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ディストピア生活初級入門(第5部まで完結)  作者: 中将
第5章 南の島で

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第42話 キモチ分析

 まどかちゃんには“おやすみなさい”と言ったものの私はまだまだ眠れる気がしません……。


 全く解決していないのは、まどかちゃんのことを私、応援しているはずなのにどうして勝手に体が動いてしまったのかと言う問題です。


 本当にどうして……。

 

 でも、あの時のことを振り返ってみると、なんだかあのまま2人がこれ以上仲良くなっちゃうのが耐えられなかったんですよね……。


 そして気が付いたら体が勝手に出て言った感じです。


 それって、逆にそれが自分の“本心”に近いもののように今分析しても思ってしまいます……。


 これってやっぱり……。


 あの人――虻輝さんのことが好きだってことなんでしょうか?


 これまで私は“復讐の鬼”になっていたので、男性と付き合うだなんて一度も考えてこなかったですし、“好き“と言う気持ちもよく分からないんです。


 同年代の女の子が男の子と付き合うにはどうしたらいいのか? とか聞かれても正直玲子さんの受け売りを答えただけでずっと困っていました。


 奇跡的にミスコンで優勝することが出来たのも玲子さんの監修しているファッション雑誌のそっくりそのまま真似しただけに過ぎず、男性に魅力的に思われようとやっていたわけじゃありません。


 いよいよ復讐が成し遂げられそうな時に襲われた虚無感。復讐が無限に連鎖していくような恐ろしさと言うのを自分で食い止めようと思ってやめたんでしたよね……。


 そして私が恋愛だなんて……。

 お父さんや弟が見つかる手がかりすら手に入っていないのに、そんな浮ついたことをしているのは何だかあまりにもお母さんに申し訳ないような気がしますからね……。


 でも、まどかちゃんと虻輝さんがいよいよ「結ばれそうだ」という瞬間に体が動いてしまったのは――どうしても“そうなって欲しくない”と言う気持ちと同時に“独占したい“っていう気持ちがあるってことですよね……。


 こんなに好きになっちゃうだなんて自分でも信じられないんですけど……。

 現実を受け容れていくしかないですよね……。


 それなら、なんで好きになっちゃったんでしょうか……?


 ゲーム以外にとりわけ特別な能力があるわけでもないし、

 だからこそ他の話は何だかズレてるし、

 お爺ちゃんみたいに体力は無いし、

 生きる力も無さそうだし、

 あの玲子さんも困らせるし、

 訳の分からないことグダグダと永遠と言うし――悪いことを挙げていけばキリが無いような気がします。


 でも、人間悪いところだらけのような気もするんですよね。


 私だってこんな風に陰湿に人の悪いところを探したり、

 すぐに僻んだり嫉妬したりと自分でも嫌になっちゃうところが本当に多いです。

 料理も単純に焼くとかはできますけど、基本的には絶望的にできないんで全く家庭的じゃないですし……。


 そうなると“良いところ”について考えてみた方がいいですね。


 虻輝さんの良いところは“いざという時”の命を張った行動は凄いんですよね。


 我が身を顧みずに他人を助けようとするだなんて中々できるものではありません。


 ゲームの大会とはいえ先日は意地を見せていましたよね……。


 前も見えないような深刻な状況下で歯を食いしばってプレイし続けることは難しいです。


 私は当日急に体調が悪くなってフラフラの状態で弓道の試合に出ることはしないで棄権することでしょう。


 全く分野は異なりますが競技者と言う分類では一緒だと思います。

 同じ競技者としてはとても尊敬できるなって思ったんですよね。


 後は全然偉そうじゃないところが独特だと思います。

 

 虻利家当主の長男、数十億円の資産を持っているのに信じられないほど接しやすいんですよね……。


 ペラペラの服を着て、普通の人と同じようなものを食べて……虻成が忙しいことがある意味自由にさせてもらえているのかもしれませんね。


 でもその何かにつけて感覚がズレているところが、女の子の気持ちが分からず“鈍感だ”と言われてしまっている要因かもしれませんけどね……。


 ただ、そのガードの薄い自由な感じが私もついつい本音で話し過ぎてしまい、失礼なことも言っちゃうんですよね。


 どちらかと言うと昔は素直に話しちゃうタイプだったんですけど、それが獄門会に入ってから抑圧されてしまいミナ以外とはほとんど話さなかったんですよね。

それが今解放されちゃった感じなのでしょうか……。


 よく分からないことを言って困惑することも多いですけどね……。


 徐々に雲が晴れてきて星が見えてきました。今までに見たことが無いほど綺麗な夜空です。


 結局、長いこと一緒に暮らされている玲子さんのおっしゃることが全て正しそうですね……。


 あれが“女の勘“と言うやつなのでしょうか? 私が意識していなかった時ですら”ライバル”だと思える存在だと認識されていましたからね……。


 それとも、私ですら意識していないことを思考の奥底まで読んでいるという事なんでしょうか……? いずれにしても凄すぎます。


 こんな私が玲子さん達に勝てることって何でしょうか――。

 

 私は学業の成績だけは良かったのですが、それは問題点や課題を発見し、克服することができたためでした。


 ここも私の得意な状況分析とそれに対する対処法について考えてみることにします。


 まずはライバルと私を比較して差別化できることを検討してみましょう。


 最強・最大のライバルでもある玲子さんは特に能力が高いだけでなく、虻輝さんの何もかも知っているというアドバンテージが大きすぎます。


 まどかちゃんはあの一生懸命に取り組む姿勢、必死に訴えかける能力が「あと一歩」のところまで辿り着けそうになっていました。


 建山さんは私たちの中で一番後に虻輝さんに出会っていますが、玲子さんに匹敵するほどの実力を持ち、かなり積極的に迫っているのが驚異的ですよね……。


 こんな私があの3人に対抗できることと言えば――


 ふと思い出したことはいつも虻輝さんはチラチラと控えめではありますけど、会うたびに必ず胸の膨ら みを見ていますよね……。


 この脂肪の塊、中学に上がったぐらいから急に増えてきちゃったんですよね。

 肩は凝るし、弓道の邪魔にはなるし、足元は見えにくし、何の役にも立たない木偶の坊だから手術して小さくしようとまで思っていましたけど……。


 自分で触ると、ポヨン――と脂肪の塊が揺れました。


 虻輝さんはこれを手術して小さくすると聞いたときショックを受けていましたよね……。


 私にはこれに魅力があるなんて理解不能ですけど、これが少しでも気を引くきっかけになるのなら……。


 例え玲子さんやまどかちゃんが相手でも負けたくありません。


 勝負するからには必ず勝ちます。勝ってみせるんですから。


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