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ディストピア生活初級入門(第5部まで完結)  作者: 中将
第3章 電脳戦

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第9話 ダンジョン潜入

「ということで、今回はこのエピックダンジョンを行こうと思う」

 早足で紫色の看板のダンジョン前に到着した。


「テルル中将さんは何かと人の逆を行っている感じですね……」

 チェリーさんは苦笑している。

確かにこのダンジョンほとんど人が向かっていない……。黄色か青の看板のダンジョンが人気のようだ。


エピックダンジョンは1万チームが6時間到達してから集計とはいえ同時接続チームも同じぐらい存在しそうなものなのに非常に閑散としている。


「そう言われると、何とも言えない気持ちになるが……一応ちゃんとした理由はある。

このダンジョンを選んだ理由としては期待利益値は他のダンジョンと比べて12%低いのだが、“大当たり“と言って良い高額報酬が手に入る確率が他と比べて8%高いんだよね」


「凄いデータですね……」

 チェリーさんは目を丸くしている。


「まぁ、攻略サイトでこれもあるから皆もその情報を信じて動いているんだと思うね

 ちなみに、高額報酬でなくてもランクが高い武器が出る可能性もそこそこ高いデータもある」


「それをデータを見ないでスラスラと出てくるところが凄いですけど

――つまり、テルルさんはより上位に行くために賭けに出ると言うことなんですね?」


「良く分かっているね。そういうこと。期待値で見れば合理的では無いんだけど、数値を堅実に積み上げて良い結果が出る状態では無いからね」


 ちなみに早々にダメそうだなと思ったらすぐに他のゲームと並行して行うんで、

僕がリーダーをやっている時のチームは比較的分の悪い賭けに出がちではあるがね(笑)。


「次に、フォーメーションについて説明する。

 今回の武器においては、クリーさんが防御方面において秀でているから前衛を頼みたい」


「分かりました」


 装備に関してはチームの間でも交換は出来ないので初期装備によってある程度の役割が決まってくることになる。


「次に、チェリーさんは防御面においてはかなり低いので後ろで控えつつ周囲の警戒をして欲しい。

 ただ、スピードは高いから攪乱においてはかなり役に立つ武器なので、援護を頼む」


「分かりました。ちなみに、テルル中将さんはどういう武器なんですか?」


「控えめに言って何の特徴も無いね(笑)。

 テクニカルが少し高いからスキルが付けば多少は何とかなるかもしれないが……

 まぁ、状況判断や指示については信頼してもらって構わない」

 

 武器にはアタック、ディフェンス、テクニカル、スピードの4つがついている。

 ちなみに、HPに関しては全員共通して1000で0になるとその場でしばらくダウンする。

 チーム全員がダウンすると街に強制送還され一番良いアイテムを落としてしまう。

なのでいかに他のステータスが大事かということだ。


 ダンジョンをクリアするとスキルを一つ持っている武器の中から一つランダムで付くのでワンチャンス良くなる可能性はある。

 だが、現状の武器では余程良いモノがつかない限り入れ替えだろう。


「それじゃ、ここら辺でNPCを相手に訓練をちょっとしてみようか」


「私はリアル世界では武芸の心得もあるので大丈夫ですよ」

 

チェリーさんは少し得意気だ。逆に注意しなくてはいけないことがある。


「あ、そうなんだ。それは素晴らしい事だね。でも、ちょっとリアル世界とは話が違ってくるところがあるからそこを注意してもらいたい。

 まずは、体術などでモンスターと戦わない事。拳系の武器でない限り殴っても1のダメージも与えることができないからね」


「そ、そうなんですね……」


 基本的にはある程度の経験があるクリーさんについては動きからしてもあまり心配していない。

 チェリーさんについては逐一使い方の説明をしてあげた。

 吸収力が他の初心者とは頭一つ抜け出るぐらい違うので教えがいがあるけど。


「ポイントとしては、遠距離武器の場合は攻撃する際の射程がどの程度あるのか武器によって異なるからそこをよく見ることが大事になるね。

 有効射程距離を理解しないで行動することはそれだけ敵を倒せる数も変わってくるから」


 下手な奴らだと強い武器持たせても相手を怖がって長距離から狙って何の役にも立たないことあるからな……。

 初心者入れたパーティーだとそう言うリスクがあるのが怖いところだ。


「凄いですね。チュートリアルも全部読んだんですけど、イマイチ何を言っているのかよく分からなかったところがあったのでとても助かります」


 ちょっとドキリとするぐらいの笑顔でチェリーさんは笑った。お、落ち着けチェリーさんはこうしているけど男かもしれないんだぞ? れ、冷静になれ……。


「確かにチュートリアルはまずどこから読んで良いか分からないよね。

僕たちはチームなんだし。気兼ねなく色々なことを聞いてもらって構わないよ。

 もちろん、クリーさんも気軽に聞いてね。僕は常軌を逸しているぐらいマニアだから(笑)」


「はい。分かりました」

「頼りにしてます」


 2人とも素直でとても助かる。意外とベテランばかりのチームだと“船頭多くして船山に上る”と言った感じで3人での妥協案すらも絶望的なモノになりかねないんだよな……。 

 

「また、武器に属性がある。例えばチェリーさんの武器や装備は風属性になる。

 これは水属性には強いが地属性には弱いという特徴がある

 その際には攻撃をせずにサポート技を使った方が良いわけだ」


「なるほど。ちなみにテルル中将さんは何属性の武器で何に強かったり弱かったりするんですか?」


「僕は無属性で本当に何の特色も無いんだよ(笑)。


 陣形を維持しつつ、NPC狩りが進んでいく。

 ただ、ここでNPCをいくら倒そうともレベルごとにちょっとだけステータスが上がる程度で結局は装備次第というところはある。


 それでも、チェリーさんの腕前が上がっていくのを間近で見れるだけでも何となく満足感はあるし、指導し甲斐があるという感じはある。

 有効距離まで迫ってしっかり攻撃している動きはどんどん洗練されている感じはある。


「よし、チェリーさんは大丈夫そうだね。いよいよ深層に入っていこう。

 基本的な動きについては教えたけど、例外的な事象ももちろんある。

 何か分からない状況になったらすぐに教えてくれ」


 マジで戦いであまり役に立たないので指示するぐらいしかない……。


「これからのダンジョンの深層で注意しなくてはいけないのはNPCだけでは無い。

 複雑化したダンジョンでは対人での戦いが起きる可能性がある。

 対人との戦いは、NPCよりも遥かに厄介だから注意してもらいたい。

 何せ負ければ武器は奪われるは初期の町に飛ばされるはでホント最悪だから。

 更に、規約違反スレスレの行動をしてくる奴らもいるからそこも注意したいところなんだよな

 まともに正々堂々と勝負をしてくる奴らはまだ清々しいものを感じるレベルだ」


「て、テルル中将さん! 助けて下さい!」


 と、長々と得意げに解説をしている間にチェリーさんの悲鳴が後ろから聞こえてきた。

 説明している最中に……まさか!


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