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第1話 イマヨ
人は死んだらどこへ向かうのだろうか。
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29歳、独身、大手商社勤務。
兄弟は皆、医者やら官僚やらになっていくなか、
浪人した僕は地方の国公立大に入学、
気づけば大手商社に勤めていた。
6年間、殺風景な毎日を送っている。
しかし、その退屈は長く続かなかった。
「船長のお子さんも来ているんですか?」
俺と上司はタバコを吸いながら、
どこまでも青い空と海を背景に子どもを見ていた。
「ああ、あの子がそうだよ。
なんでも、奥さんが今日から入院だそうで、」
「何かご病気ですか?」
「いや、出産らしいぞ。
どちらのご両親も亡くなっていて、
今回だけ面倒を見ているんだと。」
「なるほど。。。」
タバコをふかしていた次の瞬間、
花火が鳴ったと思うほどの爆発音が鳴り響く。
「なんだ!?」
倒れこむ俺たち。
船中にアラームが鳴り響く。
かすかだが子どもの泣き声が聞こえる。
煙が立ち込めてくる中、
こけて泣いている彼が見えた。
後ろにある支柱が倒れてきている。
体が勝手に動いた。
「危ない!!!!」
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