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ディストピア生活初級入門(第5部まで完結)  作者: 中将
第3章 電脳戦

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第30話 擬態する敵

「ここら辺で敵と遭遇してしまいました」


 クリーさんの先導で湖のある方にやってきたが、なるほど季節が変わっても背の高い草木が生い茂っており、隠れるのに絶好の場所となっている。


「なるほど、何かが隠れている可能性もあるし、敵が潜むにしても最適な場所だな」


「ええ、あの岩陰から攻撃を受けたので一目散に逃げだしました」


「ただ、もう他のチームの捜索が終わっている可能性もありますからこの先の方に行きませんか? その後に来ても遅くはないと思います」


 ふと、チェリーさんが言った内容とは全く別のことが頭にひらめいた。


「一つ思ったのだが、どうやら、季節が変わっても景色として変わらない場所がカギかもしれないな。

 ここに状況的に近いところを探した方が良いだろう」


「確かに私が球を手に入れた場所についても強風による季節の変化のタイミングでも大きな木は何も変わりませんでした。

 それが球が隠されている場所なのかもしれません」


「なるほど、僕の推論は正しそうだな。景色が“固定“されているところがポイントになりそうだな」


 季節に関して詳しくないのだからこういう推測のところで僕の見せ場を作らないとな……。


「そうなると、この辺りに隠れている可能性が高いのでしょうか?」


「ただ、クリーさんがこの場所で襲われたことを考えると回収されたことも念頭に置いた方が良い。

チェリーさんの先程の提案通り、適当に怪しいものが無いか探したら次に移動したほうが良いだろう」


「分かりました。そうしましょう」


「ここら辺は罠がある可能性があるから改めて注意して欲しい」


 と言いながら、キラリと光るものを見つけた。


「ストップ! 噂をすれば影なのか早速見つけてしまった。どうやらピアノ線みたいに細長い糸のようだ。何かの罠の可能性もある」


 僕は抜刀してスパッとその糸を切っていった。


「もう大丈夫だと思う。複数あったようだから注意が必要ではあるけど」


 僕は、刀を鞘に戻しながら目を凝らし、ピアノ線を探すがそれ以上は見つからなかった。


「この辺りに潜んでいるのでしょうか」


「少なくともシステムの更新により元の状態に戻る時間よりかは経っていないことを示すな」


 ガサリ! と草むらの深い方向から音がしたので再びそちらに向かって抜刀した。


「グハッ!」


 何とあてずっぽに抜刀したのに何かを斬りつけた感触があった!


「どうやら誰かが潜んでいるようですね」


「これは、擬態タイプの能力か! 景色に溶け込むことができる能力だ」


 しかし、攻撃を受けると姿がおぼろげながら見えてきている。ここで一気に倒しておきたいところだが――。


「クッ……これは厳しいか! お前達、一気に勝負を決めるぞ!」


 バッという音と共に複数の場所から吹き矢のような攻撃が無数に浴びせられる。

 やはり、仲間も潜んでいた。これは一筋縄ではいかなさそうだ。


「またしても忍者のような奴らか!?」


 四方から攻撃をされ、僕達は攻撃をかわすのがやっとになる。

 忍者のようなスタイルや攻撃は外国人にとって需要がある。

隠れて攻撃できることからもかなり人気であるのだ。

――そんなことを考えている場合では無いけど(笑)

 

「さぁさぁ! 彼女を解放して欲しければ宝玉のありかを言え!」


 チェリーさんを敵は捕まえていた。ある意味不運といえた。


「私が持っているんですよっ!」

 

 チェリーさんは風魔法を体をホールドしている奴の首元に撃ち込んだ!

 以前の教訓を生かして武器でしっかり攻撃しているので問題はない。本当に成長したなと思った。


「く、クソっ!」


 辛うじてHPは3割ほど残ったものの、チェリーさんは解放されて僕の隣に来た。


「よくやった!」


「もう簡単にはやられませんよ」


 僕が親指をグッと立てるとチェリーさんもそれに応じて親指を立てた。


「畜生! 撤退だ!」


 姿を見せながらも一目散に撤退していった。景色と擬態する能力は短い時間制限がある。その時間に到達してしまったのだろう。


 最低限の警戒をしつつも2人と集まった。2人とも花が咲くような笑顔だ。


「正直なところ、ここまで来ているチームが脅迫に及ぶとは思わなかったな」


「仕留めきれなかったのは残念でしたけど、被害が無かったのは幸いでしたね。

やっぱり以前おっしゃっていたように、隠れながら攻撃してくる方々は自分のスキルに自信が無いのでしょうか?」


「そうかもしれないな。選択肢の一つとして擬態という形の攻撃はかなり効果的だが、メインの戦術にしてしまうと大きな穴になってしまうことがある。

 便利で確実に勝てるからといって依存し過ぎてしまうとよくないと言うことだね」


 それは、技術や実生活についても言えた。コスモニューロンにおいても依存し過ぎてしまえばリアル社会での運動不足などに繋がる――僕を代表格としてね(笑)。


「やはり状況に応じた行動をしなくてはいけないと言うことですね?」


「そうなんだよね。局面を瞬時で判断して行動していかないといけないからゲームにおいても本当にレベルが上がってきているよね。

 なるべく僕も最善の行動を選んでいるつもりだけど反省するところは多いね」


 たまにここの第一階層の時のように油断していると初歩的なところでやらかすときがあるからな……。


「それでも、基本的にはとんでもない動きを見せていると思いますけどね。

 追い込まれた時はもっと凄い動きをしているような気がしますし……」


 そもそもの話として僕のように最善の行動をほとんどの瞬間で選択でき、劣勢の場面でも大立ち回りで打開できるようなプレイヤーはそうそういないので無理もないと言えば無理もないか……。


「勝てそうなときはミスをしないような動きをして、追い込まれた時は勝ち筋を追うので結構思い切った動きをすることが多いかな? 勿論、相手の状況と自分の今の状況を総合的に見て動いているけど」


「な、なるほど……中々それが難しいと思いますけどね……」


 まぁ、それが平然とできるからプロプレイヤーだし、更に世界一のタイトルが何回も取れるんだよと言いたくなるが、また堪えた。


「とりあえずは、ここに敵が潜んでいた上にあっさり撤退したのを見ると、既にここには何も残っていないと思って良いだろう。

 次に進んでいこう」


「分かりました。テルル中将さんの判断に従います」


 仮にここにまだあったとしても、他のチームを全て倒してしまった後にまた来ればいいからな。ここでかける時間の損切りするのが適切だと判断した。

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