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ディストピア生活初級入門(第5部まで完結)  作者: 中将
第6章 科学VS呪い

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第60話 神社前の試み

「私たちが到着する前に歓迎会を開いてくれるなんて随分と気前がいいのね~」


玲子さんは得体のしれないドス黒い幽霊のようなものに囲まれても余裕綽々という感じです。


「わわわわわわ!!!!」


それに対してまどかちゃんは口をパクパクとさせて完全に固まってしまいました……。


本当に幽霊みたいなものが怖いんですね……。


「知美ちゃんは、まどかちゃんを頼むわ」


「はいっ!」


まどかちゃんは遂に白目を剥いて私の方に倒れてきました……。


「さぁ! 敵は私よ! かかってきなさいっ!」


玲子さんがそう叫ぶと、何やらいつもと違った雰囲気を発しています……。


すると、何故か分かりませんが、私とまどかちゃんの方に向かっていた幽霊が突然見向きもしなくなりました。

どちらかというと玲子さんの方に吸い寄せられるようにして向かっていきます!


「皆まとめて成仏しなさいっ!」


玲子さんが拳を繰り出すと、蜘蛛の子を散らすようにあっという間にドス黒い幽霊は消えていきました。


各方向に1発ずつ繰り出すだけであっという間に空が開け、空気すら美味しく感じられました。


「さ、流石ですね……以前も幽霊を追い払われた(2章31話)ことがあるとお聞きしましたけど、

私はその場にいませんでしたから……」


「知美ちゃん。何やら振り返ったり、総括している雰囲気があるけど、まだ油断するのは早そうよ」


「!?」


何と、今度はゾンビ映画で出てくるようなゾンビが私たちの方に向かって押し寄せてくるではありませんか!



空気が晴れたと思って完全に油断していました! 私は弓を構え、狙いを定めました。


「ウォォォォ!!!!」


ところが、頭が吹き飛ばされても猛然と私の方に向かってくるんですけど!


「知美ちゃん! 足に狙いを定めて!」


玲子さんの拳は一体どんな物質でできているのか、ゾンビですら一撃で消し飛びます……。


ただこのゾンビは先ほどの幽霊とは違って1体ずつしか倒せないほどの耐久力はあるようです。


「はいっ……ッ!」


私の弓では足に直撃してもまだ動きはするのですが、這って移動するので速度が激減し、玲子さんにとどめを刺されて完全に消滅している感じです。


そんな風にして100体ほどいたゾンビたちも完全に処理することができました。


「はぁ……はぁ……。何とかしました……」


30本ぐらい弓を放ったために気が付けば汗がびっしょりで体の節々が痛いです……。

体が限界を超えそうです……。


「うん。初めて相対した割にはよくやったと思うわ。

普通なら逃げ出したり、まどかちゃんみたいにショックで気絶しちゃうからね」


「そ、そうですか……」


私も玲子さんが近くにおられなかったら間違いなく気絶していたと思いますけどね……。

頭を吹き飛ばしたのに向かってきたときは絶叫しかけました……。


「どうして私たちの方に猛然と向かってきたんでしょうか……」


「幽霊ってどうやら低周波が好きみたいなのよ。

低周波を操ることで死者や魂すらも操ることが可能なのよね。

私は訓練で発する波動を硬化させたり、相手を弾き飛ばしたりできるから、完全に吹き飛ばすことができるということよ」


「な、なるほど……」


「知美ちゃんも電磁波を集めて弓に溜めることができることができるでしょう?

私も粒子を瞬時で集めて自在に操っているという感じね」


「そ、そういう感じなんですね……」


私は所詮は電磁波を集めるレベルですけど、玲子さんとは次元が違う話のような気がしますけど……。


「ㇵッ! お化けは!?」


まどかちゃんは、玲子さんの腕の中でパッと目を覚ましました。ショックのあまり一時的に気絶していただけのようで本当に良かったです。


「もう、ホント怖がりなんだから……。幽霊と言われているものなんて私が感じ取っている残留思念の塊みたいなものなんだから」


「そ、それだけでイヤだよ……。大体何で襲ってくる残留思念があるわけ?」


「マイナスの残留思念のエネルギーを集め、それを人型にして襲わせているのでしょうね。

だから残留思念に対抗できる力を得ている私は攻撃も通るというわけ。

そうよね? 島村さんのおじいさんとおばあさん?」


「!?」


玲子さんが私の背後言葉を投げかけると、熊吉さんと早苗さんがガサリ……と草むらをかきわける音を立てながら登場しました。


懐かしい気持ちになりましたが、襲ってきたのがこのお二人だと思うととても複雑です……。


「玲子さんがこれほどの力とは思いませんでした。流石は獄門会すらも驚異的だと言われて追い出されるだけの実力をお持ちですな」


「むしろ強過ぎて困っているぐらいですよ。力を抑えるためにいろいろな努力をしましたからね。

しかし、私はこの力を世界を意のままに操るために使うのではなく、より良い方向に向かうために使おうと考えています。

誰かを傷つけるための力ではなく、皆を守る力にしたいんです」


玲子さんがそう言うと島村さんご夫婦もウンウンと頷かれました。


「知美、あなたはとても良い方に出会われましたね。

あなたはまだまだですが、かなり成長しつつあると思います。この玲子さんに従っていればきっと良い方向に向かうわ」


「はいっ! ありがとうございます!」


良かったです……玲子さんがおっしゃっていたように私のことを心の底から見放されたわけではなくて……。


心のどこかが抉られて何か大事なものが抜け出ていくのを必死に食い止めていたような状況でしたから……。


「でも、そんなに友好的な発言をされるのなら、一体どういうつもりで私たちを襲ってきたのか目的を教えてもらえるかしら?」


「大変失礼なことをしたと思っています。ですが、これぐらいの腕試しを軽くこなしてくださらなければ、困ると思っていたところなの」


「そんなに強い方がいらっしゃるの? そこまでの方がいるなんて聞いたことが無いけど」


「このK神社は、見た目としては優しいけど、本祭神社と同じぐらい苛烈な徴収を陰で行っているわ。

むしろ、豪華絢爛に着飾ることなく節約をすることでお金を蓄えているのです。

そしてその差額のお金をどこに収めているのか? と言えば、とんでもない化け物に対してお金を払っているのよ」


早苗さんがこんな忠告するほどのとんでもない存在が背後にいるのでしょうか……。


「人は見かけによらないというところかしら。確かに先日お会いした時もドス黒いものを感じたからね。

私が読み切れていないとんでもない相手が背後にいるから、虻利家も日本宗教連合にそう簡単に手出しできないのかもしれないわね」


それでも私はそう聞いても涼しそうな顔をされている玲子さんの力を信じたいですけどね……。


「知美、玲子さんをしっかり支えてあげなさい。少なくとも足手纏いにならないようにな……」


「はい、私もまだまだですけど、必ずお役に立てるように懸命にやってみせます!」


熊吉さんが私の手を握りながらそうおっしゃったので私も決意を新たに答えました。

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