魔法を鍛えることと、単純な魔力量底上げを目指すことになる。
それに加えて、身体能力上昇を狙ったトレーニングもこなしていった方がよさそうだネ」
「全属性というのは、主属性である炎・水・風・土・光・闇だけではなく副属性もということでしょうか?」
「そうだネ、使える属性が増えれば増えるほど、君の闘い方は彩るサ」
『道具保存箱』からこれまでに観測された属性とその魔法について記載された本を数冊セレス渡した。
数度やり取りをして、自分が目指すべき姿を想像したセレス。
自分の授かった才能【魔之戦女神】は努力すればするほど魔法使いとしての総合値が上がる。
逆に言えば魔法の上達は日々の修練でしか上達しない。
他の才能と違って、いきなりある分野の魔法を使えるようになるわけではない。
おそらく、ここ10年間は特定の属性で一番になれることは難しいだろう。
しかし、微塵も不安に感じてはいなかった。
なぜなら、セレスのそばには逆境に屈服せず前へ進み続ける存在がいるのだから。
その存在のおかげで、セレス自身も一歩前に進もうと思えるのだから。
「ふふっ、どんな心霊武具を手にするか楽しみだわ。
どっちが先に顕現できるかロップと勝負ね」
セレスの自信に頼もしさを感じていた。
「HAHA!自分自身のことはいざ知らず、まるでロップも心霊武具を顕現できるかのようないいようだな!
わからないことだらけの彼の才能じゃ顕現できるかどうかも定かではないゾ?」
そういいつつサンサロッサはセレスが答える内容をわかっている様子で、愉快そうに問いかけた。
「できるよ!だってこれは確定事項だからね♪」
ぬくもりを感じられるそよ風が、セレスの髪を優しくなでるのあった。
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