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ディストピア生活初級入門(第5部まで完結)  作者: 中将
第3章 電脳戦

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第6話 ヴァーチャリストとは

「ま、そんなことを考えても仕方ないな。玲姉と僕とでは頭のデキが違い過ぎる。

さて、折角の半日休日となったことだし、久しぶりにヴァーチャリストでもやるかな」

 

 時計を見るともうすぐ1時になる。1時から開始で19時終了なら何とか夕食に間に合う。


 ヴァーチャリストは最近流行のVR空間でのゲームの一つで非常に注目されている。


 基本的には世界大会は10種目ある。

各種目で最も売り上げを稼いだか? 参加者人数がどれぐらい多いか? セキュリティは万全か? などと言った指標で最もポイントを稼いだゲームが世界大会の開催日時の半年前で選ばれる。

 僕は今年度その中の5タイトルを現在持っているために5冠王とも言われているのだ。

 まぁ、僕はタイトル数は変動するものなのでプロゲーマーと名乗ることの方が多いけどね。


 しかし、ヴァーチャリストと言うゲームは、現在のところeスポーツの世界大会公式10種目には指定されていないのだが、爆発的に参加者が増えた新ジャンルのゲームである。

 そのために将来的には“新しくeスポーツ世界大会の11種目目として追加されるゲームになるだろう”と言われている。


 このゲームは基本的には相手キャラクターを倒したり、仕事をしたりして経験値を稼いでレベルを上げると言ったRPG的な要素が強い。


 しかし、最終的には“チームの持ち物の合計価値”で決定する。

 更に、その合計価値はRPGの装備の強さやダンジョンの難易度に必ずしも比例しない上に、1人持ち物上限数が20個というところがこのゲームの奥行きの深さになっている。

 どの持ち物を持っておくか捨てなくてはいけないのかその選択をすることが大事になる。


 上級者においてはそれまでの経験や優れた判断能力が活かされる。しかし、初心者でも運が良ければワンチャンス世界優勝チームになることが出来ることから人気が爆発的に上昇している。


 また、匿名で毎回違った名前で参加することが義務付けられ、即席でチーム(3人)を作ることから今までに無かった交友関係の拡大も見込める。

そのために、友達を多く作りたい人にはとても人気のコンテンツとなっているのだ――コミュ障の僕にはチームを即席で作るという部分が結構ハードルが高くて難易度が高いところではあるのだがね(笑)。


 6時間を経過した1万チームがゴールした時点でのランキングが決められ、その中で順位付けがなされる。正直なところここも運要素が強いところだ。


 ちなみに僕の戦績としては優勝回数は3回、2位以下の10位以内入賞が5回。参加回数が47回とすると――一般的には運要素があるためにこれでもかなり上位入賞率は高く、世界ランクは今日時点で28位である。

だが、世界ランク1位が他のゲームでは“当たり前”と言っていい僕的にはかなり少ない。何とか安定して勝てるようなコツを新しく見つけたい。


 そんな訳で時間がまとまって出来たら取り組もうと思っていたのだ。

 ただ、参加時間が6時間と時間が最低でも必要なのでよっぽど余裕がないとできない。

最近は万相談所を作ってから特に時間が無いので直近かその次の公式世界大会の練習をするので精一杯だったのだ。


「さてと、いつものアバターの別バージョンで良いか……今回はどんな人と組むことになるかな……」

 匿名性が高いこのゲームでは、同じアバターと名前を使うことは出来ない。

 

 匿名性が高い点においては比較的気楽に遊べるので良い。

 何せ世界大会5冠王というだけあって知名度は高い。

僕の所属しているプロチーム以外でポツンと存在しているともう一緒に組んでくれと言ってうんざりするほど殺到してくる。



 今僕が入っているVR空間は“長い明晰夢”のような感じだ。

 コスモニューロンの“VR空間の感触を実体験できる”という特殊技能を解放することで他のことと同時並行をすることは制限されるが、かなりリアルに近い状況を体感できる。


 目を開けると、地面に横になっていた。地面の臭いがリアルだ。

コスモニューロンを付けるとヴァーチャリストへようこそ! といういつものメッセージと共に「6時間」の残り時間が出てくる。まだ、正式にこのゲームに僕が開始登録されていないのでこの数字はまだ減らない。


 また、僕にはとうの昔に必要のないものではあるが、チュートリアル的な操作方法や仕様について書かれてある。


 ここで確認しておくことは、ちゃんとアバターを動かせるかどうかだ。

 ちなみに、リアル世界での身体能力の差に関しては極限まで縮小されるような仕様になっている。

 この世界での武器による補正が非常に高いからだ。

その点も僕にとってはかなり好都合と言える仕様だ。


「よし、大丈夫そうだな」

このように色々と確認したところ、どうやら無事にダイブできたようだ。

ちゃんと確認せずにパッケージが似たような別のゲームに入ってしまったこともあったからな(笑)。


「ふむ、今回はアメリカの西部劇のような世界観なのか」

 低い建物や英語表記などから時代などを判断した。


 言語の壁に関しては視界に入ると本来の表記と共に自分の日常的に使っている言語に自動的に翻訳してくれているので全く感じさせない。

こういうところもハードルが低く世界中の人と楽しむことが出来る。


 毎回選ばれる世界観がランダムで時代や国家など2000種類ものの中から選ばれることもこのヴァーチャリストの特徴で、飽きが来にくいところである。


 世界観によるゲームシステムの差はあまり無いのだが、NPCの服装や物品などが影響してくる。

 まぁ、プロともなるとそう言うことに浸っている場合じゃないけどね(笑)。

 効率がとにかく大事なので……。


「さて、まずは街に行きますか」

 個人メンテナンスの領域を出る。この領域ではデフォルトの服装において公衆衛生にとって問題ない服装かどうか審査される。僕はそんなに凝ったことはしないのでここで引っかかることは無い。



 兎にも角にも、メンバー探しである。6時間という制限時間がある以上は、ここで時間をかけるわけにはいかない。

 なるべく僕をリーダー格として据えて欲しいけど……どういう人かもわからないのにいきなり大胆に発言はしたくないからなぁ(笑)。

 僕にとって最大の運要素とも言える(笑)。


 とりあえず、メンバー探しをしながら現時点で分かっている僕なりの最適行動を取ろうと思う。

 ワープで初期に必ず訪れる必要がある街に到着し、メンバー募集の登録をする。

 この時点で6時間というカウントダウンが減って行く。

 ここからが時間との戦いだ。真っ先にある施設に向かう。本来ならワープも可能だがこのゲームの仕様上スタートすると移動するのにも自分の足を使うことになる。


 さて、プロとしての実力の見せ場が来たな。

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