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ディストピア生活初級入門(第5部まで完結)  作者: 中将
第6章 科学VS呪い

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第61話 幽霊克服会議

「では、頑張ってくれな」


「本日は急に襲ったりしてごめんなさい。あなたたちなら必ずできる。健闘をお祈りするわ」


島村さんご夫妻はそう言うと去っていきました。


「あ~~。あたし、あの2人ニガテだったな~。大体おお化けや幽霊に襲われてあたしたちが死んでもしたらどうするつもりだったんだろ?」


島村さんご夫婦が見えなくなるとまどかちゃんが即座にそう言いました。

まどかちゃんとしてはお化けが嫌いなのでそれこそ生死に関わるんでしょうね……。


「ま、並大抵の困難なら私が何とかするから。あのお二人だってあまり心配してないと思うわ。

すぐに立ち去ったのもこのK神社にやられないための迅速な判断だったと思うわ」


「ふ~ん。そうなんだ」


「私は島村さんご夫婦を知らなかったけど、この業界の戦力は大半は把握しているからね。

単独で私に立ち向かえる相手なんていなかったわ」


確かに先ほどの攻撃も何かお二人で連携しているようでしたからね……。


「あのご夫婦はどうやら日本宗教連合を外から支える立場だったみたいです。

虻利家からも獄門会からも上手い具合に注目されないように立ち回られたみたいです。

玲子さんとは違った形でどこに対してもキーになるお二人です」


「なるほどね。まだまだ私も知らない人脈というのが存在するのね」


「ただ、島村さんご夫妻が警戒するような化け物というのは一体……。

それこそ未知の人脈の可能性があると思いますが……」


「取り敢えず私の背後にいれば安心だから、気にする必要はないわ。

ただ今晩から対幽霊のためのそういう訓練もしていこうかしら。

今後もこのような相手をすることもあるだろうからね」


「ゲ~~~~! とんでもない化け物を相手にするってことでしょ? カンベンして欲しいけどなぁ……」


まどかちゃんは想像しただけでふらついてしまったようです……。


「正直な話、とんでもない実力の人間やロボットなんかよりもまだ対処ができる相手なんだから、気絶している場合じゃないのよ。

せめて私が来るまでの間時間稼ぎしてもらわないと、輝君より役に立たない存在になるわよ?」


「ウッ……それは流石に困る……」


「お化けが怖いだなんて可愛らしくて良いと思いますけどね」


「むぅ~~。知美ちゃんったらあたしのことを子供扱いして~」


「ま、皆私より弱いからある意味子供だとは思うけどね」


「いや、玲子さんより強い方なんてこの世にすらそうそういないと思いますよ……。

ロボットなども含めてですけど」


ある意味誰であっても子供扱いみたいに手加減をしているということなんでしょうけどね……。


「そんなわけだから安心してついてきてもらって構わないわ。これは研修なんだからね」


気が付けば長い階段の頂上まで到達していました。


「また、お化けや幽霊が出たらどうしよ~~~~」


まどかちゃんはまだ階段を登り切らずにあと5段ぐらいのところで止まってうずくまってしまいました……。


無人島で私と話していた時は大人びて見えましたが、玲子さんと一緒だと「お母さんと一緒にいるみたいな感じ」になってしまって甘えてしまうのでしょうか……。


「私がいるんだから安心だと思って欲しいところだけどね……。

さ、ここまで来たんだから私の背中に隠れてもいいからしっかりと研修を受けること」


「スパルタだなぁ~。お兄ちゃんがメチャクチャ嫌がっていた理由が分かったよ……」


まどかちゃんがガックリと肩を落として項垂れました。

凄く気の毒に思えますけどここは心を鬼にしないといけませんよね……。


「私もかなり怖かったですけど、一度恐怖を乗り越えてしまえば気が付けば相手を倒し切っていた感じがしましたね。

今でも体の節々が痛いですけど……」


いままでに感じたことのない恐怖に襲われたことは間違いないので、いつもとは違ったところが緊迫して筋肉が張っている感じがあるんですよね……。


普段なら筋肉痛すらほとんどならないんですけど……。


「や、やっぱり幽霊と戦うと負担が大きいんだぁ……。あたしじゃすぐに押しつぶされそう……」


「でも、そんなお子様みたいなことを言っているといつまでも輝君に大人として認めてもらえないわよ?

それとも輝君のことは諦めるのかしら?」


「うっ……それは流石に困るよ……。諦めるわけにはいかないからね……」


「そうですよ。私も何とかなりましたから。案外、最初の段階を乗り越えれば慣れることができるかもしれませんよ」


「知美ちゃんが発揮したのは火事場の馬鹿力というところかしら。

でも、気絶してたらそれも発揮できないからね。

どういう風に訓練するかはこれから考えておくからしっかり心の準備をしておいてね」


「はぁぃ……」


幽霊克服のための訓練することは決定事項のようなので、

何とかしてまどかちゃんを勇気づけることは出来ないでしょうか……。


あっ! このながれならこれしかありません!


「それならまどかちゃんが気絶しそうになったら虻輝さんの名前を出してあげるのはどうでしょうか?」


「そうね。まどかちゃんの原動力が輝君だからそれは効果的な声掛けになると思うわ」


「そ、そだね……」


まどかちゃんはもうお化けに遭遇したようなひきつった顔をしています……。


虻輝さんは諦められないけど、お化けを克服するのもかなり勇気がいるんでしょうね……。


何か悪いことをした気持ちになってしまいます……。


「人の性質にはサボり癖や浪費癖みたいに中々変えることが出来ないものもあるけど、

まどかちゃんのお化けや幽霊恐怖症は訓練次第で克服できるものよ。

頑張りましょう? それよりもまずは今日を乗り切らないとね」


「うん……やってみるよ……お兄ちゃんだって、体力無いのに毎日訓練やってるんだからね……」


「そうそう。輝君のように絶望的な体力じゃないんだから、全然克服できるレベルよ。

さぁ、もう日が落ちそうだから行きましょう? 夜ごはんに送れちゃうわ」


玲子さんはそうおっしゃるとスタスタと歩き始めました。


そんな背筋が伸びた後姿を見て安心感がありながらも、

一方で島村さんご夫妻がわざわざ忠告に来たというのがやはり引っ掛かりました……。


とんでもない後ろ盾がいるのではないか……こういう予感って無駄に当たってしまうんですよね……。


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